岸田國士傑作短編集『明日は天気』『驟雨』『秘密の代償』その3

文学座公演・紀伊國屋書店提携

岸田國士傑作短編集『明日は天気』『驟雨』『秘密の代償』その3
                               in 紀伊國屋サザンシアター(11/4)

作  岸田國士
演出 西川信廣


『秘密の代償』


小間使いのてるさん(渋谷はるかさん)は、女主人・数子さん(塩田朋子さん)に
突然の暇乞いを申し出ます。数子さんが理由を聞いても明確な答えを出さない、てるさん。
夫・貞則さん(菅生隆之さん)もしくは息子・貞守さん(斉藤祐一さん)が
てるさんを誘惑したのかと考え、数子さんは一計を案じます。

『明日は天気』『驟雨』そして15分の休憩の後は、『秘密の代償』。
引き出しの中から、内緒で現金を盗んで、数子さんに暇乞いをする・・てるさん。
数子さんは、今までの働き振りを思い出すにつけ、
てるさんの唐突の申し出に納得いきません。
原因として数子さんの頭に浮かぶのは、年頃の息子と夫が誘惑?!
「はい」とも「いいえ」とも言わないてるさんに対して
あーだ、こーだと想像を巡らす数子さんのめくるめく(笑)妄想に、くずぐったい気持ちにさせられ
夫と息子、夫とてるさん、息子とてるさんと様々な二人の関係の
微妙な温度差の違いが、これまたハラハラどきどき(笑)
一歩間違えるとドタバタ劇になりそうな所を、そこんところはさすが品良くセレブらしく
それにしても良いタイトルですよね。ちょっとサスペンス的な香りもみせつつ
おおっ(笑)こういうお話しなのねぇ~とギャップもあって、楽しく拝見させて頂きました。

さて、一見落ち着いた奥様・数子さんですが、
てるさんと夫が?!と自己的脳内想像(笑)したときの
おたおたと豹変振りは最高です!
あの双眼鏡で覗く塩田さんの優雅さな動作と相反する
内面の爆発しそうな感情を押し殺した姿・・怖~い(笑)
そんな塩田さんは『くにこ』では、おばあちゃんからセクシーな秘書まで
ありとあらゆる女性の姿を魅力的に演じ分けて下さいました。

小悪魔代表は、てるさんを演じられた渋谷はるかさん。
渋谷さんのあの上目遣い、首をかしげる姿ってば、可愛すぎてヤバイ(笑)
父子共々揃って翻弄されちゃいましたねぇ~うん、でも仕方ない(笑)
そんな渋谷さんは『カラムとセフィーの物語』のカラムへの純愛に
突っ走る少女セフィーを熱演されていました。

数子さんのご主人は、貞則さん。もう・・・お茶目だし色気もあるし素敵なパパ!
演じられたのは、菅生隆之さん。
その味わい深い存在感・・いいですねぇ~素敵でした(笑)
下心見え見えのあの動作、あの軽やかさ(爆笑)
わが町』では、悲哀漂う酔っ払いで聖歌隊のオルガンを弾く
サイモン・スチムソン氏さんを演じられていました。

ちょっと若造な感じの貞守さんは、斉藤祐一さん。
手を伸ばしたいけど伸ばせない・・理性と教養が本能に打ち勝ったぁぁぁぁ~
でもぉぉぉ・・そんな勢いのあるテニスのサーブシーンもありましたね(笑)
まさに文学座のテニスの王子さま!(公式ブログご参照下さいね!)
あの斜め目線のおすましさんの眼差しは、かなりポイント高いですよね
てるさんからの手紙で、同時刻に同じ場所に父と息子がかち合って
お互いに本音を語らず譲らずに、目的をごまかしながらのシーン。
解っていながらも本当にくすくすと可笑しいシーンでしたね。
そんな斉藤さんは、『ダーヴィンの城』では、子供を誘拐された父親を
エキセントリックに演じられていました。
俳優のみならず、作家としての側面を持っておられます
同期ユニットunksのメンバーとしてのご活躍なうです★

三作品とも味わいがあって楽しかったですね。
3つのカップルの物語、すれ違う感情だとか、男女の目線の違いとか
時にポップで可笑しくて、ちょっぴり切なくもあったり
時代が変われど、男女の仲は、変わらないもんなのねぇ~なんて
思いながら楽しく拝見させて頂きました。
背景のクリムトの男女の絵が寄り添いながら、
息を潜めて三つの物語を覗いているようです。

11/4(金)~11/13(日) in 紀伊國屋サザンシアター
11/20(日) in 八尾市プリズンホール
11/23(水・祝) in 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

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by berurinrin | 2011-11-07 23:42 | 文学座観劇感想