シェイクスピアコンペ学芸講座『シェイクスピア戦記―演出家・鵜山仁さんに聞く』その2

<ぶんげいマスターピース工房 シェイクスピア・コンペ>
学芸講座『シェイクスピア戦記―演出家・鵜山仁さんに聞く』 in 京都府立文化芸術会館(10/30)


講師   鵜山仁
聞き手 平川大作

後半は、過去に鵜山さんが演出された『女たちの十二夜』の映像を見ながらのトークから始まりました。
今、拝見しても斬新というか面白いですね!
わたしはサンシャイン劇場の再演の舞台を拝見しているんですけど
ほぼ女性だけで演じられるユニークな作風のきっかけは、
翻訳された小田島雄志さんが、どこかの女子高で、ご覧になって面白かったからという(笑)
平川さん『十二夜』は、宝塚でも上演されているそうです。

お話は、双子の兄妹を中心に二組のカップルが生まれるハッピーエンドのお話ですが、
その双子を内野聖陽さんと青山雪菜さん(再演)が演じられています。
互いに死んだと思っていた双子が偶然出会って、互いの姿が瓜二つ・・・
という超感動するシーンの映像が流れて、
「とても二人が似ているとは思えない(笑)一種の見立てですね」と鵜山さん(爆笑)
こういう世界が成立しちゃうのもシェイクスピアの世界だとおっしゃいます。
内野さん、若いですねぇ~キュートです♪

平川さんから、映像をご覧になっての印象は?と聞かれた鵜山さん。
やっぱり台詞に使われて日本語は、どこか戦前の教養を背景にした日本語・・・と、鵜山さん。
美しい小田島雄志さんの翻訳です。
この頃から「第三世代」や「夢の遊民社」とか小劇場世代の俳優が登場されるようになり
男性が力を失くしてきたんじゃないかなぁ~と、鵜山さん
「破天荒の酔っ払いを女性が演じるとエネルギーを感じる」と.
確かに高畑敦子さんや片桐はいりさん、白石加代子さんの自由奔放な弾けっぷりは
今、観ても本当に弾けた勢いのある演出で女優達が生き生きと男性を演じておられます。
本当に躍動感があって面白い~(笑)
「これけっこう小田島さんが付け加えた以上のことをやっちゃった気がする(笑)」と、
いたずらっぽくおっしゃる鵜山さんです。
う~確かに、舞台にウ○コ出ちゃったり、遊び心満載でしたねっ

この『女たちの十二夜』は、TVで劇場中継されましたが
ご自身の作品の放送は、再演の時にとらわれちゃいそうで、あまりご覧にならないようです。

昨年、10/27~11/23まで新国立劇場で上演された『ヘンリー六世・三部作』に話は移りました。
『ヘンリー六世・三部作』には、それぞれ第一部『百年戦争』、第二部『敗北と混乱』、
第三部『薔薇戦争』と副題が付いていましたが、これは鵜山さんが考えられたそうです。
平川さんから、芝居の舞台となる土地に前もって行くんですか?と聞かれた鵜山さん。
「これを記念に行くようになった」そうで、最近では、今地方巡演中の
無名塾公演『炎の人』(2010年3月サンシャイン劇場で公演)
のゴッホゆかりのオランダ、フランスに取材旅行に行かれてました。

本場イギリス、RSCでは『ヘンリー六世』三部作だけでなく
その前のストーリー『ヘンリー四世』第一部、第二部『ヘンリー五世』。
続編に当たる『リチャード三世』と計七部作を上演されたそうです。
すげー!

『ヘンリー六世』のお稽古に入る前に、鵜山さんはイギリス・フランスと縁の地を自費で!
(ここんところは大事だそうで(笑))
季節は春。ヘンリーを巡る取材旅行に行かれましたが、その時の写真を映しながらの
注釈を入れて思い出の土地を振り返られました。
結局、どこの場所をめぐっても田畑野原の平和な景色ばかりが目に付いて
でもかつては戦場で血なまぐさい話ばかり、そんな積み重ねの最後にたどり着いた
セント・オールバンズ大聖堂では折しもカール・ジェンキンス作曲の
「Armed Man平和のためのミサ曲」のコンサートが開かれ。
そもそもその曲は、コソボ紛争の犠牲者を悼んで作曲されたというミサ曲だったそうですが、
原曲は15世紀の音楽をベースにされていてたそうです。
この曲を聴くと舞台のシーンが蘇えってくる気がします。

で、戦跡旅行のスライド写真の次は『ヘンリー六世』の舞台写真を見ながらの
シーンごとのこぼれ話など聞かせて下さいました。
その中で、いくつか・・ご覧になっていない方は、なんのこっちゃって感じですみませんが、
お付き合い下さい。

全キャストは37名。シェイクスピアの総作品と同じだそうです。

まずはセット、イギリス庭園にしたかったそうで、池も欲しいし木も欲しい。
で、今は何も無いけれど人間の喜怒哀楽のプレスされた歴史の蓄積みたいなものを
表現したかったそうです。

『ヘンリー六世・第一部』
<ヘンリー五世の葬式の場面>
幕開け、キャスト37名全員が出演されているそうです。
この俳優群の立ち位置が圧倒的でしたが、演出的には
「「ヘンリー五世が死んだ」というニュースに対してのそれぞれの距離感で立ってください」と
指示を出されたそうです。

<イギリス軍とフランス軍>
フランス軍は青、イギリス軍は赤。
フランス軍の陣営に出てきたバックのブルーシートに見えたのは、実際は布だったそうですが
色を塗ったらバリバリのビニールシートになっちゃた(笑)・・・そうです。
稽古場では、ふあふあした軽い布だったそうです。
フランス軍のお化粧・・・お顔白く塗ってましたねぇ~オルレアンの私生児を演じられた城全能成さん(笑)
「フランス18世紀で行きましょう」で決まったそうです。
ロココですね~

衣装については、中世のイメージをコラージュしたそうです。
色に関しては、丁度その日、二日酔いで気分が悪くて「灰色にしましょう」と言ったら決まっちゃった(笑)
と、鵜山さん。これは冗談だと思いますが(笑)ただヘンリーは白でいきましょうと、
で、フロアの色合わせて他の方々は白から黒の中で色を決めていかれたそうです。
小道具はジャコベッティでと・・ほほぉ
「コートはトレンチコート?」と平川さん。
「日本軍の軍隊外套」だそうです。

『ヘンリー六世・第二部』
<ジャックケードの率いる反乱軍>
国内の内乱で、立川三貴さん演じられたジャック・ケードと愉快な派手な仲間たちの
衣装。「東京衣装さんにある出来るだけ派手な衣装を揃えて下さい」BY鵜山さん(笑)


『ヘンリー六世・第三部』
<音楽>
後のリチャード三世となる岡本健一さん演じられたリチャードのモノローグの
BGMの曲は『オズの魔法使い』の「オーバー・ザ・レインボー」。
リチャードの幼児的なある種の夢・・で、この曲を選ばれたそうですが
昔、大阪で『仁義なき戦い』をご覧になった鵜山さん。
壮絶な殺し合いの中で「こんにちは赤ちゃん」という曲が使われていた事を思い出されたそうです。
ちなみに『新・仁義なき戦い』は、布袋寅秦さんが曲を提供されてました♪

ヘンリー六世(浦井健治さん)が自分は無能力でアイデンティティーがなくなちゃって
なんてことのない森番二人につかまってしまうシーン。
森番は中嶋しゅうさんと村井国男さん。
お二方とも一部、二部では中嶋さんはグロスター公。
村井さんは、サフォーク伯という重要な役柄を演じられていましたが、
楽屋で村井さんってば、「俺の本役は森番Bだ!」とおっしゃっていたそうです(笑)

そしてラスト、全編9時間で休憩入れて約12時間。
次世代の子供たち・・新しい子供を未来に託すシーンで
キャスト全員に出てもらった。最初と最後は全員で、最初のシーンは葬式で
最後のシーンは誕生式。巡り巡って次ぎは何が起こるか解らない
ちょっと亡霊的な感じが強いかも・・・と、鵜山さん。

と、多少所定の時間をオーバーしましたが、お二人のざっくばらんなトークで終始した
親しみやすいシェイクスピアに関わるお話で、楽しい充実した時間を過す事ができました。

話が前後したり、勝手な解釈が一杯入ってます。改めてそこんとこゆるやかにさら~っとご覧下さい。
う~、それにしても『ヘンリー六世』・・大きな舞台でしたね。
その舞台を拝見できた事、本当に幸せな体験でした。
願わくば、も一度観たい!!!!つーか、ご覧になられなかった方に観ていただきたい。

さてこの日は、深夜バスを予約してまして(笑)こんなヘタレなわたしが深夜バス!
実は、すでに放送は終了してますが『水曜どうでしょう』というローカルバラエティ番組
が今更ながらマイヒット中で、その中でも「三日三晩深夜バスだけの旅」を観たばかり(笑)
こりゃ深夜バスに乗らなきゃ!と思ったのですが
講座が終わった途端、体力的にぐったり・・(それは午前中の行動の所為なんですが・・)
結局、新幹線で帰ったという、やっぱヘタれの日帰り旅でございました。
でも、ほ~んと良かった!楽しかったで~す!

さて、この<ぶんげいマスターピース工房 シェイクスピア・コンペ>
コンペ部門にグループAKT・T『ヴェローナの二紳士』に文学座から山谷典子さんがご出演&
スタッフに賀澤礼子さんが参加されていて
優秀賞(最優秀賞は該当なし)を受賞されたそうです!おめでとうございます。
by berurinrin | 2010-11-25 23:57 | イベント