長崎市民劇場第402例会・こまつ座『化粧』

長崎市民劇場第402例会・こまつ座『化粧』in 長崎市民会館(4/28)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁

10日後には取り壊しになるという寂れた感じが漂うこの小屋。
この「五月座」の座長であり看板女優の五月洋子(平淑恵)さんが、
むくりと起き上がり、これから上演される出し物『いさみの伊三郎』の
伊三郎に変身する為のメイクに取りかかります

こまつ座『化粧』の大千秋楽を拝見しに長崎に行ってきました~
長崎ですよ!
もうねぇ、高校の修学旅行以来で~す!
明るいんですよ街の照明が・・・眩し過ぎるぞぉ~(笑)
ほら関東じゃ、震災以来の電力不足や省エネで薄明るい照明ですから
薄明るい世界も慣れれば、なかなか乙なもんです。
で、打って変わっての、この60HZのまぶしさ・・・、いいんです。
穏やかな・・な~んて事のない明るさに満ちた普通の日常が
伝わってくるじゃないですか、ねぇ~

会場は長崎市公会堂大ホール。
観光名所の一つ、めがね橋の近くです。
長崎に到着早々、ちょいと仕事のことで、一緒に仕事してるとっつあんに電話。
九州人のとっつあんは、仕事の話より
「ほら、中華街行って昼飯食え」とか「あそこの店のちゃんぽん旨いよ」とか
昨日会社で教えてくれればいいのにさぁ、電話口じゃわからんちゅーの。
昼間の公演だし、まずは会場の場所を確認してから、
とっつあんのお勧めのお店を探してみよう、時間はたっぷりあるんだし・・と
てくてくJR長崎駅から歩いてみたものの・・・完璧迷った。
坂を上がったり下ったりしながら、市役所の周りをくるくると・・約2時間。
やっとこさ会場を見つけ出し、あわわ時間が・・・
まっ、いつものパターンですが

さて『化粧』
紀伊國屋ホールで拝見したのは、今年の一月
年明け早々の思えばわたしの芝居初めでした。
思えば、淑恵さんの体当たりでぶつかる五月洋子さんに
圧倒されっぱなしでした。
あれから四ヶ月・・。
五月座の看板女優が旅から旅へと芝居小屋を渡り歩いたように。
旅を重ねた『化粧』です。
演じながら劇中劇「伊三郎別れ旅」の“いさみの伊三郎さん“のメイクを仕立てていく
淑恵さんのその一連のしぐさが、流れのようにごく自然にみえてきます。
それも観客のツボを心得ながら・・これが、またにくい(笑)
いかにも慣れ親しんだ生活の一部と化しているような流暢な動作です。
その見せ方が、すれっからしいつーか(*^_^*)
後ろの方の席でしたが、白粉の香りが漂ってきそうな
健康的な色気をかもし出されています。
羽織った浴衣から肩をするっと見せると、客席からは「おおっ!」と
足にお化粧を施す為に、素足を見せると、またまた客席のどよめき・・
客席から自然に出てくる歓声でした。

後半は、五月洋子さんの演じる“いさみの伊三郎“こと伊三郎さんが
長い間離れ離れになっていた母親と涙の対面するという・・
感動的な大衆芝居「伊三郎別れ旅」と平行して
芝居の為、生活の為に捨てたはずの実の息子が、有名な俳優になって
この楽屋に五月洋子さんを訪ねて対面する様子が描かれます。
五月洋子さんの元に現れた親子の対面は、残念ながら
お互いの首に掛けていたお守りの神社が違う・・ことで
願い叶わずに終わってしまいますが
劇中劇の「伊三郎別れ旅」では、お互い違うと知りつつも
求め合う母と息子の存在を、埋め合わせるかのように親子関係を作ってきます。
まるで彼女の願いのような夢のような憧れのような心情がぴったりと重なり、
今までの半生が芝居と溶け合い
「おっかさ~~ん!!」のラストの魂の叫びと共に昇天していく
五月洋子さんという、幻をみせて頂いた気がしました。

大千秋楽のこの日、カーテンコールではスタンディングも起こりの
すごい盛り上がり!
この瞬間に立ち会えたことに感動しました。
大拍手の後に現れた五月座座長・女剣劇士の五月洋子さんの姿はいったい?!
淑恵さんの小さな華奢な体のどこにあんなパワーがあるんだろう?と
何度もカーテンコールに現れる姿は、はかなげで可憐な美しい女性でした。

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by berurinrin | 2011-04-29 23:41 | 観劇感想
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