静岡市民劇場井上ひさし追悼例会こまつ座公演『父と暮せば』

静岡市民劇場井上ひさし追悼例会
こまつ座公演『父と暮せば』 in 静岡市民文化会館(7/7)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁

広島に原爆が落ちて3年後。今にも崩れそうなこの家に一人で住んでいるのは
美津江さん(栗田桃子さん)です。
図書館に勤める美津江さんは、ある日恋をします。
けれど原爆によって愛する人たちを尽く失った美津江さんにとって
生き残ってしまったという罪悪感から、恋心も疎ましくその心を固く閉ざしがちです。
そこへ亡き父・竹造さん(辻萬長さん)が現れます。
娘のために、娘の恋の成就のために・・・

今日は七夕。
また夏が巡ってきました。
今年の『父と暮せば』は、静岡で初日を迎えました。
ということで、今回は静岡市民劇場さまにお世話になり拝見させて頂きました。
ありがたいことです。

さて日帰りプチ遠征。
横浜から東海道線に乗って熱海経由で静岡駅へ。
亡くなった祖父が、半年ほど湯河原の病院に入院していた事があって
何度か通った電車です。
あんま景色変わってないなぁ
当時の事を思い出しながら・・・、約4時間。すっかり冷房で冷え冷えになりました。

富士山を境に周波数が60hzに変わる東海地方。
やっぱり静岡駅は明るいですねぇ~。
雨がぽつぽつ降る中を、約20分程てくてく歩いて
お約束のように、ちょっと迷って(もちろん想定内)お堀の周りをぐーるぐると
静岡市民会館に到着です。

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ロビーに入ると、一息ついてる演出助手の西本由香さん発見です!
飄々として凛々しい西本っつあんは、
『父と暮せば』を始め『くにこ』『化粧』『イドメネオ』そして
山羊・・・それって・・・もしかして・・・シルビア?』と
ここんとこずっと鵜山さんの演出助手&スタッフをされていて、大事な大事な
縁の下の力持ちさんなのです。
鵜山さんが忙しいって事は、西本っつあんも忙しいということで
ホントホントお疲れさまです。いつも助けて下さってありがとうございます。
でも、(鵜山さんを)好きになったらお互いフェアで行きましょう♪と
自分でもよくわからない毎回のお約束のご挨拶(笑)
ほらヤキモチ焼きのファンなものでf(^_^;)
終演後、そんな鵜山さんと西本っつあんのお仕事風景を垣間見せて頂き
また改めて、西本っつあんに感謝感謝であったのです。
で、鵜山さんのかっこよさにみとれーの(笑)
そんな姿を桃子さんにツッコミを入れられーのって(笑)

約1200席の大きな会場です。
こんな大きな会場で、この作品を拝見するのは初めてですが
天井が高いので、セットの全体像がよくわかって観易いです。
音響は、ちょっと俳優の話す向きによって聞きずらいかもしれません・・
なんて、左右きょろきょろ眺めていたら
「♪ちゃんちゃらららん、らんらんらん・・・・ごろごろごろ・・・・♪」と、
柔らかな音楽から雷の音に変わる耳に馴染んだ前奏が流れて
静かに幕が上がりました。

美津江さんが、揺れ動く心に無理やり蓋をしようとする姿のいじらしさ・・
頑なな表情の先には、瑞々しい感情が今にも溢れて流れ出そうと
ばっしゃんばっしゃんと音が聞こえてきそうです。
わたしは、桃子さん演じる美津江さんが大好きです。
頑固で天邪鬼で、いじっぱりで泣き虫で・・
おとったんも、おとったんで創作したお話を美津江さんに披露しながら
何かに憑かれたように話が止まらなくなる姿に、狂気を感じました。
やっぱりオカシイ。
昨日まで、普通に過ごしてきた人々が
なぜ今日も昨日と同じように過ごせないんだろうか・・・

改めて・・このお話は、二人芝居です。
広島に落ちた原爆で、一瞬のうちに引き裂かれた父と娘のお話です。
たった一人生き残った美津江さんは、「生き残ったしまった」ことを罪だと思い
亡くなってしまった全ての人の加害者のように、その罪を背負って生きてきました。
ある日、突然ふと現れた男性に心ときめかせた美津江さん。
美津江さんの目の前に、おとったんが現れます。
3.11の地震の影響で、美津江さんのように「生き残ったしまった」と
家や肉親を失くされた年配の女性が避難所でインタビューに答えていました。
ここにも一瞬にして理不尽に引き裂かれた家族の方々がいらっしゃいます。
そしてたくさんの美津江さんが、たくさんのおとったんの無念さが
存在しているんだと思うと堪らない気持ちになります。
でも、大きな震災をへて
今、ここに居てくれたこと。それでも生きていてくれたこと
わたしごときが、おこがましいけれど
「生きていてくれてありがとう」と、祈るように心から想っています。
そしていつの日が、皆様に美津江さんのように輝く笑顔が戻ってきますように。
そして私たちは、いつまでも忘れないように

『父と暮せば』は、地方公演を経て8/17~24まで
紀伊國屋サザンシアターで公演があります。
いつもにもまして、今、わたしたちの思いを芝居が代弁してくれてるような気がします。
この作品が繰り返し上演される意義を・・・
ぜひ観て感じて頂きたいと思います。
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by berurinrin | 2011-07-08 22:21 | 観劇感想
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