Happy Hunting Ground vol.13『893鴉たちの行方』公開舞台稽古

 Happy Hunting Ground vol.13『893鴉たちの行方』公開舞台稽古 
                          in サイスタジオ(2/5)

作: 加納朋之

暴力団が、組の看板を下ろし会社経営?!
今日から「消費者ローン ポロミス・キャッシング」の支店を任された
梶原組長(加納朋之さん)は、今日から支店長。同じように役職を与えられて
社会に貢献?!していく身となった彼ら4人組。
その前になんと演劇のワークショップという一週間の研修を受ける事になります。

昨年の夏公演で上演されたこの作品が、佐野で再演されることになり
その公開舞台稽古に参加させて頂きました。
作家は『リビング・ウィル尊厳死の宣言書』に続いての2作目、加納さんの書下ろしです。
加納さんの本のファンになりましたですよ。
なんかニクイんですよ。一杯調べて書かれたと思うんですが
その情報の寸止め感(笑)とか、人物の描き方があったかい。
きっと加納さんって、人間が大好きなんだろうなぁ~って
加納さんの普段の優しい雰囲気が、ふぁっと戯曲を包んでいるみたいなのです。
いーなぁ佐野公演!
でも佐野公演があったからまた観れたので、感謝感謝です。

さて公開ゲネといえど客席は満席状態♪顔見知りの方も多くて
なんか和気藹々な雰囲気満載のサイスタジオです。
さて前口上は、山崎美喜さん。
公開ゲネなので照明関係が本番と違いますので、どうぞよろしくお願いします
ちょっぴり照れながらの前口上が初々しいぞぉ~きゃわいい美喜さんであります。

暴力団排除条例や暴対法の施行で、肩身の狭いやくざさんたちが
どうにかして社会の中で自分の身の置き所を守ろうとしつつも、極道の美学を貫き通す姿を
コミカルにかつ哀愁漂いつつ描かれています。
徹底した上下関係のやくざな世界。
たとえ演劇のワークショップでのシアターゲームでもおんなじ。
なかなかやりずらい雰囲気の中で、指導者のまりかさん(山谷典子さん)と幸太さん(駒井健介さん)
は大格闘中。
ところが劇団の主催者・あつこさん(山崎美喜さん)と進藤さん(井上倫宏さん)が幼馴染だったという
事から、とポロミス社員の皆さん(^◇^)との関係が徐々に深まり、
研修の成果はシェイスクピアの『ヴェニスの商人』のリーディングへ

と、やくざさんたちだけのお話ではなく、その伏線には
ゆがんだ社会状況も描かれています。
あつこさんには奨学金で大学に通っていた息子さんがいて、その息子さんを事故で亡くし
その奨学金の支払いをあつこさんが肩代わり…その支払いと劇団の経営なんで闇金に手を出してしまう…
奨学金のあり方についても考えさせられてしまいます。
奨学金って何のためにあるのだろうか?
また、まりかさんに至っては、彼氏のために大金を借りちゃおっかなぁ的な
気軽さに、誰もが陥りそうなワープへの警笛があったりと
なかなか問題意識をしっかり提示されています。

ラスト『ヴェニスの商人』でインスパイアされた彼らは、シャイロックと自分たちを重ね合わせ
正義と仁義について彼らの示す道を見つけ出します。
それは幼馴染のマドンナ・あつこさんの借金した闇金へ話をつけようと、彼らなりの仁義。
その闇金は陰では、彼らと因縁のある大きなやくざ組織だったのでした。
去って行く彼らの後ろ姿が、ちょっとおまぬけで哀愁があって優しくて
かっこよくって愛しい感じが、まじたまらない
すてきな作品でした。

夏のH.H.G公演とはキャストとちょこっと台本や衣装が変わったりして
また新たな作品となっていました。
ちなみにキャスト変更は
副支店長(若頭)遠藤健一さん役(ケンチン) 高橋克明さん → 井上倫宏さん
お客様係り(兄貴分)清田潔さん役(キヨキヨ)沢田冬樹さん → 本城憲さん
部長(構成員)大城勇人さん役(ユウチャン) 南拓哉さん → 長谷川敦央さん

終演後は、軽い飲み会が行われ
佐野公演の成功を祈ったのでした。

2/5(水)、2/6(木) in サイスタジオ

あっそだタイトルの893(やくざ)は、花札のどうしようもない手札のことを示すそうです。
でも一つ引くと最高の手札になる…自分を足すんじゃなくて、引いて生きていくと
最高の人間になる…そんな素敵な言葉を残して去った男たちのお話でした。



 
by berurinrin | 2014-02-16 15:09 | 観劇感想