地人会新社第2回公演『根っこ』

地人会新社第2回公演『根っこ』 in 赤坂RED/THEATER(4/4,13,28)

作 アーノルド・ウェスカー
訳 木村光一
演出 鵜山仁

ロンドンに暮らしていたビーティ(占部房子さん)が、田舎に住む家族に帰ってきます。
一緒に暮らしている恋人・ロニィを家族に紹介するため、彼より一足先に里帰りしたのでした。
社会主義者だというロニィに影響されたビューティは、家族相手に対話を試みます…

第一回公演は、アパルトヘイト施政下、
南アフリカの黒人社会虐げられた人々のしたたかさを描いた『シズウェイは死んだ』。
そして家族に焦点を当てた第2回公演『根っこ』。演出は共に鵜山さんでした♪
前回もそうでしたが、狭い空間の中で行われるほぼ一か月に渡る公演ってイイですね。
観る度に作品の変化を肌や空気を通して感じられる…堪能させて頂きました。
本当はもっと前に感想を書きたかったんですが
なんか言葉に出来ない・・言葉にすると思ったことが自分の中から流れ出てしまいそうで
ちょっと怖かったんです。
いい年をして、両親と暮しているだけに
ビーティと母ブライアント夫人(渡辺えりさん)とのやりとりは、
そのまんま母と自分に置き換え出来そうで、やんなっちゃう(笑)
最近は、母がハマっている韓流ドラマ&韓流スターの話題を常に口にしてる母。
私に興味を持たせようとやっきになってる気がしますがf(^_^;)
ブライアント夫人とビーティの逆バーション?!
残念ながら興味が全く持てず…「へー」とか「ふーん」とか言っちゃう自分が
改めてなんだかなぁ~今後は「そっかそっか」「ふんふん」とか
もうちょっと前屈みになって話を聞く姿勢でいこう。うん。
他人事のようにちょっと離れた目線でみちゃうと、悔しい程に母のありがたさが
こころにぐぐっくるもんです。

戻ってくれば台風の目のように、周りを振りまわす賑やかで愛しい娘ビーティが
めんどくさそうな一見都会風の恋人ロニィを連れて来るという…
ビーティは本当にロニィが好きなんでしょうね。
痛い程気持ちがわかりますよね~。
でも、客観的にみて、上手くいきそうもないっていうのは
お姉さん・ジェニィ(七瀬なつみさん)も感じていて、早々にビーティに釘を刺していました。
それも家族だから言えること。
それでもビーティの愛する人を歓迎しようとするのも家族だから・・。

学の無かったビーティが自分の「根っこ」という言葉を自分の中から見出して
みんなに語る姿は圧巻ですが
それよりも、一生懸命語る彼女に対する一人一人の受け側の姿に家族の姿を見た気がしました。
客席から見てるから感じるのですが、この姿がそれぞれの家族のありようで
これがまったくの自然な姿なんだなぁ~と思うと
開演前に流れていた日本のポップスや舞台の壁に貼られた新聞記事や
節目節目の大きなニュースの吹き出し記事も国や人種関係なく、
自分かもしれないし隣の家族の話かもしれない
たまたまイギリスのブライアント家の話ではありましたが
ひとつのくくりでは収まらない家族の姿をみた気がします。

壁といえば、場面転換もすごいユニークで楽しかったですねぇ~
セットの移動はスタッフとキャスト。
初日では、かっちかちにセットを移動していたのに
楽近くには、音楽に合わせてノリノリ~♪楽しそうでした。
そんな移動した壁の後ろにキッチンがあって、そこで調理できちゃったり
会話しながら湯気が見えて、ほのかな匂いから生活感が生き生きと伝わってました。
あんまりそこんところがリアルなので3回観て3回とも楽しいトラブルが起きて
そのシチュエーションもまた生活感たっぷりで、これまた楽しく微笑ましくみえたのでした。

文学座からはビーティのおとうちゃんブライトン氏金内喜久夫さんと
ビーティのお兄ちゃんフランキーの石橋徹郎さんがご出演。

支配人の裁量一つで簡単に仕事を首にされてしまう…
厳しい境遇の中で養豚を行っているいわゆる小作人のブライトン氏。
体調が悪くてもそんな様子をおくびにも出さず牧場の支配人の
指示に従順に従う様は、都会生活が長いビーティにしてみたら許せないようです。
反面、家の中では、わがままな頑固おやじ的な雰囲気が、
これまた素敵な金内さん
そこにいるだけで雰囲気が変わってしまう…金内さんの存在感に圧倒です。

石橋さんは、第三幕からのご出演です。
その前に第一幕から第二幕の大掛かりな舞台変換の時に
黒いコートを着てクールで音楽に合わせてノリノリの姿が、
かなりカッコ良かったのですね。
ところがフランキーになると、ぐったぐた(笑)ロニィに会うために無理してきた
スーツは窮屈そうで、髪はひよこのみたいな寝癖がぴんぴん♪
フランキーは農夫さん。土と共に生きてる男性です。
妻のパール(高畑こと美さん)とは力関係的にどうやら分が悪そう(笑)
ビーティの言ってる事はさっぱりわからんとした表情の中にも
なにかざわざわした感情が芽生えて、それが自身の新鮮な驚き…
そんな感じがしました。

ビーティの投げた言葉の波紋が家族の中に広がっても母は強し。
でーんと大地のように彼らの根っこを支えているのは、
いつでも母なのかもしれませんね

休憩時間、ロビーでパブこうのとり(劇中に話題になったパブ)が開店していて
イギリスの三種類のビールが販売されていました。
とっても興味があったのですが買いそびれてしまいましたf(^_^;)
でも劇中と同じ名前で狭いロビーの中でサービススペースがあるなんて
遊び心があって素敵じゃないですか
ちなみに鵜山さんは、呑んだとおっしゃっておりました(*^_^*)

初日の幕が下りてロビーでの初日乾杯の時、
制作Eさんから作家のウェスカー氏からメッセージを頂きましたと
お披露目がありました。
短い言葉ながら愛に溢れたメッセージに超感動!
公演中のロビーに終始飾っていました。
このビーティのモデルは、そんなウェスカー氏の奥様なんだそうです。
もう一人温かいまなざしで、
遠い異国からビーティとその家族を見守る人が居たんですね

なんか公演が終わっちゃって寂しくて…
ふとした時に観たい、元気をもらいたい、あの熱量を浴びたい
そんな芝居でした。ぶっちゃけ大好きな作品でした。
また観たいなぁ~★ずーっと観続けたかった作品でした。

4/4(木)~4/28(日) in 赤坂RED/THEATER
by berurinrin | 2013-05-02 23:36 | 観劇感想