『父と暮らせば』

『父と暮らせば』 in 紀伊國屋ホール

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 石井強司

JR西日本の脱線事故。
目を覆うばかりの悲惨な光景がTVの画面を通じて写し出されていました。
事故に遭遇されて、不幸にして亡くなった方々に胸を痛めつつ
無事に脱出できた方々の姿をほっとして見守った事でした。
けれども、無事に生還された方々の中には
「自分は生き残ってしまって申し訳ない」という、気持ちで苦しんでおられる
方もいらっしゃると聞いています。

舞台は広島。広島に原爆が落ちて3年後が舞台です。
図書館で働く美津江さん(西尾まりさん)の元に、
原爆瓦の収集家の木下さんという男性が現れます。
木下さんは美津江さんに気がある様子。美津江さんも意識しているようです。
けれども、美津江さんは原爆で自分ひとり生き残ってしまった罪の意識から
幸せになることに対して、罪悪感を背負ってしまっているのです。
幸せに背を向ける美津江さんの前に、突然おとったん(辻萬長さん)が
恋の応援団長としてあわられます。
娘の幸せを願う、おとったんの切なる思いが美津江さんに伝わるのでしょうか?

先日『國語元年』を観た時に、この『父と暮らせば』の台本を見つけて
本の後ろのあらすじをさらーっと読んでしまったのが謝りの元でした。
おとったんが麦湯を、喉を鳴らさんばかりに飲みたいのに
「わしゃよう飲めんのじゃけえ」
ここから最後まで舞台は涙のフィルターを通して拝見しました。
今も書きながら切ない気分です。
客席中至る所からすすり泣きが聞こえて、二人の台詞の言葉の深さと重さに
体が溶けてしまう程の熱い父娘の気持ちの切実さが伝わってきました。

この作品に対しての感想は、
これ以上言葉にする事ができません。。

ぜひ、一度ご覧下さい。

観終わった後、あったかいホカホカのご飯が食べたくなりました。
それなのに、紀伊國屋の地下のファーストキッチンで、海老バーガーを
パクつく自分って・・悲しい戦後の現代っ子だからなのでしょうかねぇ
。。それも、ダイエット中なのに・・
by berurinrin | 2005-06-17 07:43 | 観劇感想
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