<日本の戯曲 春から夏へ>『鳥瞰図』

<日本の戯曲 春から夏へ>『鳥瞰図』 in 新国立劇場小劇場(5/13)

作  早船聡
演出 松本祐子

[名](スル)鳥が空から見おろすように、高い所から広い範囲を見おろすこと。また転じて、全体を大きく見渡すこと。
俯瞰(ふかん)。「山頂から市街を―する」「日本経済を―する」
ちょうかん‐ず【鳥瞰図】(大辞泉より)
東京湾岸のとある町の釣り船宿「升本」を経営しているのは茂雄さん(入江雅人之さん)と
母の佐和子さん(渡辺美佐子さん)。ほとんどが埋め立て地と化したこの湾ですが
昔は渡り鳥の休息地であったそうです。
現在は馴染みの客を中心にほぞぼぞと営業している「升本」に、ある日
事故で亡くなった佐和子さんの娘・波子さんの子ミオさん(野村佑香さん)がやって来ます。

この作品の初演は、2008年6月・・いまから3年前になります。
前・演劇部門芸術監督だった鵜山仁さん♪の時代でした。
思えば、ラブリーな鵜山さんの時代。
どれもこれも斬新で、あ~こういう作家もいるんだ、こういう時代もあるんだぁ
こんな舞台機構もあるんだ、こんなところで芝居できちゃうんだ
演劇ってこんなこともできるんだ・・と、拝見する度に、びっくりしたもんです。
そして次回は、何が起きるんだろう?と、毎回わくわくのうきうき状態でした。
その結果、常に賛否両論の評価が付きまとっていましたが・・・
それはしょうがない。新しいものには必ずリスクがつきますから・・
やっぱり新国立劇場という、日本の演劇の頂点に存在する劇場ならではの
他の劇場、団体ではどーしても諸事情等でやりたくても出来ない取り組みを
新国立では、リスクを恐れず、真っ向からぶつかって欲しいと思います。
今後のレパートーリー素敵ですよね~とても楽しみです。
でも、他の商業演劇のようなキャストの置き方ではなくて、
実力があるけれども表面に上がってこない俳優をキャスティングして
「こんなすごい人もいるんだよ!」って広く世間に広めて欲しい・・・
そんな役割もあるんじゃないかなぁと思ったりもします。

なーんて偉そうにすみません。
当時は、しょっちゅう通って通いすぎた感もある新国立劇場でしたが
すっかりご無沙汰・・約一年ぶりの新国立劇場でした。
やっぱ久々の新国立・・・イイ!大好きな劇場です!
もう友の会もやめちゃおっかな・・・なんて思っていましたが
これからも、もしや・・と思い、それも手違いでゴールド会員になってました私。
ま、いつものおっちょこちょいですから
なもんで今後も期待してますよ!そこんとこヨロシクです。

さて、『鳥瞰図』。
初演の時は、同じ時代を生きる新しい時代の劇作家と異世代の演出家によるコラボという
そんなコンセプトでしたが
いまや、早船聡さんももうメジャーな方になってしまいました。
当時、初の早船作品だった私でしたが、各場所でお名前を見聞きするようになりました。
3年の月日の経過って、すごいですねぇ~

演出は、前回同様に文学座の松本祐子さん。
キャストは、船宿の社長・茂雄さんが、浅野一之さんから入江雅人さんに変更されました。
入江さん演じられる茂雄さんは、誰に対しても穏やかで面白くて
でも絶対本心を見せない・・そんな壁を周りに作っている孤独さを感じました。
色んなものを背負っちゃって、それを匂わせないところにその重さ、その大きさ・・・
男の人は大変ですねっ
そんな内面を、さらっと見せちゃう演出の祐子さん・・かっこいいですね
見えない家族、もう会えない人に思いを馳せる・・
なんか懐かしくて、温かい人の優しさをしみじみ感じ入りました。

浅野雅博さんがご出演。
ほがらかな弟キャラの照之さん。
よりいっそう趣味と実益を兼ねた役作り(笑)に磨きが(笑)
さっすがぁ~浅野さん。
あの日焼けした姿も役作り?!と、思いきや、ちと違いました♪
ほのぼの~とした明るいキャラクラーでも、年相応の色んな問題があります。
問題を抱えているのは、自分だけじゃない
そんな一抹の寂しさとエールが漂う秀作だと思います。

そうだ!この日、会場で声を掛けて下さったのは
山形演鑑の会員さんで、浅野さんのファンの方でした。
浅野さんのファンの方は、本当に皆さん温かい人が多いのです。
震災で、気になっていた方のお一人だったので、お会いできて
声を掛けて頂けて、とても嬉しかったです。ありがとうございました。

5/10(火)~22(日)まで in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2011-06-09 01:18 | 観劇感想
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