文学座本公演『くにこ』その2

「くぅくぅくぅ・・」(←観た方ならわかる)の『くにこ』終わっちゃいましたね。
色んなプレッシャーを持つ長女体質ゆえ、向田邦子さんというより
一人の“くにこさん”という女性に共感してしまいました。
単にそれまで、向田作品に触れる機会が無かった・・という事なんですけど。
『くにこ』では、邦子さんが作家として生きていこうという決意を固めたところで
お話は終わります。
その後の向田さんは、脚本家、作家として大成功を収めます。
そして飛行機事故という悲劇が待ち受けてはいますけれど
波乱に満ちた邦子さんの人生・・・『くにこ』の中に生きた邦子さんは、うらやましい位に
女性として輝いていたと思います。

そんなまっすぐ前を向いて邦子さんを演じられたのは、栗田桃子さん。
まさに今が旬な女優さん!桃子さんの真っ直ぐな眼差し、半泣きしながらぐっと唇を噛んで
たたずむ姿、にらみながら歌って踊る姿・・そして満面の笑顔・・
どの表情、どの姿も清々しい生命力を感じます。
家族や周りの人たちとの交流とその折々の彼女の行動が財産となり、
後の向田邦子さんの執筆活動の糧となる・・・その続きを観たくて
ついつい帰りは、本屋さんで文庫本を購入していました。
今年は桃子さんの大活躍役の年でしたねっ
わが町』ヒロイン・メアリー、『麦の穂の揺れる穂先に』では、突然結婚を決めてしまう
江守徹さんの娘・早紀子さん。
外部ではこまつ座『父と暮せば』美津江さん。
どの作品も、どの役柄も桃子さんの肉体を経て、表現される姿には今を生きる力を感じます。
そして紀伊國屋演劇賞受賞おめでとうございます!!(こまつ座公演『父と暮せば』における 美津江 。
文学座公演『くにこ』 における 向田邦子 の演技に対して)
ほんとうによかったですね桃子さん(*^_^*)わたしも嬉しいっ!!
2作品とも鵜山仁さんでしたしねっ!きゃ♪

邦子さんには弟一人と妹二人。
弟・保雄さんとのちの邦子さんの恋人・カメラマンを演じられたのは、亀田佳明さん。
足をばたばたさせたり、パジャマの腹巻を延ばしたり
超マイペースな弟。あの髪型(笑)やばい・・切っちゃったのかぁぁと思いました
あんまり似合っていたので・・ぷぷぷっ
邦子さんの「ゲーテ」・・・二枚目カメラマン。
後姿がなぜか寂しそうな男性でしたね。実際に若くして亡くなってしまった方でした。
彼は妻子がいて、邦子さんとは不倫の関係。
向田邦子さんのファンの間では、伝説的な人物らしいですが
ちょっと影があって、浮世離れして生活感を感じさせない不思議な人でした。
と、思えば、アイスクリームを売るド・近眼めがねを掛けてタンクトップ姿の学生さん。
前回『カラムとセフィーの物語』青春を走り抜けたカラム青年を演じられた人とは思えない(笑)
カラムで亀田さんのファンになった方には、あの前半のぬぼーっとした表情はびっくりですよね
でも、後半はめっちゃかっこよかったから。。まっいいっか(笑)
それにしても今年は、亀田さんのキャパの広さを感じさせて頂きました。
そんな『カラムとセフィーの物語』を演出された高瀬久男さんも
紀伊國屋演劇賞受賞おめでとうございます(幹の会+リリック プロデュース公演『冬のライオン』、文学座アトリエの会
『カラムとセフィーの物語』の演出に対して)

邦子さんのすぐ下の妹は柚子さん。演じられたのは上田桃子さん。
華奢な体をぐんと伸ばして話す柚子さん、可愛かったですよね
下町のシーンでは、サザエさん張りの頭で、その時代のニュースを語っておられました。
桃子さんは、亀田さんや同期からなるユニットunks『1960年のメロス』で、
演劇部の高校生を元気一杯に演じておられましたね。
桃子さんの体から発散するエネルギーを直球でぶつけられる心地良さ
外見が一見幼い雰囲気を感じさせる桃子さんですが、ちょっと冷めた目線を持つ大人の女性とか
等身大の姿でも素敵なお芝居を魅せ下さいます。

一番下の妹は、和子さん。演じられたのは太田志津子さん。
柚子さんといっつも一緒★邦子さんの仲良しの妹達。
かわいいっ♪
普段はおとなしいしーちゃんが、舞台に立つと普段の姿からは想像がつかないほど
役に向ってどーんと体当たり!コメディエンヌっぷりは、最高です。
泣きながら「ぽん!ちー!」と、麻雀したり、下町のシーンでは
上田桃子さん同様にサザエさん張りの頭で、井戸端会議に花を添えてました。
しーちゃんの今年は『ぬけがら』の地方巡演がありました。
葬儀屋に勤めている田中久恵さん役・・・これもまた体を張った場面がありましたねっ
足の先から爪先まで、計算してるのか?!していないのか?!わからないほど
ついつい目線が行ってしまう(^^)/ 素敵な女優さんです。

そんな素敵な子ども達のご両親♪
無邪気で、短期で、子ども達に愛情たっぷりなのは父・向田敏雄さんこと角野卓造さん。
角野さんの動きは、本当に細やかで全てに意味がありますね。
戦争が始まって幼い和子さんを、疎開に出す時
宛名の書いてある葉書の束を渡して、元気ならば「○」を書くようにと話して聞かせるシーンや
邦子さんをひとり東京に残すことを宣言をする表情の寂しさとか、ぐっときます
と、思いきや邦子さんが就職した財政文化社社長さんや下町のちゃぶ台を
どーんとひっくり返す貫太郎さん(笑)
いやはや魅せて下さいましたね★
やっぱ角野さんといえば前シリーズ『ゆれる車の音~九州テキ屋旅日記』でのテキ屋さん金丸重蔵さん!
その『ゆれる車の音』のパンフに中島淳彦さんへの向田和子さんの信頼感溢れる文章が載っていました。

敏雄さんの妻で、子ども達の優しいお母さんは、せいさんこと山本郁子さん。
笑い上戸で、けたけたと明るい笑顔満載の素敵なお母さんでした。
「アイ~ガ~ト。モ。サゲモシ・・・タ」と、鹿児島弁でご挨拶するイントネーション最高!
ところが敏雄さんが、浮気なんぞしたあかつきには
女物のヒールの靴を「えーい」と、迷いも無くほっぽり投げちゃったり・・・粋でしたねぇ(笑)
敏雄さんの後ろにしっかり付いてる姿。私的には、かなりの理想タイプのお母さんです。
かと思えば、下町の貫太郎さんの妻・里子さん。
貫太郎さんが浮気をしたと知って、首に縄をぶら下げて近所中に自殺の事前報告にしていくうちに
すっかり気分が晴れちゃうという、可愛い女性を演じられていました。
前作『カラムとセフィーの物語』では、カラム演じられた亀田佳明さんのお母さん!
おっ、この作品でも亀田さんのお母さんだ(笑)
着物の着方も所作も、さりげなさがたまらなく美しい郁子さんなのでした。

敏雄さんのお母さんで、きんさん。せいさんのお母さん・みよさん。
空襲で乳母車に乗せられた老婆と前半は、老け役を一身に背負い
後半は、財政文化社の社長さんと意味深な事務員&敏雄さんの愛人・囲われの女とせくしぃ系美女
これまた不思議ないく役もこなされたのは、塩田朋子
亡くなって棺おけに入り、毒舌を吐きながらも
弔問客が手を合わせるたびに、言葉を休めて一礼をしながら手を合わせるところが
律儀で毎回吹き出しそうになるほどツボでした。
下町育ちのみよさんの機関銃のような口調、口の悪さと人の良さが全く嫌味がなくて
みぞつぼを抱えて、お尻ふりふり歩く後ろ姿!最高でした。
逆にかっこよかったし、カツンカツンとヒールの音を立ててお色気(笑)ポーズは最高!
最後の囲われの女で「さよなら~!」と手を高々と振って潔く去る姿、かっこよかったですね。
(カーラーを取った頭はこんな感じなのかぁ~と)
そんな塩田さん。前回『トロイアの女たち』では、トロイアで唯一生き残った息子を
殺される運命・・ギリシャ側に引き渡し、自身も夫を殺した相手の愛人として連れ去られる
悲劇の女性の一人アンドロマケを演じられました。
この変わりよう(笑)びっくりですよね~そこがめっちゃ素敵な女優さんなのですが・・

「野ばら」のお話は、昔ゲーテが、少女と恋に落ち、その後、彼女を捨ててしまいす。
で、ゲーテ自身は良心の呵責に責められ、少女はそのまま独身のまま生涯を終えるという
切ないお話を野ばらに例えたそうです。
その話を小学生の邦子さんに話す学校の先生は関輝雄さん。
自分の世界に入ってしまいーの力を込めーの。泣きながら野ばらを歌うシーン。
お目目ぱちくり状態の邦子さんとの比較がめちゃくちゃ可笑しかったですね。
他には、祖母・きんさんのお通夜に来て、邦子さんに「お鼻毛が・・」と言われちゃう社長さん。
空襲で乳母車に乗せた母親(塩田朋子さん)を置いて逃げようとする息子。
下町・せいさんのお父さんで邦子さんのお祖父ちゃん。
邦子さんに面白いお話をせがまれて、落語好きなお祖父ちゃんらしく
小話風に「ちんとーん、てん。。どど~ん♪」その時の表情がめっちゃ可愛かったですねぇ
で、小話のオチは・・・(苦笑)
最後は、敏雄さんの浮気をフォローしてくれていたおっちょこちょいの同僚・山下さん。
どのシーンもインパクトがあって面白かったですね。
あっ、映画館では、目を開けながら寝てる人!(爆)
そんな関さんは、『ぬけがら』では、胃が痛い3番目のお父さん『定年ゴジラ』では、
彼らの住まうくぬぎ台ニュータウンの都市開発公団に勤めておられた藤田さんを演じられました。

「詩が違う~(><)」と邦子さんの頭を混乱させた
鹿児島弁風(笑)『野ばら』を歌ったのは、鹿児島時代の邦子さんの同級生で
はかま姿も可愛い順子ちゃん・鬼頭典子
鬼頭さんもアンサンブルで、二時間のお芝居で6役もこなされておられました。
お通夜に来た「お鼻毛」社長の秘書。和子さんの○と書かれた葉書を配達された郵便屋さん。
おみそを借りに来た下町のおばちゃん・加代さん。
財政文化社で「カメラマンが既婚者と」と邦子さんに告げる社員。
邦子さんが転職した雄鶏社の同僚。
鬼頭さんといえば、少女から大人の女性まで幅広く情感漂う声の豊かなバリエーション。
そしてはかなげな少女から自立した女性へと、どんな役柄も演じ分けできる頼もしい存在です。
関さんと鬼頭さんという贅沢なアンサンブルの力が、この作品の地盤になっていたんだと思います。
そんな鬼頭さんは『カラムとセフィーの物語』でカラムのおねえさん・リネットを演じられておられました。
そんな鬼頭さんは、文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員で
一年間韓国に留学されるそうです。
あの可憐な声、ふわりとやわらかい立ち振る舞いを拝見できないのは
寂しい事ですが、一年後の再会が今から楽しみで~す。

もろもろ遅い更新ですみません。
元気なはずなんですが、イマイチ体調と行動が上手く寄添わなくて
家に帰るとぐったり状態でf(^_^;)その上、PCの調子もヤバイ・・
やりたい事の半分も出来ていない・・・(><)
でも・・・すこしづつでもこつこつ頑張ります!!
by berurinrin | 2010-12-25 11:35 | 文学座観劇感想