unks第3回公演『蟻』

unks第3回公演『蟻』 in 新宿ゴールデン街劇場(7/4)

作  秋乃桜子
演出 高橋正徳
美術 乘峯雅寛(unks) 


柳沢家の三男一女。
戦地から戻ってきた長男・武彦さん(斉藤祐一さん)を待っていたものは
父の死と義妹・凍雨子さん(上田桃子さん)との婚約の破談でした。
父の命令で凍雨子さんは、かねてより好意を持っていた戦傷軍人の
次男・幸彦さん(亀田佳明さん)との結婚することに
頭脳明晰な三男・晴彦さん(細貝光司さん)は、新型爆弾を製造することで
頭が一杯のようです。
折りしも時代は終戦間近、東京は空襲による爆撃にさらされています。
柳沢家の霊廟で誰かに殺害された父。
凍雨子さんを諦めきれない武彦さん。
武彦さんは、そこで地下に続く隠し扉を見つけます。
その奥には、なんと凍雨子さんによく似た女性(山像かおりさん)が・・・・。

unks公演、第3弾の会場は新宿ゴールデン街劇場。
花園神社の真裏にこんな飲み屋街があるなんて・・・
昭和の時代に取り残された感もある、ちょっと不思議な町並みです。
会場は40人も入れば、もう満席という、小さな小さな空間の中。
まるでタイトルの『蟻』の巣の住人のような私達。
そこにはステージと客席の境界線さえ見えない暗い暗い穴倉のようです。

誰もが心の奥底で持ってる愛と憎しみ善と悪・・そして欲。
外では空襲の音が響き渡り、まるで生きてることが奇跡のような切迫した中。
それぞれ持つ全ての感情が、狂気に変わるさまは
なんて魅力的で色っぽいんだろう・・なんて、アブナイアブナイ
危険な感覚に陥りそうになってしまいました。

狭い空間で、いったいどんな舞台美術を魅せて頂けるのか?と
ねぇ乘峯雅寛さんと、実は心の中で、ちょっと挑発してました(笑)
ところがどっこい
女(ダンプ松本さん)の持つ万華鏡のような動きに
時に翻弄され、圧倒されました。
シーンの度にくるくる変化を持つ照明の面白い事。
まるで彼らの感情を表しているかのように感じました。
いやぁ~ラストシーンの青空の後に見せられた、うにょうにょにはマイッタナァ・・(苦笑)

作者は、秋乃桜子さんこと凍雨子さんのお母さんを演じられた山像かおりさん。
最近次々に作品を発表されて、作家としても注目の存在だと思います。
今回はunksの為に書き下ろされたこの作品。
仄かに匂う危険な香り満載・・面白かったですね
わたしもこの機会に、ほかの作品を拝見させて頂きます(*^_^*)
演出は、前作『1960年のメロス』を演出された高橋正徳さんです。

さて、義妹が恋しいあまり戦場から逃げだしてしまった長兄・武彦さんを斉藤祐一さん。
思えば、斉藤さんが感情をむき出しにした芝居を初めて観ました。
どちらかといえば、可愛らしいお顔(失礼!)ひげを伸ばして一変ワイルドな雰囲気満載。
こんな表情を魅せるんだぁ~と、新鮮な驚きでした。
そんな斉藤さんは、昨年のアトリエの会『ダーヴィンの城』では、
赤ちゃんを誘拐された若い父親でDVのミウラトモキさんを演じられていました。

兄・武彦さんの婚約者だった義妹・凍雨子さんと愛し合っていたのは次男・幸彦さん。
亀田佳明さん。戦場で負傷して戻ってきて、父の命令で凍雨子さんと婚約することになります。
戦争で一転、彼の運命も変わってしまいます。
そんな繊細な心の闇が、亀田さんの体からゆらゆら湯気のように立ち上ってくるような独白。
わーって感じ(笑)←薄い感想ですみません。だって、わーってわーだったんだもん(笑)
そんな亀田さんは、劇団1980『麻布怪談』で主演の超モテ男・善四郎さんを色気満載で演じられました。
カラムとセフィーの物語』では、
人種、身分の違い超えて愛に殉じるカラム青年。

三男の晴彦さんは、細貝光司さん。
兄たちを見て育ったのでしょうかね?!
研究に没頭して、本を捲りながら目線を合わせないで会話する姿が、怖っ!!(笑)
最新兵器を作ることに全身全霊をかけた姿があだとなり
敗戦した現実で自己のアイデンテティーが消滅して、自殺を遂げる姿は
怖さよりも悲しかったですね。
そんな細貝さんは『思い出のブライトンビーチ』で
正義感があっておっちょこちょいのお茶目なお兄ちゃんスタンレーを演じられました。

二人のお兄さんから愛される凍雨子さんは、上田桃子さん。
あのジェットコースターのような超長独白、圧倒されました。
共に空襲で逃げ回った友人の死の状況を早口でまくし立てる姿は
尋常じゃない恐怖を感じました。
その姿をじっと見つめる幸彦さんの姿も・・。
小さくて華奢な体から想像もできない熱を出す桃子さんの姿
観客をすべて飲み込んで吐き出す破壊力があったのでは・・すごかった・・
そんな桃子さんは、『くにこ』では、向田家の次女・柚子さんを演じられました。

自分たちがやりたいことを劇団の枠を超えて表現していこうとする彼ら
すでにメンバーの個々が表現者として主役を張れる程の活躍をみせる中での
unksというユニットの存在。
彼らが、より高みを目指している姿勢を感じます。
そんなunksこれからも見逃せないユニットであることは、間違いないです!! 

さて、リンクを追加いたしました.
unksのメンバー細貝さんのブログ『細貝光司』の気ままな、演劇日記。。。です。
お茶目な素顔をのぞかせる(笑)ほのぼの感ありの素敵なブログですョ

6/29(水)~7/5(火) in 新宿ゴールデン街劇場
by berurinrin | 2011-07-04 23:19 | 観劇感想