劇団昴公演『危機一髪』

劇団昴公演『危機一髪』 in 俳優座劇場(6/10.12.16)

作  ソーントン・ワイルダー
翻訳 水谷八也
演出 鵜山仁

太陽が昇り、世界の終わりが一日伸びたとニュースが伝えます。
八月というのに氷河期を迎えた人類家。
と、人類家の女中サビーナ(米倉紀之子さん)の動きが止まります。
これらはどうやら芝居の本番中。舞台監督(宮本充さん)がその場をつなげるように
米倉さんに指示をします。

第一部
Mr.人類(金子由之さん)は、アルファベットや九九、車輪のなど
数々のものを発明し生み出しています。
異常な寒さからミスター人類が、ホメロス(佐々木誠二さん)や孔子(伊藤和晃さん)や演奏家らを
自宅に避難させたかわりに、保護していた恐竜(加藤一平さん)、マンモス(加藤来洸さん)を
外に出さざるおえなくなります。

第二部
氷河期を乗り切った人類たちの生誕60周年を祝う記念式典が、一組ずつの様々な生物が参加して
アトランティックシティで行われます。スピーチをするのはMr.人類。
そしてMss.人類夫人からは「トマトが食べられる」「蚕から布が出来る」という
大きなニュースが発表されます。
ところが天候が悪化し、大洪水が起こります
一時はビューティーコンテントの優勝者・能天気(米倉紀之子さん)が、Mr.人類を誘惑し
Mss.人類との離婚を宣言したMr.人類でしたが、言葉を撤回し、動物たちと船に乗り込み難を逃れます。

第三部
戦争が終わり、女中として人類家に雇われていた能天気が戻ってきます。
ところが、休憩時間中に食中毒で数名の俳優が出演できなくなり、代役によるリハーサルが行われます。
そののち本番へ
Mss.人類と娘グラディス(上領幸子さん)の無事を確認して、平和を噛み締めます。
そこへ息子ヘンリー(髙草量平さん)とMr.人類が鉢合わせします。
戦争は、彼らの戦いだったのでした。
ヘンリーがMr.人類の首を絞めた瞬間。演じていたことを思い出す髙草さん
そして夜。
時間ごとの賢人たちの言葉に溢れる世界。静寂が訪れます

いやぁ~オモシロイ作品ですねぇ~
人類創造の歴史が、人類一家という一つの家族の中に納まってしまうこと自体が
驚きを通り越してもうバカバカしい程に滑稽な支離滅裂状態(笑)
そのめちゃめちゃな部分が、補う形での劇中劇の様相でフォローされていて、
その出演者は実名で演じるという(笑)
このお芝居は未完の作品と劇中だそうで、主演女優に「この作品、嫌い!」と
けちょんけちょんに言われ、出演者は食中毒?!
果たして舞台はちゃんと終わるのか?なーんてね
未完の作品といのは、それはまだ人類が滅亡してないから終わらないのかしら・・と
笑いながらも、ズキンと刺さる何かを持っている
不思議なお話でありました。
でも、まったく予備知識なしに拝見しちゃったもんだから
しょっぱなから、お口ぽっかーんとなりましたが、その意図がわかってくると
オモシロイオモシロイ・・ワイルダーさんという人はすごい人物なんですねぇ~
なかなかとっかかりがつかめないと、最期まで???となりかねない作品かもしれませんが
ホントオモシロイ
ちなみにわたしの最大のツボは
第二部で、Mr.人類に離婚を宣言されたMss.人類が、カバンの中から手紙を入れた瓶を
海に投げるシーンで、みんなが、せーので「ぽっちゃ~ん」
ちょっと脱力(笑)
でもその手紙の内容が、女性なら誰でも知ってる内容というなかなか意味深なもの
う~ん深い

で、この人類家の子供たちもかなり不思議なキャラクターで
ヘンリーは、聖書の『創世記』で嫉妬で弟アベルを殺したカインで、その印が額に書かれていて
グラディスは誘惑に弱い・・そこん所は、蛇に誘惑されるイブに似ていて
第2部で、船に動物たちを乗せようと誘導するグラディスが、蛇に異常な執着を持ったりして
戯曲を読んだら、もっといろんな深みが見えてくるんじゃないかと
観る度にわくわくの発見をして、楽しい時間を時間を過ごせて頂いたのでした。
で、戯曲が読みたいと、探していたら絶版で、なんと45,000円のプレミヤがついていて
これまたびっくりしたのでした。

私にとって、数年前に拝見した『チャリング・クロス街84番地』以来の人生二度目の劇団昴でした。
舞台監督でご出演の宮本さんは、地元の演鑑の会員さんでもありまして
当日偶然にお会いした演鑑の先輩から、ご紹介して頂きました。
初めましての宮本さんは、すごく朗らかで素敵な俳優さんでした。
鵜山さんぞっこんラブのわたしに、にこにこと語って下さる宮本さんは
ずっとずっと鵜山さんの演出を熱望しておられたそうです。
お稽古期間は、ずっとお稽古していたかった程とっても楽しかったと
いくつか鵜山さんの無邪気な(笑)エピソードを教えて下さいました♪
ありがとうございます!
そんな噂話なうに通り掛かる鵜山さん(笑)えへへ♪

宮本さんもそうですが、会場案内をされてる昴の方々が、すごく元気で気持ちのいい対応をされていて
それは、幕間の雰囲気をさりげなく見渡しても感じることができまして
劇団の良さに心が癒されたのでした。
今回は三回ほど終演後にアフタートークが行われまして
これが面白かったんですよっ
機会があればUPしたいなぁ~

6/9(土)~17(日) in 俳優座劇場
by berurinrin | 2012-07-05 23:04 | 観劇感想
<< オフィス300『月にぬれた手』 文学座5.6月アトリエの会『N... >>