テアトルサンノーブル第2回公演『この星にともる光』

サイスタジオ公演vol.26
テアトルサンノーブル第2回公演『この星にともる光』 inサイスタジオ(12/17、12/24)

作   征矢かおる
演出 高橋正徳

いつの日か・・こんな戦争もあるのかもしれない・・
霧島さん(山崎美貴さん)を中心としたグループでは
はるか彼方で戦いをしている彼らに戦意を上げるための映像作りを仕事にしています。
本部からは、以前よりも頻繁に届く資料を参考に映像の完成を急がれています。
そして頻繁に飛んでいく運搬船。
とはいえ、イブのこの日は、
何も変わらないゆるゆるとした日常を送る仕事場ではありますが、
少しずつ戦争の影が彼らに覆いかぶさっていくようです。

『愛の勝利』(2007年7/20~7/30)で、旗揚げされた征矢かおるさんと山崎美貴さんの
ユニット自主企画公演第2弾です。
前作は、フランスの古典劇・マリヴォーの作品をポップで華やかな楽しい仕上がりで
魅せて下さいましたが
今回は、かおるさんが脚本を手掛けられました。

はやぶさ君が遥か彼方の小惑星“イトカワ”の石を持って帰ったり
あかつき君が金星にチャレンジしたりと、宇宙がちょっぴり身近に感じるようになった昨今。
去年の年末には、ドキュメンタリータッチ映画『フォース・カインド』観にちゃったもんだから
あんなスゴ技を使う宇宙人に対して戦争を起こす日本人?地球人?すごい
でもそれは私達の想像の中・・・
舞台は後方支援にまわる女性達の仕事場での姿です。
想像もつかない大きな存在を敵に廻して戦っている世界が、すでに日常になっていて
残っている彼女達は、色んな意味で不便な生活を強いられていても
それは私たちが思うだけで、全くもって普通になっている気配すら感じられます。
宇宙がちょぴし身近になった分、
もしかしたら私達にとって危険な領域に足を踏み入れていくのかもしれませんね。

舞台は、シンプルに大きな丸いテーブルが一つ。ここはいわゆる談話室のような感じで
仕事場は奥にあるようです。
美術は、『トロイアの女たち』『カラムとセフィーの物語』『ダーウィンの城』と
アトリエの会60周年記念作品を一手に引き受けられた乘峯雅寛さん。
テーブルの上には、仕事の資料となる雑誌の類が散乱してします。
雑誌の表紙には、黄色やピンクの塗料が当局の閲覧の許可の印?!塗られています。
いつもは、舞台に充てられているスペースが客席に設えていて、ちょっと不思議な空間でした。
で楽屋の窓が、仕事場の窓のセットになっていて運搬船が飛んでいく姿を見る事ができます。
普通、宇宙に向っていく運搬船ならば飛行機の離陸の様に、上の方向に行くと思われるのですが
この飛行船は、弓なりに落ちていく(笑)初めは、ご愛嬌なのかなぁと思っていたんですが
もしかしたら・・・もう、この場所は、私達のよおく知ってるこの場所では無いのかもしれない・・
そんな事を、劇中にギターを弾きながら青島さん(森耕平さん)が歌われる
「マンマ、マンマ、見てごらん~♪」と、
過去の良き日を知らない子どもが、ふと見つけた笑顔いっぱい映っているアルバムを不思議そうに
無邪気に母親に尋ねる歌を聞きながら思ってしまったのでした。

さて文学座からのご出演者のみのご紹介で、すみませんが・・・f(^_^;)
彼女らの班長・霧島さんは、山崎美貴さん。夫が宇宙に旅立って、ここ一ヶ月ほど連絡が取れない
複雑な思いを抱えた女性。上司といえども皆に慕われている感じが伝わるのは、
皆を引っ張って行こうというというより、皆でやっていこうという気合が伝わってきたのでした。
でもふと夫の事が頭を過ぎる・・・つらい立場ですね。
そんな美貴さんは『カラムとセフィーの物語』でセフィー(渋谷はるかさん)のアルコール依存症に陥る
母ジャスミンを演じられました。

部下のキリコさんは、征矢かおるさん。
しょっぱなからハイテンションのキリコさんは、実は性同一性障害。体は男性で心は女性・・。
そんなキリコさんは、政府からホルモン剤を配布されていたようですが、最近は滞っていたそうで
その理由は、いわゆる赤紙というか、召集命令が降りたからだったようです。
女性は召集されないのに・・心は女性のキリコさん・・青島さんと手を重ねる姿。
まるで手の大きさの違いに政府への理不尽な命令に言葉にならない思いが伝わりました。
今回は、脚本も担当されて、心身共に大変そうでしたが
SFものという括りの作品ともファンタジーとも感じられる不思議な作風は、面白かったので
またぜひ書いていただきたいなぁ~
かおるさんは『ダーウィンの城』で、信頼していた夫・(中村彰男さん)の裏切りを知って
怒りをぶつけるキャリアウーマン・ミサトさんを演じられていました。

同僚の楠野さんを演じられたのは、千田美智子さん。
楠野さんもちょっと複雑な女性で、同僚の小柳さん(村井まどかさん)に片思いのようです。
ところが、小柳さんは青島さんに気があるようで・・・残念ながら楠野さんの思いは難しいかなぁ~
でもへこたれても前向きな楠野さんは、魅力のある素敵な女性でしたね。
そんな千田さんは、『麦の穂の揺れる穂先』にでは、寄生虫を研究している大学生・門倉しおりさんを
演じられていました。

ヒッピー風な服装で、『イマジン』をギターで弾き語る不思議な女性はスージー。
演じられたのは、藤崎あかねさん。
戦争で夫を亡くし、息子でありスージーの兄も戦地にいるという金井さん(津田真澄さん)の娘。
どこに怒りの矛先を向けたらいいのか?!反抗的な姿も兄を慕う姿も想像できるだけに
無邪気な女の子さも垣間見えて可愛かったですね♪
あかねさんといえば『ダーウィンの城』のヒロイン・チハルさん。ほんとに頑張った!
めっちゃ体当たりで演じられましたね。

初日に拝見させて頂いた時は、女優さんたちの個々の存在が強すぎて
ちょっと噛合ってない気がしましたが、数日後に再見した時は
お芝居の設定と同様、目標を共有しあう仲間という良い関係が伝わってくる
そんな、いい座組みに感じられました。芝居って生き物ですよね。
同じ空気を共有しあうように溶け合う関係が感じ取れる・・・幸せな時間です。

公演を前に、美貴さんとかおるさんが演鑑の事務局に宣伝においで下さいました。
やっぱりお話聞いても思うんですけど、自主企画で公演するというのは
本当に大変で、演じるだけでなく制作を兼ねるのでリスクも掛かるし、
生半可な気持ちでは公演できないと思うんです。
でも、それでもやる!その気持ちを出来る限り応援したくなります。
その成果、行動は、後に続く人たちに確実に繋がる事だと信じられます。
そして私は、このお二人がとってもとっても大好きになりました。

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クリスマスイブにご出演者の方々から頂いたプレゼント♪可愛い★
(キリコさんのカードかなぁ??)ポストカードとチョコたち

12/17(金)~12/27(月)まで  in サイスタジオ 
by berurinrin | 2010-12-29 21:24 | 観劇感想
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