地人会新社第一回公演『シズウェは死んだ?!』

地人会新社第一回公演『シズウェは死んだ?!』 in 赤坂RED/THEATER(5/10.14.19)

作  アソル・フガード/ジョン・カニ/ウィンストン・ヌッショナ
訳  木村光一
演出 鵜山仁

ここは南アフリカ共和国。
ポートエリザベスの黒人居住区にあるスタイルズ(嵐芳三郎さん)の経営する写真館。
ある日、ロバートと名乗る黒人男性(川野太郎さん)が、
なんでも田舎に暮らす妻に送る為に自分の写真を撮ってほしいと、
この写真館に訪ねてきました。

c0023954_1032348.jpg




チラシと同じ絵が掛かれたTシャツ買っちゃった(笑)
このチラシの絵・・ちょっとバランスの悪い人に見えますよねっ
でもよくよく見てみると人影になってるんですねぇ。
それも下の方からいくつもの指紋を重ねて描かれていたのでした。
この影も指紋も、このお芝居の中での大事なキーポイント。
そして黒色をベースに黄色と緑色の配色も、
決してブラジルをイメージしたわけでなく(製作のWさん曰く)
アパルトヘイト体制化で尽力したネルソン・マンデラ氏が議長を務めた
アフリカ民族会議の旗をモチーフにされているそうです

ってことで、目下公演中の『シズウェは死んだ!?』
まず、舞台を囲む壁に貼られた様々な大きさの写真にびっくり!
いやぁ~いったい何枚飾られているんでしょう?!
よく見るとあらら~東洋系も?日本人の子供の写真?!面白いですねぇ~
どうやら南アフリカに拘らず同時代に生きる世界中の人々の表情を魅せて下さっているようです。
それにしても写真の力って、圧迫感があるというか妙な緊張感を感じちゃいますね~
けれどそれらの写真に写る人たちが、この二人の行為を、時にむっつりした顔や笑顔etc表情を魅せながら
なんかちょっと上から目線な感じで達観してる気がして面白いんですねぇ

前半はスタイルズ氏のモノローグ。
スタイルズ氏が、この写真館を開業する以前の某自動車メーカーでの過酷な労働のお話。
白人の経営者、管理者の下で、右往左往して働く彼ら黒人労働者の苦難を
自身の持ち前の明るさで無邪気に語ります。
人を人とも思わない・・なんとも理不尽な政権下での出来事を、すきあれば彼らに膝かっくん(笑)
プライド高い民族性を魅せてくれます。
このモノローグで、スタイルズ氏のお茶目で魅力的な人物像が
ふぁ~と浮かび上がって心をぐっと掴んできます。
したたかに生きる事が、何よりも身を守る手段だったのかもしれません。
そして、登場するのが、ものすごい無邪気な笑顔(笑)スーツを着た紳士の割には、似つかわしくないボロボロの靴
怪しげなロバートと名乗る黒人男性。
ロバートと名乗る男性の本名は、シズウェ・バンシ。

そして彼が、ここ(写真館)に至るまでの話が始まります。
彼らを囲む境遇は、深刻で陰惨で陰湿なんだけれども、それでも人間のプライドを捨てずに
誰かの為・・遠い田舎で暮らす妻と子供たちの為に必死で生きようとする姿は、
潔いし、なにより彼自身がピュアな心を持っています。
字が読めないシズウェは、携帯義務のある身分証明書に何が書き込まれているか判らない。
一方的な異文化社会の組織の流れを理解することが出来ないのです。
そんな窮地にはまったシズウェを、ひょんなことから友人のブントゥがフォローしながら
紆余曲折・・目に見える見えない関わらずに沢山の人の助けを借りて(その中には、ロバートもいて)
今、ここにどーんと胸を張って立っている姿は神々しいけれど
それも底辺の中のちょっと浮いた程度・・シズウェ、とりあえずラッキーだったねっ!!
としかいいようのない・・・、当時の彼ら・・今後の彼らの境遇を考えるにつけ
自分達の国なのに好きに生きる事が出来ない
なんとも不合理で理不尽な、もの悲しい余韻を感じさせながらも
もしかしたら明日は、彼らにとって今日よりも生きやすい未来があるのかもしれない
それはそれは小さな煌めきだけど、輝きを信じられる気がします。
で、願わくば、ロバートさん・・一生指紋をとられないように、
くれぐれも犯罪に巻き込まれないように十分注意して欲しいものです。

で、この日は初日観ての2度目の観劇でした。
ちょっぴり硬さのあった初日と比べて、二人の俳優が本当に楽しんで演じているのが伝わってきます。
お話はシビアなものですが、いくつもの笑いのエッセンスがふんだんに撒かれていて楽しく拝見できます。
どんな状況下でも、やっぱ突き詰めたら笑っちゃうってことありますもんね。
それに以前は、黒人を演じるとき俳優が、ドーランで肌の色を黒く塗りたくるのが一般的でしたが
薄く肌の色を変えるだけで、私たちの想像力を助けてくれるようになりましたね
あ~でもあの髪型!すごい!嵐さん、川野さん双方のファン必見ですねぇ~
そーいえば、今は、アパルトヘイトはなくなり、身分証明書の携帯義務付けるパス法はなくなりましたが
言葉で地域の壁を作ってるって何かに書いてあった気がしました。
民族の違い、肌の色の違い・・・自分という生き物は一人しかいないのに、
人間って奴は、個人個性を尊重することが出来ないんでしょうねぇ
さぁ~週末またまた観に行っちゃおっかぁ~

って、週末観てきました(笑)
三回目Yeah~!(*^^)v
座席が、通路側の後方・・・で、酔っぱらったシズウェに絡まれちゃった(笑)
差し出された川野さん演じるシズウェの大きくて暖かい手が優しくて、照れ笑いなワタシ
「そんなに笑わないでよぉ~ヒック♪」なシズウェに胸キュン

どーしよ・・またシズウェとブントゥに会いたくなってきたっ!!!

5/10(木)~31(木)まで in 赤坂RED/THEATER
by berurinrin | 2012-05-19 23:30 | 観劇感想
<< 文学座5.6月アトリエの会『N... 『長崎ぶらぶら節』後半戦ツアー... >>