文学座付属演劇研究所研修科勉強会『小さなエイヨルフ』 

文学座付属演劇研究所研修科勉強会『小さなエイヨルフ』 in 文学座アトリエ(10/23)

作   ヘンリック・イプセン
翻訳 原千代海
演出 鵜山仁

アルメルス家。
夫・アルフレッドが戻った翌日。彼の異母妹のアスタが、妻リータの前に現れます。
「どうしても今日、エイヨルフに会いたかったから・・」と。
アルメルス家の長男エイヨルフは、幼い頃に事故にあり足の発育不良により松葉杖が放せません。
そこへ鼠おばさんと呼ばれる鼠駆除を行なう老婦人がやってきます。
怖がりながらも鼠おばさんの話に夢中になるエイヨルフ。
少し経ってアスタに好意を寄せる土木技師のボルグヘイムが訪ねてきます。
大人たちが会話に夢中になって目を放した隙に、部屋を抜け出したエイヨルフ。
そして悲劇が起こります。桟橋から落ちて泳げないエイヨルフは、溺れて亡くなってしまいます。

まるで虫の知らせのように小さなエイヨルフに会いに、大人たちはアルメルス家に集まります。
そして鼠おばさんの話に魅せられたかのようにエイヨルフは溺れて亡くなります。
これが実は物語の序曲であって
ここから大人たちの暴走f(^_^;)というか、もう止めて下さい・・と言いたくなるような
好き勝手な感情のままに言葉が飛び出すというか、言葉の流出が、すごいです。
丁寧に言ってるんだけど、かなり暴力的です。
そこんところは、日本人として、難しいなぁと思うんですが
でも、彼らは愛し合っているのがわかるんですよ。それぞれに
自分が愛してる分、相手も同じように愛してほしい・・そんな単純で、素直な思い
でも・・・でも、それは所詮絶対無理な事。寂しいですよね。
どんなにあがいても報われないし・・・なら愛さなきゃいいのに・・でも、それじゃ生きていても
意味が無いんだろうなぁ~つーか、ありえないのかもしれません。
それにしてもきっと人間って一生片思いなのかもしれませんね。
なんて、家路に向う間に余韻に浸ったりした・・・それが、芝居を観て2度美味しい得難い時間です。

鵜山さんですよぉ~きゃぁ♪なーんてミーハーなこたぁ言ってらんない(笑)
難しいんだもんイプセンって・・鵜山さんはかっこいいですけどね(←全然話の脈絡ないんですけど・・)

四方から客席に囲まれた小さな四角い舞台です。そして四方の角に
アルメリス(アルフレッド)、リータ、アスタ、ボルグヘイムのキャストたちが座って舞台を見守っています。
このメインの四人のキャストたちは、複数で構成されていて場面毎に入れ替わります。
なので幾通りもの関係が私達の目の前で繰り広げられるわけです。
キャストによって、夫婦や兄妹、義理の姉と妹・・・それぞれの関係性の微妙な温度とか
個性とか、それぞれの違いが浮かび上がってきて、これが面白い!
自分にとって楽しい経験でした。
とはいえ彼らにとっては、厳しい舞台だったと思いますよ。観客との距離がめっちゃ近いし
出番の前、後も、そこに座っていないといけないので、逃げ場ないし・・・
いやぁ、でも頑張った。頑張った。
多分、鵜山さんから、いっぱい指導を受けたと思います。
色んな思いがあったかもしれません、それはラストの緊張と興奮のこわばった表情からもわかります。
きっとそれが明日の糧になるんでしょうね。
わたしも勉強させてもらった気がしました。
イプセン・・・面白いですね。じっくり戯曲を読んでみたいと思います。

10/23(土)、24(日) in 新モリヤビル1階
by berurinrin | 2010-10-24 23:46 | 文学座観劇感想