THE・ガジラ『死の棘』

演劇企画集団THE・ガジラ『死の棘』 in シアタートラム

「一度は、鐘下さんの芝居観るべきですよ」
「えー、だって鐘下さんの芝居ってクセがあるし
“救いようの無い悲劇”しか書かない人でしょう」
「観ればわかるって、絶対気に入るから!」

周りの人が、ガジラの作家兼演出家の鐘下辰男さんのファンが多くて
誘われるたびに避けて通っていたのですが、
「死の棘」のチラシの高橋恵子さんの空虚な表情に誘われて初観劇でした。

で、私、好きかも。。

妻であるミホさん(高橋恵子さん)は夫、敏雄さん(松本きょうじさん)を
ひたすら愛し尊敬して、妻として子供達の母として懸命に支えてきたと思います。
が、ある日夫の不貞を知ってしまったミホさんは、
あまりのショックで人格が変わってしまいます。
夫をひたすら責めまくるミホさんVSなさけない夫敏雄さん。勝負はすでについていますが
そこは夫婦にしかわからない“何か”があるのです。

プールの中に浮かぶ円形の舞台。
舞台には、水道管と、四角に切る取られた穴(便器)のみ。
水道管の先には蛇口がついていて、水滴がポチャーン、ポチャーンと落ちています。
決して広くない、まるい舞台の中で水に囲まれ
逃げ場の無い夫婦の戦いのリングであるかのように、
時には口で、暴力でミホさんはぎらぎらした目で敏雄さんを追い詰めます。
水を掛け合い、ぐちゃぐちゃになる二人。
ナイフの刃のように突き刺さる台詞。ぴちゃーん、と音を立てる水滴。
水面に反射されるゆらゆらの照明・・・・。
寒々しい舞台から、ミホさんの行き場の無いエネルギーが
どーんと塊のように、覆いかぶさってくるような衝撃を受けました。

で、この『死の棘』が実話であることが、それ以上に衝撃でもありました。

~7/3(日)まで、シアタートラム
by berurinrin | 2005-06-18 10:14 | 観劇感想
<< 俳優座プロデュースNO.68『... 『父と暮らせば』 >>