Pカンパニー第8回公演『月の岬』

Pカンパニー第8回公演『月の岬』 in
池袋シアターグリーン5F BOX in BOX THEATER(7/27)
 
作  松田正隆
演出 高瀬久男

長崎のとある島。
この日は平岡信夫さん(西岡野人さん)と直子さん(白玉麻規子さん)との結婚式。
信夫さんは、長年姉の佐和子さん(木村万里さん)と二人暮らしていました。
新しい三人での暮らしに慣れた頃、佐和子さんの昔の恋人・清川悟さん(内田龍麿さん)が
妻子を捨てて、彼女の前に復縁を迫って現れます。
清川さんと激しく争う夫・信夫さんの間に分け入りった直子さんは、
その拍子に流産してしまいます。
数日後、佐和子さんは家族の前から姿を消してしまいます。

一見、平和で静かで穏やかな離島での暮らしに見えつつも
人と人とを繋ぐ糸に小さな綻びが見え隠れしています。
離島に暮らしているからこそ、凝縮された人間関係の中での軋轢は
根が深く、私たちの想像以上に根深いものかもしれません。
登場人物一人ひとり抱えてるバックボーンが、深い闇に包まれていて
仄かに漂う雰囲気や日常の会話の言葉の合間に、時より刃物のような鋭い光を
相手に向かって放ちます。
ミステリアスチックな雰囲気も感じさせるのは、舞台のセット・・
海面にぽっかり浮かんでいるような丸い盆をイメージさせつつも
その盆をよく見ると歪んだ曲線で、黒い背景にうねる一筋の曲線が、私たちの心の中にある
薄暗い静かで深いもの・・そんな、普段眠っている心を揺さぶられたようなお芝居でした。

文学座からは、高校教師の平岡信夫さんを演じられた西岡野人さん。
お姉さんとずっと二人で暮らしていて、この日は平岡さんの結婚式。
いつものように朝の食事を取る普通の雰囲気から始まります。
ちょっと眉を緩める表情から、姉との日々の暮らしに穏やかな満足感が窺えます。
今回、終始受け身の演技に徹した感じがありますが、姉と元カレの小競り合いの中で
唯一、怒りを発したシーンがあります。
だからこそより印象的に平岡さんの人物が浮き上がってきた気がします。
個性を消して雰囲気を感じさせる・・ノビ君の真骨頂を魅せてくれた気がします。
本当に惚れ惚れとするノビ君の芝居を魅せて頂きました♪
そんなノビ君、終演後には「朝ごはんのシーンで喉にご飯が詰まっちゃって(笑)」がはっみたいな(*^_^*)
お茶目さんなノビ君でした(笑)

佐和子さんの元彼・清川悟さんである父親を追って平岡家にやってきた
母親・祐子さん(千葉綾乃さん)と共に現れた娘・有里さんを
金松彩夏さんが演じられました。
父親を追ってきた割には、冷めた感じがしたのは
母親の連れ子であって、母親とはまた違う父親に対する気持ちの温度差があったようです。
悪ぶってみせる姿にも寂しげな雰囲気を漂わせて、見た目よりも幼い多感な少女らしさがうかがえました。
彼女の魅力は、可憐さ!もうねぇ、一言で「可愛い女性」なのです(笑)
そんな彩夏ちゃんは『長崎ぶらぶら節2012』では
「わたしは蛍!」と体いっぱいに蛍を抱きしめていた幼い愛八さんを
印象的に演じられていました。
短い場面ながら、この少女期の愛八さんの印象が強くないとラストに結びつかない!という重要な役どころ
そこを見事に演じられたのでした。

平岡さんが新婚旅行から帰宅すると
教え子たちが意気揚々とお待ちかね(笑)
高校生の沢柳次朗さんを駒井健介さん。そして彼女でもある同級生は
七瀬真由美さんを伊藤安那さん。
駒井さんは、まんま高校生(笑)素朴さが素敵でした。
彼女のびっくり発言で戸惑う姿や先生に怒られた時の反応(笑)
ちょっと前の高校生らしさが伝わってくる・・楽しいシーンでした
で、超イケメンさん★
今年、研修科から準座員に昇格された駒井さんですが
すでにいくつかのお芝居で活躍をされていまして
文学座有志の会 nori-mading『櫻の木の上 櫻の木の下』では、
卒業を控えた女子生徒への対処に苦悩する高校教師を演じ
『ボーイング=ボーイング』では、
3人の婚約者との駆け引きを楽しむ西岡野人さん演じられたベルナールの
親友ロベールをしたたかに演じられました
エゲリア』で、文学座本公演デビューをされる駒井さん
彼の持ち味は、どんな役にも溶け込んでしまうピュアさだと思います。
今後も楽しみな俳優さんです。
『ボーイング=ボーイング』に次いでの
ノビ君との息もぴったりな先生と生徒のボケとツッコミのような関係
とても面白かったですね。
ノビ君から紹介して頂いて、初めてお話したのですが、目が綺麗!!まじ超イケメンx2(笑)
ぜひご注目を!

駒井さんと同期の伊藤安那さん。
無邪気さと小悪魔さを併せ持った不思議で大胆な女子高校生を演じられました。
平岡先生との関係を匂わす発言にドキドキ・・
結局最後まで、そこんとこは不明ですが(あ~どーだったんだろう)
わたしは、きっと彼女の発言は真実だったのではないかと思いました。
きりっとした声や可憐な表情・・今後活躍が楽しみです。
そんな安那さんは、研修科自主企画公演で
同じ松田正隆さんの『蝶のやうな私の郷愁』で妻を演じられていました。
あの時は、夫を演じられた佐川和正さんの胸をがっぷり借りて・・と感じましたが
今回は、しっかり自分の足で立って演じられていた姿に感動しました。
これまた成長ぶりが、めっちゃ楽しみな女優さんです♪
安那さんも『エゲリア』にて文学座本公演デビュー♪楽しみですねっ!!

水面に小さな水滴が幾滴か落ちて、波紋が広がっていくような
心がざわざわするするお芝居・・日常が、非日常に転換する時が気が付かないくらい
日常の不思議さに自分が取り込まれてしまう怖さと美しい情景の世界感に酔えた幸せな時間でした。
あ~もう一回観たかったぁぁ~


7/25(水)~7/31(火) in 池袋シアターグリーン5F BOX THEATER
by berurinrin | 2012-09-15 23:56 | 観劇感想
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