『美しきものの伝説』のイベント

美しきものの伝説
<伝説>初演の頃-メンバーに聞く

初演メンバーの加藤武さん、吉野由志子さん、金内喜久夫さん

『美しきものの伝説』のイベントに参加してきました。
43年ぶりの再演ということで
「どうなることやら楽しみながら苦しんでいる」と司会進行は演出される西川信廣さん。
文学座に入る以前に、なんのあてもなく京都に行かれたことがあったそうで・・
と、ある本屋さんで、ふらふらっと手を取ってみたのが宮本研さん著『美しきものの伝説』。
その後、文学座に入って勉強会で初演出されたのは、宮本研さんの『明治の棺』だったそうです。
同じ頃、違うチームでは『美しきものの伝説』が上演され、
また違う機会で木村光一さんの作品もご覧になった
西川さんは、「若者の反乱」・・正直、面白いと思ったそうです。

初演当時38歳の加藤さん。
「38歳ってびっくりだよね」と西川さん。
西川さんが入座された時から、まったく加藤さんはお変わりにならないそうで
それは日々の鍛錬の成果だと思いますが、お元気な加藤さんから
まずは当時を振り返ってお話して下さいました。
「大正時代の大杉栄さんや野枝さんとか、ない交ぜになってワケがわからなかった」と
おっしゃいながらも、作劇の面白さに感心されたそうです。
「語られている内容は難しいけれど、楽しかった」そうです。

今回の再演の座組みの最年長の西川さんは、初演をご覧になっておられないそうで
なので誰も初演を観ていないメンバー。
すると加藤さん「それがいい」とおっしゃいます。
まったく別物が出来上がるので、初演と比べることは出来ない。
今日の話は参考にはならない。芝居とはそういうもの・・
「関わったんだから楽しみ。どうやるかなぁというのが楽しみ」と
加藤さんらしい口調で、客席でお話を聞いている再演の座組のメンバーに
優しいエールを送られていました。

野枝さんを演じられたのは吉野由志子さん。
当時、気力が落ち込んでいた時に、『美は乱調にあり』(瀬戸内 寂聴・著)で
伊藤野枝さんの生き方を読んで、気持ちを奮い立たせていた時に
偶然、客演で出演予定だった渡辺美佐子さんが降板され代役でのキャスティング。
運命的な出会いを感じられたそうです。
野枝さん像を「やると思ったら絶対やる。積極的な女性」。
「素朴で純粋でひたむきであればいい」と演出家から指導されたそうです。

座員2年目で、忘れっぽくって・・と、金内さん。
宮本研さんがとても優しい方だったそうで
よく呑まれたエピソードを語って下さいました。
宮本さんも金内さんも九州出身だそうで、呑みながら金内さんのお話を
宮本さんが、嬉しそうに聞いて下さったそうです。
野枝さんも九州・・九州の女性の話で盛り上がったそうです(笑)
う~ん、九州の女性は美しいと聞きますからねぇ
なんといってもいい台詞が多い・・「いい台詞だなぁ~」と思う。と、お話下さいました。

初演の稽古場の現場の雰囲気は、とても熱っぽかったそうです。
本の内容が左翼的で緊張感があったとおっしゃいます。
当時は進歩的な、テーマを持った芝居を取り扱うことが難しい時代だったそうです。
思想が自由で偏りが無い・・時代の反応を感じる
こういう芝居に共感したのは、当時は故・杉村春子さんが劇団を経済的に支える為に
地方で公演活動される姿をみて、若手で頑張らなきゃいけないという気合があったそうです。

当時は世の中が変動してる時代だったそうで
中日劇場での公演中は、浅間山荘事件の真っ只中
そんなにお客様も入らなかったそうで、皆さんで名古屋を
パレードして動員を図ったそうです。

「客席が2/3寝ても、1/3感動することを視野に入れて頑張れ。
客が寝てもめげるな!と言っている(笑)」と西川さん。
学生と先生の長い台詞の対話があるそうですが
すごくいい場面なんですが、厳しい場面でもあるそうです。
今の文学座の本公演とアトリエ(研究劇)の矛盾点をついた対話で
興行とやりたい芝居・・彼らの悩みを代弁している・・・
ふむ、大切に拝見したい場面です。

20世紀から21世紀の時代は、インターネットや携帯の普及で
急速に世界が繋がっているはずなのに、日本では3万人に及ぶ自殺者がいる。
世界が繋がっているのに生きる支えが切られてる・・そんな気がすると、西川さん。
政治や芸術を熱く語る場が、今の時代にはない。とおっしゃいます。
続けて、人間はこういう面もあるんだよと観客といっしょになって社会と人間とか
混沌とした世の中で、内容はともかく熱く語っている。
時代を映す鏡が演劇・・
時代を書いたんだと思うんだけど、結果、時代が演劇を呼ぶ。
政治の話なんだけど、演劇と置き換えられる
演じる側と観る側・・客が入る芝居なら良いのか?客が入らなくても良い芝居はある。
作る側の熱意が大切。実際、初演の時はお客さんがあまり入らず
新聞でも酷評されたそうです。

金内さんから、「否定するエネルギーを持たなきゃいけない」
文学座の財産ともいえる「女の一生」「欲望という名の列車」を認めたうえで
演劇状態は良くないけれど認めつつ否定していく・・
「美しきものの伝説」は文学座論だと言う評論家もいる・・と、西川さん。
創立のメンバーで、惜しくも先月亡くなられた戌井市郎さんが
生前、体のどこどこが痛いとおっしゃると
「90歳も生きているんだから、仕方ないですよ」とか
フランクに言えちゃうところが文学座の良い所だとおっしゃいます。
そして、戌井さんに場所を与えてもらったおかげで
文学座の演出家がどんどん育ってきたとおっしゃっておられました。

当時の共演者のエピソードで
今は亡き大地喜和子さんに演技指導をされた加藤武さん。
加藤さんの台詞を無邪気に手を叩いて喜んで
「もう一回やって!」とせがまれてたそうで、
「おかしな子だった」と楽しそうに語られました。
また、先日惜しくも亡くなられた細川俊之さんのエピソード・・
細川さんはよくロビーでヴァイオリンを弾いておられたそうで、
役柄で、竹筒に水割りを入れて、くぴくぴ飲んでたら酔っ払っちゃって
台詞が出てこなくて1分間位間があったそうですが、その間が最高だった(笑)と
金内さん。

今回は原作に忠実にノーカット版でいくそうです。

お話が芝居作りのほうに流れて・・
70年代は、欠陥を持っていながらも骨太でおおらかな
時代に真っ向からむかっていく芝居があったとおっしゃいます。
未熟ながらも異をとなえるエネルギーがあったけれども
今は、どっかにもぐっていて不健全さがある・・
先ほど金内さんの言葉を肯定するように
「何かを容認するのではなく、疑ってかかることが大事なんじゃないか」と、西川さん
「最近の作家は対話は上手いけれど、モノローグが書けない」と
別役実さんが以前おっしゃっていたそうで
また、戌井さんも
「役者は、台詞だよ」とおっしゃっていたと金内さん。
こういう良い芝居を、こなしていかなきゃいけない
あえてこういう芝居を上演することで力をつけたいと、西川さんが、まとめられました。
最後に参加されていたご出演者の方々に一言づつということで
トップバッターは、城全能成さん。
お話して下さった先輩たちに
「記憶のうわずみの中から必死に語って下さり、ありがとうございました(笑)」
と、掴みはおっけーのご挨拶(笑)
で「流行の3D映画のめがねなしで、飛び出すように頑張ります!」と
緊張気味ですが野枝さんを演じる荘田由紀さん「美しいものたちの時代、作品を観に足を延ばして下さい」
石橋徹郎さんは「瑞々しさに溢れた芝居をしたい」
江守徹さんが20代で演じた役を演じると、鍛冶直人さん。
清水碧さんは「バニーにもハイレグにもなりませんが(笑)趣向をこらします」
得丸伸二さん「先輩たちの話に感動して、面白いことができるかどうか・・」とプレッシャーを感じられつつ、
戌井さんと重なるところがあったのか・・と「戌井先生を後ろに感じながら頑張ります」
松角洋平さんは「充実しながら稽古している」と、
松角くんは、加藤さんが演じられた役を今回演じられるんですが
監獄(?!)体操というのがあるそうで
「いやぁ~あれはよかった」と金内さん。
「あれは評判よかったんだよ」と加藤さん。
思いっきりプレッシャーをかけられる松角くん(笑)がんばれ!!体操!!
佐川和正さん「さまざまな話に敬意を表しつつ、役と自分を誠実につなげたい」
鈴木亜希子さん「やってやると思いつつ、台本を読んでへこみ・・でも熱さだったら負けずに演じます!」
関輝雄さん「稽古初日は、長台詞でどうなるかと思ったが日々良くなっている
良い作品になるよう頑張ります!わたしも(笑)」
丁度、西川さんが発表会をやっていた頃、別のチームで『美しきものの伝説』を
上演されたときにシブロクを演じられたそうです。
岸槌隆至さん「何で演劇やってるのか?!と打ちの目されます」
牧野紗也子さんは「芸術、政治と、モノローグとか難しい場面の中で、楽しく台詞を発します」と
高塚慎太郎さん「芸術座の座員ということで、ぴんと来る人物が見当たらない
これから見つけられるか・・作っていくのか?!」
木下三枝子さん「大きな劇団に入っているという地で出来る気がする・・」
永尾斎さん「やりやすい役なので熱さをもってやります」
石川ひとみさん「本公演初、緊張感と勉強の日々の中で頑張ってます。
研修科から3人も出す西川さんの挑戦もあると思う。頑張ります」
そう、木下さん、石川さん、永尾さんともに研修科生なのです

そして最後に西川さんから一言。
「連中の芝居を観て下さい」

以上でレポは終了です。
あっ、くれぐれも勝手な解釈でまとめていますのでご注意くださいね
by berurinrin | 2011-01-22 23:29 | イベント