新国立劇場『イロアセル』

2011/2012シーズン【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─Ⅱ
新国立劇場『イロアセル』in 新国立劇場・小劇場(10/18)

作  倉持裕
演出 鵜山仁
美術 乘峯雅寛
音響 栗原亜衣

この島の島民は、おのおの言葉に異なる色を持っています。
文字を書いても同じ。なので、発言するとすぐに個人を特定できてしまうのです。
彼らは、ファムスタという機械を常に携帯して、声を調節しながら
自分の発言に細心の注意を払いながら生活をしています。
ある日、この島に牢が作られ、本土から看守(小嶋尚樹さん)に伴われた囚人(藤井隆さん)が収監されます。
なぜか、この二人の周りでは、色を発する島民たちも普通の人同様に色が見えません。
島民たちは、入れ替わり立ち代り囚人の元を訪ね本音を語り始めます。

イロアセル・・・・。 いいタイトルですね印象的つーか好きです。
まさにそんなお話でした。
その島に住む人々は、人それぞれ言葉に色を持っています。
朝、目覚めて「おはよう」とつぶやけば
その人の言葉と共に色が、ふあふあと空に向かって飛んでいき
皆が持っているファムスタを通して、色や人物やら言葉が分析され
島のありとあらゆる人から「おはよう」の返事の言葉の色が、
ふあふあと浮かんできます。
文字もそう・・紙に書くとその人の色が付いて文字が、飛んでいくそうです。
ロマンチックといえばそうかもしれないけど・・
この島には「独り言」「つぶやく」という言葉がないのかもしれませんね。
なんかシンドイ世界・・。

ふと思ったのは、twitterみたいだなぁ~って
だって「おはよう」とつぶやけば、
わたしの言葉が不特定多数の全世界に広がりますよね
そして自分の名前が付いているから、いくらつぶやきだからって
本心のつぶやきは、書けやしない。
やっぱり他の人が見てることを意識しながら、つぶやかざるおえないです。
でも、それは本音じゃない。
この島で生まれ育ったアズル(加藤貴子さん)のように、浮かぶ色、言葉だけを素直に信じて
生きていくことが幸せなのかな・・と思うけれども
ちょっと擦れてしまった自分的には、知らず知らずに自分を守る為の手段に思えて
なーんてちと可哀相・・・
この島の色の世界じゃないけれど
twitterの情報の多さに戸惑いも・・・インターネットなら自分の欲しい情報を選択して
入手する自由があるのにtwitterは、自分の中にどんどん入ってきます。
その中には、知らないでいた方がよかった情報も
この世界には、自分の判断能力が失われそうな気がします。
情報の流れに溺れないようにしないとね。
なんか便利だけど不自由になった今を思いました。

そんな色のない囚人とその周辺の色のない世界は、情報の宝庫。
さしずめ囚人はブロガー、う~ん、もっとアナログで新聞記者。
とっても優しく丁寧に話を聞く囚人さんですが
その目は鋭いですね。
どんな罪を犯したのか?!そこには触れていませんが
とてつもない大罪を犯して、人との接触を禁じる為に
ここに移されたのかもしれません。

な~んて、つらつらだらだらつぶやきのように感想を書いてしまいました(苦笑)
文学座からは、島発祥のスポーツ競技・カンチェラの審査員エルデ氏を演じられた松角洋平さん。
囚人さんと看守さんに審査員風景を演じて見せるシーン。
「♪ちゃらら~ん、きら~ん♪しゃんしゃ~ん♪」
・・・くれぐれも松角君のオリジナルです。
囚人さんってば、かなり無茶振り(笑)でも松角君的にはオイシイ・・
その上、看守さんに髪の毛むしられちゃうし・・
なんと松角君「マジに(髪を)むしって下さい」と、お願いしたそうです。
おかげでわしゃわしゃやられていましたねぇ~(><)
短い出番ながら、インパクト大。かなり素敵な役どころです。


初日のこの日は、私の席の二つ後ろに『連結の子』の演出をされたイケメン演出家(笑)上村聡史さん
お茶目で美しい山崎美貴さんがご覧になっておられました。
上村氏に『連結の子』の再演とかどうですか?と伺ったみたところ
上村氏「その時は、ホンを少し変えて・・」
私「ほー」
上村氏「演出も変えます」
私「演出家も変えたりして(笑)」
上村氏「キャストも変えたりして(笑)」
美貴さん「え~っ!!いやぁ」
(爆笑)
ねーねー美貴さんってば、可愛いでしょう♪

で、終演後は、お二人とご一緒に楽屋での初日乾杯に参加させて頂きました。
今回は、舞台美術は乘峯雅寛さん。そして音響は栗原亜衣さんと祝・新国立デビューのお二人。
お二人とも終演後は、かなりお疲れ気味でちょっと興奮冷めやらず・・といった感じ。
本当に大変だったと思います。
でも、すごーく素敵な笑顔!よかったよかった
っと、あれっ采澤靖起さん?!の姿・・・なんとプロンプさんで付いていたそうです。
「僕の声解りました?」
「えっ??」
なんと、ちゃっかり最後のシーンでは、TVからの実況中継の声として
参加されていました(パンフをよく読んだら名前もちゃんと!)
山羊・・・それって・・・もしかして・・・シルビア?』では茶髪さんでしたが
すっかり黒髪に戻った采澤さんでした。

さて、さて、さて(笑)2年ぶりの新国立劇場での演出作品の鵜山さん。
人気者の鵜山さんなので、お客様や関係者の方に囲まれっぱなし・・・。
でも楽しそうに談笑されているので、いい初日なんだなぁ~と♪

そんなこんなで文学座の方々が沢山関わっているこの作品。
心にヒットしないわけがない
遠い未来の架空の島のお話ですが、何故か身近に感じちゃう・・
不思議で素敵なお話です

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このペーパーは、劇中上からばっさー(笑)と落ちてきました
囚人さんが書いた情報です。
ちゃんと丁寧にニュース記事が書かれています。


10/18(火)~11/5(土) in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2011-10-25 21:44 | 観劇感想