こまつ座第92回公演・紀伊国屋書店提携『化粧』

井上ひさし追悼・こまつ座第92回公演・紀伊国屋書店提携
『化粧』 in 紀伊国屋ホール(1/8)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁

10日後には取り壊しになるという寂れた感じが漂うこの小屋。
この「五月座」の座長であり看板女優の五月洋子(平淑恵)さんが、
むくりと起き上がり、これから上演される出し物『いさみの伊三郎』の
伊三郎に変身する為のメイクに取りかかります

『化粧』は、木村光一さんが演出で、ご自身が主催されていた地人会が
井上ひさしさんに依頼をして書かれた一人芝居の戯曲です。
1982年の初演からずっと渡辺美佐子さんが演じられ続けられました。
なので、こまつ座としては初演の『化粧』です。
日本のみならず海外でも上演されて大好評だったこの作品
実は未見なのでした(ねーほら、えり好みしちゃうから)
なので今更ながら実在の女剣劇士・不二洋子さんの『夢まぼろし女剣劇』(筑摩書房)を
読みつつ予習のつもりが、復習しておりますf(^_^;)
とはいえ、この公演の前に『化粧』のテキストを使ってのワークショップがありまして
鵜山さんと淑恵さんが講師としてのイベントに参加してきました。
なので作る過程にも、ちょこっと触れた感も~☆彡とっても得がたい体験をしてきました。
そのお話はまたいずれ・・そんなこんななので、観る前から興奮してました。

幕開けは、ちょっと楽屋の隅っこで眠っている洋子さん。
仰向けで眠っていると、歌舞伎?!狂言?!のような、どーん、どん、どん、どん、どんと
という効果音にあわせて、ストップモーションで足を手をバタつかせてむくっと起き上がります。
このシーンがとっても印象的で、私はすっかり魅了されてしまいました。
洋子さんの手が魔法のように次から次へと動かされると、一人の女性から
伊三郎に変貌していき、変貌しつつ座長としてのもう一人の女性がむくむくと浮かび上がり
ほかの座員たちやお付の女性が、まるで泡のように浮かんでは消え、消えては浮かんできます。
時折、洋子さんが「なんでこの芝居に、人がいないの?」と繰り返す台詞が
「えっ!?」って、私たちを現実に戻してくれているようで、
不自然な世界を自然の世界と了解してる私たち観客の滑稽さを指摘されてるようで
思わず苦笑しちゃいます(笑)
自分の生んだ子供やすべてを捨て、芝居に生きた洋子さん・・
そんな彼女に会いに来たのは、その捨てた息子?!
涙の再会があると思いきや、大どんでん返しと伊三郎の世界が重なって
最後の大見せ・・・びっくりのシーン
どこからどこまでいくのやら洋子さんの生き様は・・
演歌の合間には、ブルトーザーやシャベルカーの音がして工事現場のような異音が響き
洋子さんの居るこの楽屋だけが、彼女の世界で絵本の『ちいさないえ』のような感じで
もしかしたら・・・外の世界が現実で、洋子さんは、実はむかしむかしに亡くなっていて
この土地で一人、同じ日常を繰り返すまぼろしの人になっているのかしら・・・なんて
いろんな思いを巡らしちゃいました。

素顔の淑恵さんは、綺麗で気品があって、愛らしい声・・美しい女優さんですが
すべてを捨て、全身全霊を傾けて五月洋子さんに寄り添い、重なり合っていく姿・・
気迫がばんばん伝わってきて、圧倒されっぱなし
一人の女性の喜怒哀楽すべての感情が詰まって吐き出されている
この芝居・・決してきれいな役ではありませんが、演劇人として憧れる芝居という
意味がわかった気がしました。

あっ、そうそう・・このお芝居のガヤの声
文学座の俳優さんがやってらっしゃるんですよ(*^_^*)
石橋徹郎さん、星智也さん、山森大輔さんが参加されていました。
迫力ある彼らの声・・・気が付かれましたか?

さて、幕を開けた『化粧』は、これから4ヶ月もの間旅を続けられます。
五月洋子さんが、国内中を旅から旅へと芝居に明け暮れたように・・・

お芝居初めでございます(*^^)v
思えば去年はカトケンさんの『シャドーランズ』、一昨年は八王子で拝見した、こまつ座『兄おとうと』
その前は北九州で拝見した、『長崎ぶらぶら節』と。
ここ数年、鵜山さんの作品での芝居初めが続いております。嬉しい(*^_^*)
今年もどきどきわくわくの素敵な作品にいっぱい出会えると良いですね。
そして、やっぱし鵜山さんの作品が最高の予感です♪

1/8(土)~1/16(日)まで  in 紀伊国屋ホール 
by berurinrin | 2011-01-09 16:25 | 観劇感想
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