『キャサリーン・ヘップバーン~五時のお茶~』

『キャサリーン・ヘップバーン~五時のお茶~』 in 博品館劇場(3/28、4/1)

作  マシュー・ロウンバート
翻訳 まごいずみ
演出 鵜山仁

超大作映画『風と共に去りぬ』のキャスト発表を前にコネチカットにある自宅に身を寄せて
気を揉みながらも強気盛りの女優30代のキャサリーン・ヘップバーン(十朱幸代さん)。
「自分以外のスカーレット・オハラは想像できない」
子供の頃から大切にしていたヘップバーン家のお茶の時間を今もなお大切にしながら
過去のエピソードを語り始めます。
そんな中、ヒロインが無名の女優に決まったと告げる電話が・・・
そして月日が経ち、映画界から引退した70代のキャサリーンが現れます。

当日まで拝見できるかどうか・・そんな慌ただしさの中での日々を送っておりました。
久しぶりの観劇、久しぶりの博品館劇場、久しぶりの鵜山さんです(笑)
思えば、鵜山さんの博品館劇場は『ローゼンクランツとギルディンスターンは死んだ』以来!
(実は、某ミュージカル作品以来だと思ってましたf(^_^;))
あ~またいつか観たい作品です。『ロズ・ギル』っ!!
久々なのでテンションが上がってます(苦笑)

舞台は、キャサリーンの故郷コネチカットにあるご自宅。
当時のゴシップのネタに不自由されなかったのかどうか・・
新聞記事が貼られた窓枠のセットが面白いです。
正面の水平線のように見える正面のスクリーンからは、海をイメージさせる水の映像から
この家が、海辺に近いところの屋敷を思わせます。
それら外側の豪華さをイメージさせつつ、室内の新聞記事が貼られた部屋のセットが
キャサリーン自身の外面の華やかさとその反面
彼女の抱えこんだ人生の明暗の片鱗が見え隠れする気がしました。

複雑な事情を抱えた家族を支えつつ、トップ女優として生きるキャサリーンに対して
業界や世間の目は、決して温かいものではなく、抵抗するかのように体に鎧をまとって
何事にも強気でいる姿勢は、痛々しく切なくも感じます。
別に自分と比較するつもりもないのですが、でも長女気質は一緒かも(笑)
先程、愛猫ベルを亡くし火葬やらで葬儀社予約しなきゃで、
会社を休む為に、職場のとっつあんに電話をしつつも・・
気持ちと行動がぐちゃぐちゃ号泣状態の私でありまして
後日「あの電話を録音しとけばよかった」と、とっつあんに言われ
「そんなことをしたら、(弱みを握られているだけに動揺して)
絶対に仕事で間違いを起こすからねっ!」と逆ギレしておりました。

いい歳を重ね独身で、そこんところは自由と引き換えに、やっぱり一人で今後
背負ってしまうものもそれなりに多いし、覚悟はしているつもりですが
どっか、角というかぴんとしたところがあって、そこに触れたらやばいぞという
まぁ自分の弱い部分なんですが、そんな他人に見せたくない部分が、
月日を経過するに従って、なんとなく角のとんがった部分が、
平たくなって大きくなって台形になって、いつかぺったんこになって
何にも動じなくなるといいなぁ~と思いますが
それも経験を積ねていくからだと・・とんがりまくりの私は、まだまだ未熟者です。
って何を伝えたいのか、とっちらかってしまいましたが・・

とはいえ、大女優キャサリーン・ヘップバーンと彼女に絡む業界の人たちに対して
まったく無知でして・・名前が飛び出すたびに、正面スクリーンに映る写真で
「おっ、なんか見たことあるぞ」程度で、お恥ずかしい・・・
さすがにクラーク・ゲーブルとヴィヴィアン・リーは、わかりましたが(笑)
彼女の映画は一度も観たことがなかった・・・・残念。
大女優というよりも、仕事に生きた一人の女性としての見方かもしれませんが
どんな女性の心の中にも大なり小なりのキャサリーン像が生きていて
もしかしたら、強さと弱さのはざまで、日々生きているのかなぁ~と思ったりしたのでした。
そんな感じで、初めから終わりまで、目を離せなくて目の前の分身のように
気が強くて時に華奢で可愛らしい姿を魅せるキャサリーン=十朱さんに
釘付けになってしまったのでした。めっちゃ愛しい作品でした。

終幕、椅子に腰かけて、今は亡くなってしまった愛しい人たちに向かって
「おいで」と手で呼ぶしぐさをされる時に、ふわっと周りを包みこむような
陽だまりの暖かさのような優しさに、ふと泣きたくなってしまいました。

なんかねえ~久しぶりの観劇で
客席に座っただけでテンションが上がるもんですね
観終わったら肩の力は抜けて脱力で、外は春だし~気持ちのいい時間を過ごさせて頂きました
やっぱ鵜山さんの演出は、わたしにとって万能薬かもしれません♪

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映画好きな母のライブラリーから『旅情』パンフの表紙発見しました。
なんかキャサリーン・ヘップバーンかっこいいですねぇ~

3/28(水)~4/1(日) in 博品館劇場
by berurinrin | 2012-04-08 19:25 | 観劇感想