シェイクスピア祭『鵜山仁、シェイクスピアを語る』その3

稽古場の話の続きで、蜷川幸雄さん演出の『ヘンリー六世』を翻訳をされた河合祥一郎さんは
台本は、日本語で書かれているが、言語はどうなっているか?とか語順は?とか
翻訳者として稽古場で聞かれることが多いと言われます。

鵜山仁さんの演出された『ヘンリー六世』の翻訳は、小田島雄志さん。
お稽古場での翻訳家との係わり方は?

小田島さんには、稽古を観ていただいて「これでいいでしょうか?」と
事後承諾みたいな形だったそうです。
本来は、浦井健治さんとそうだったように、3.4ヶ月付き合ってもらって・・って
「それも楽しそうなんですけれども、そこで小田島先生の言う事を僕が聞かなくなったり
その逆も起こったりで、人間関係がこじれるのも嫌なので(笑)」
小田島さんに結果を観て頂いて判断を仰ぐ形にされたそうです(笑)
そりゃそーですよね。「鵜山さんなんて、ふーんだ」とか「小田島先生、もーやだ」とか
喧嘩になったら大変(爆)
とはいえ、「それ以前は勝手にやっていい加減に解釈をされていた」と、お茶目に語る鵜山さんです。

実はカットしていた?

蜷川さん演出バージョンは、河合さん翻訳構成で6時間(それでもすごいですが)で
短縮版として非難f(^_^;)されたそうですが
実は9時間の鵜山さん演出でも、約20%ほどカットされていたそうです。
ギリシヤ神話のお話とかは、すっきりカットされてましたもんね。
「その作業は稽古に入ってからですか?」と河合さん。
「稽古場に入る前に台本作るからとせかされてf(^_^;)」と鵜山さん。
本当は、稽古しながらやりたい作業だそうですが、あらかじめ作られたそうです。
そして出来上がった台本に対して
「素晴らしいカットだ」と、小田島さんからは「お世辞としか思えない言葉を頂いた(笑)」そうで
それでも9時間・・さすがにプロの役者さんたちの引き締め方が違かったそうで
お稽古の最初からピリッとしていて、だらだらしながら詰まっていくという感じでなく
最初からあの位の規模で出来たとおっしゃいます。
なので、初日と千秋楽とで時間は変わりましたか?という河合さんの問いに対して
「じゃっかん程度」だったそうです。

稽古の流れは

「まぁ、長くなるぞって、わかっていたんで(笑)」と
本読み稽古が終わって、まず飛ばし稽古(シーン毎の稽古)で最初の場面をやって
またそれを細かくやって、細かいというのは
「誰に言ってるんだろうね?」とか「どういう、うねりになっているんだろうね?」とか模索しながら
稽古をされるそうで、一番最初の場面に戻って稽古をされると
普通は一つの作品に対して4日に1度位に戻って出来るそうですが、今回はx3になるんで
2週間(笑)・・・2週間前にやったのでもう忘れちゃってる状態なのに
今回は皆さんちゃんと覚えていて下さって緊張感が高かったそうです。

すると、河合さんが
何かの取材で渡辺徹さんが「僕達ほど、この時代の歴史に精通している俳優はいないだろう」と
話されておられたそうで「皆さん勉強された?」
「やってて僕もわからないですもん(笑)」と鵜山さん。

1部でこれを演じた人が、3部に出ていて、亡くなっていたりして
同じ役名だけど違う人だったり・・少なくともどういう繋がりなんだろう?というのは
皆さん予習が必要なんだろうけど・・・と、おっしゃいながらも
「面白いのは、配役をしたとたんにストーリーが自分でも把握しやすくなった」とおっしゃいます。
例えは、村井国夫さんがサフォーク。「サフォークって村井さんの事だよね♪」
そういう感覚で、これは中嶋しゅうさんと渡辺徹さんの関係かぁって
そんな風にしていくとわかりやすかった。

『ヘンリー六世』の舞台と顔が一致していくとわかりやすい作品と河合さん。続けて
「キャラクターのグロスターは、本当に中嶋しゅうさんの!って感じがした
ヨーク(渡辺徹さん)は、立体的なキャラクターだと思わなかった。
ヨークは、残酷で野心満々じゃなくて、ちゃんとした父親であることが初めてわかった」
「ほめてもらった(笑)」鵜山さん
「あの(徹さんの)まるまっちぃ(笑)でないと・・・」

ヘンリーに対向するヨーク公リチャードを演じられた渡辺徹さんのキャラクターについて
「白バラを掲げたリチャード。徹さんが演じられると悪党にはなり切れない。
必ず正義を貫く・・確かに彼の言っている事は正義なので、なるほどこういうヨークがあるんだ」
「吉田鋼太郎のヨークは、完全に悪党みたい(笑)」と河合さん。
「本当にコントラストがあった・・。徹さんをキャストした時点で考えていましたか?」
「いや賭けです(爆)」
「そりゃもう失敗と背中合わせ・・・いちかばちかです(笑)
でも、そういうもんじゃないですかねぇシェイクスピアって、一人の人の中に
リチャードもヨークもグロスターもヘンリー六世もいる・・っていうか分解してこうなったというか
元々は一人の人間の中にある多様性。
それを演じる役者一人一人の中にある多様性をどうやって組み合わせるか?!
それは時の勢いだったり・・僕も多少預かって方向付けをしているけれども
結果ああなっちゃったのは仕方ない(笑)」

「かなり計画的に仕掛けていたんじゃないか?!
新国立劇場のH.Pに「3分に一度は驚かせてあげようと考えています」とおっしゃっていたけれど
それを読んで、すごい演出プランをお持ちなんだろうなぁ」と河合さん。
「皮肉だとしか思えない(爆)」
「ただ演出をやっていて、演出のコツは色んな所で言っているんですけど“飽きる事”で
飽きたら当然眠くなっちゃう(笑)その時に出来るだけ寝ちゃわないように立ってダメ出しを
「ここは面白くないから、何かやりましょう」とか立って役者のところに行く数秒・・
その時に何をするか考える。
立ち上がる時は、ただつまらないと思って立ち上がって、何がつまらないのか?ここに至るまでの
キャリアの蓄積とか戦跡旅行とか様々な勉強の情報の集積とかあるんですけど
3分に一度どうやって驚かせそうとかは、わからない(笑)
ここで驚かせないとお客さんが寝ちゃう恐怖感とか自分を通じてあって、それにそそのかされて
立つことは立つんですけど、その時はどうするかわかってなくて向こうに行って、よし!こうしよう!」って
この鵜山さんの言葉ってすごく深いと思ったんですよ。
お客さんの立場というか、ご自分の気持ちを第3者的に冷静にみて立ち止まって、
役者の元に行く時に演出の立場の感性を巡られてアイデアを探る姿勢って、すごい!
すごい!かっこいい~~☆彡

河合さんも「そのひらめきが天才なんですね」

久しぶりのUPですみません。コツコツと頑張っていますのでお付き合いくださいね。
なんか当時の事を思い出しながらUPしていくと、すごく楽しくて
でも自分の書いたノートの意味不明な箇所が続出してまして・・字が読めない(><)
それだけ河合さんと鵜山さんのやりとりの波長が合って面白かった結果なんです。
自分の解釈だらけですが、楽しんでニュアンスを汲み取っていただけたら嬉しいです。
by berurinrin | 2010-09-26 13:21 | イベント
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