<エンターテイナーの表現力メソッド・ワークショップ>その2

『化粧』の中には名台詞が、いっぱい詰まっている・・と、演出の鵜山仁さん
「本当にそう」と平淑恵さん。
ぱらぱらとテキストを見ながら鵜山さんが
「女性を前にしてちょっと・・」とおっしゃりながら
ここはちょっとふんどし締め直し・・(略)座長は女性だから・・誰だいい今言った
ここのところの座長と座員の関係について
元地人会の代表、ずーーと『化粧』の演出をされておられた木村光一さんを
訪ねられ時に、このシチュエーションは
「五月洋子さんと発言した座員との関係は、男女の関係があって
そういう音を出すように」とアドバイスを受けられたそうです。
お客さんの品性もあるし、そう受け止めてもらえるかどうか解らないし
平さんのご家族が客席におられたら、平さんを中心に見てしまう。
でも鵜山さんご自身は、
「長く稽古場に居て、平さんの台詞を聞いている(透明座員)役者の顔を見て、
その台詞を聞いている気がする」
淑恵さんの言葉をサッカーのボールに見た立てて
芝居の台詞は、サッカーのボールみたいで、ボールの動きだけ見ても
サッカーの面白さはわからない。
お客さんの心に(ゴールに)ゲットするために、11人ないしは22人が
動くのが面白いし楽しい。
とにかくボール(台詞)を巡って、11人ないしは22人が、どう機能しているか
22人の人生がどう繰り広げられるのか?
目に見えないものとの格闘を、10人からいらっしゃるスタッフの方々と
稽古場の日々を楽しまれておられるそうです。

「そうやって一行一行、音を変えていく作業をどうやって作っていくか?」と、鵜山さん
「ちょっと時間をかけてやってみましょう」とか
「ゆっくり言ってみましょう」とか「表情をかえてみましょう」
普段やらないしぐさ、普段やらない姿勢、腰の角度ちょっとかえたり・・
それらフルに動員して、この芝居の温度の可能性を、どう高めていくか
音を変えるポイントを探り出して変化を重ねていくそうです。

その中でも音を変えることに一番役に立つのは、
人との交流だそうで、
交流する事で、自分が啓発されて思ってもみない声が出る。
相手を発見することで、声が変わる。
相手に触発されて、とんでもない声が出たり
相手によって心良い場合があったり、相手の意外な発見によって
もたらせられる交流。
相手といかに呼吸、心を合わせて、それによって化学反応を起こして
思ってもみない会話の進展によって、自分と違う世界の発見があるそうです。
黒板に「チェンジ」と書いて説明して下さる鵜山さんです。

今回特にハードルが高いのは、高い発見をもたらす他者を自分で
作り出さないといけない・・と、おっしゃりつつ
でも現実の方がいる方が、メンドクサイ(笑)と
その言葉を受けて淑恵さんも「そうかも(笑)」
と、いうのは相手の方も同じように音を変える為の世界が広がっているいるから・・
普段の何気ない会話や感情の流れを具体的に考えてみると
日々、人と対話して生きていくことって凄いことなんだなぁ~って
しみじみ思ってしまいます。

で、鵜山さんが淑恵さんに質問されました。
「音を変えることで、普段気にかけていることは?」
すると淑恵さんは、新人の頃に大先輩の杉村春子さんから
「音を変えなくてはいけない」と、ご指導があったそうで
「ちょっと貴女しゃべってごらんさい」
と、口立てで「ほらこんなに違うでしょう」と、言って下さっても
当時の淑恵さんは、なかなか聞き取れずパニックになりそうで・・
そんな時、杉村さんが
「今言って解らなくても、何十年経ったらわかるから」と
その後、鵜山さんの演出のラシーヌ作『フェードル』の時に
「都は○み風のうねり(笑)で言ってみましょう」とか、「今度は誰々の・・」とか
すごく楽しい指導だったそうです。
芝居で音を変えなきゃいけないと、切実に感じたのは
杉村さんと鵜山さんのこれら指導によってだったそうです。
「深く息を吸って、お腹まで落として音を発する。
意識的に音を変える事が必要・・・」と淑恵さん。
普段の生活の中で、怒りモードや悲しみモードの時
思わず、口から出そうになる(相手を傷つけそうな、言ったら後悔しちゃいそうな)
言葉を発する前に、ちょっと深呼吸やワンクッション置く事で気持ちが、
変ることがありますね。特に子供をしかるときなんか、自分の感情を抑えるために
きっと、そうだ!気持ちが変ると声が変る。ねっ!

「杉村さんが、今はわからないでしょう」と技術的な事を言っていながら
実は、「人生的に解らない」ということを言ってると鵜山さん。
鵜山さんも若い俳優たちに指導するときに
「今はわからないかもしれないけれど、50年経てば、できるようになっていて
でも、その頃になると台詞が覚えられなくなってるよ(笑)」
台詞を覚えられなくなるころに、覚えることの抵抗感を味わうくらいにならないと
、音を変えることがわかるような気がする・・・
そうおっしゃる鵜山さん。
人生経験が多様な音を生んでいくんでしょうかねぇ

「せっかくだから、2列目の人にも台詞を言ってもらいましょ」と、鵜山さん。
うぎゃーまじすか?まじすか?まじ??
絶対当てないって言ったのにぃ・・ひゃぁ~
どきどき順番を待って、ぼそぼそっ・・・(冷や汗)
「いやぁ皆さん本当にお上手で素晴らしい!」と淑恵さん(完璧に私以外の)
「やっぱり2回のほうが、よく声が出てましたね」と、しらっとした顔の鵜山さん(笑)
「参加型で無理やり読んで頂きました」

この後、質疑応答のコーナーがありまして
参加型だけに質問も沢山~!皆さんすごく熱心で本当に素晴らしいっ
どんな質問も笑顔で答えて下さる鵜山さんと淑恵さん。
「どうしたら台詞が覚えられるんですか?」とか
「自分の解釈と演出家の解釈が違う時はどうするのか?」
「お客さんの反応は舞台に伝わってくるものなのか?」とか
などなど、質問だけでもたっぷり時間をかけて下さいました。

初めての鵜山さんのワークショップ・・
演出家と俳優の立場で、お芝居が立ち上がる過程
目の前のテキスト、台本に対して、それぞれの立場で、どうアプローチしていくか?!
とても興味深く聞かせて頂きました。
普段の言葉で相手がどう感じるか?音の違いで、感情の変化が相手に伝わる・・
これは明日から普段の生活でも気をつけなきゃいけないなぁ~
勉強になりました。

終了後、あれっ鵜山さんは?!と思ったら、すでにお稽古場に向かわれたと
相変わらずお忙しい鵜山さんでしたf(^_^;)
そんな、こまつ座『化粧』は、東京公演を終了し、現在は地方巡演中です。
わたし?!もちろんまだまだ拝見させていただきますよぉ~
by berurinrin | 2011-02-25 23:15 | イベント
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