ドイツ同時代演劇リーディング・シリーズ『走れゴスポディン』

ドイツ同時代演劇リーディング・シリーズ①『走れゴスポディン』 in ドイツ文化センター(8/21)

作   フィリップ・レーレ
翻訳  寺尾格
演出  中野志朗

ある朝、公園で目覚めたゴスポディン(金世一さん)は、怒っていました。
彼の狭い地下室で飼っていたペットのアルパカが、グリンピースに取り上げてしまったことに。
音楽を聴こうとしていたらアンプを妻・アネッテ(目黒未奈さん)が、友人のヘルマン(松井工さん)
に貸してしまった事に
そのうちに妻は一つしかないベットと共に家を出てしまい。
無職の彼は、アルパカの為に用意していた干草の上で寝るようになって
周りの心配をよそに、ある風変わりな自分に課したルールに沿って生活するようになります。
そこへ友人のハヨー(松井工さん)が、大金を彼に預けたまま行方知れずとなります。
実は大金を持っているという話を聞いたゴスポディンの友人達が
お金目当てに彼の元に押し掛けます。

2009年3月、新国立劇場のシリーズ同世代[海外編]で上演された
『昔の女』の作者ローラント・シンメルプフェニヒさんが来日されて、このドイツ文化センターのホールで
翻訳をされた新野守弘さんとのトークと作品のビデオ上映会がありました。
それ以来のドイツ文化センター。
あんまり久しぶりだと迷うんですよ。。「確かにあの時も迷ったよなぁ~」と、思いながら
気が付いたらカンボジア大使館に到着(笑)カンボジア大使館っ?!ひゃー(汗)
あの時のドイツ文化センターの匂いをくんくんと探りながら、なんとか到着。
もう、情けない・・・。

席に着いて頂いたチラシぱらぱらめくって、う~ん「こいつぁ~また難しそうだなぁ」なんて
思っていたら、突然「こんにちは」と、通路を挟んでお隣にお座りだったのは、なんと
「わぉ~」地元にオープンする劇場の支配人に就任されたKさん。
何年も前から、めっちゃお世話になっているお方です。
先月末に事務局においで下さって、嬉しくって、しこたま飲んで、
「行こ、行こって」調子に乗って三次会で密かに階段から一段落ちちゃって
その時に、ふくらはぎを強打して今も腫れていて風が当っても、じわーんと痛いんですけど
(もしかしたら骨折してる気もなくはないんですけど、でも骨折ったことないからわかんないし・・まいっか)
でも嬉しい・・みたいな。
で、周りを見渡すと、お知り合いの方のお姿もちらほら・・なんか嬉し。

さて、真ん中に白いテープで「GOSPODIN」と書かれ四角囲われた中に椅子が一脚。
で、そこにはゴスポディンただ一人。
すこし離れた両脇には、それぞれ椅子があり未奈さんと松井さんが控えています。
このお二人はナレーションもこなされ、ゴスポディン以外の全ての人物を演じられます。
ナレーションをされる時は、そのままの席でマイクを使い。
人物になる時は、ゴスポディンの縄張り(笑)の白いテープの方に歩み寄っていかれます。
後ろには、映像が映りゴスポディンの見ている映像やゴスポディンの頭の中のような
不思議な映像が脈絡無く流れていきます。

ゴスポディンは、自らに課した四つのポリシーというか、ここで云うドクマに従って
生きることを決意しています。それは、お金を持たない、所有物の拒否や決定を否定するとか
難しい言葉で綴っていますが、本来の人間の根本的なありようというか
今のわたしたちに対する徹底的な皮肉が込められているようです。

そんな現代社会の私達の生き方に対して、真っ向から否定的なゴスポディンですから
常に怒りのマグマは渦巻いていまして、わけのわかんない怒りのパワーを撒き散らしています。
そうかと思うと母親に優しい心遣いをみせたり、世界地図がプリントしているリックを背負った
おばあさんに対して、「この人は世界を背負っているのか」なんてつぶやいてみせたりとか
またちょっと変わった言葉のアクセントに、そんなに意外と偏屈だけど面白い奴じゃんと
思わせる魅力もあったりと、不思議な人物でありました。
お金に執着を持たないゴスポディンを信用して、大金を預けるハヨーは、事故(?!)で、
亡くなってしまい、その事故現場を目撃しているゴスポディンは、
大金を手放す(笑)たくらみを企てますが
気がつくと彼の手元に戻ってきてしまう大金にうんざりしているうちに
大金を持ち歩くゴスポディンの話が近所で有名になり、逮捕されてしまいます。
その尋問の時に、ゴスポディンは、白いテープの枠から外に出て、逮捕され
再び白いテープの枠の中に戻っていきますが、その時の表情は晴々していて
刑務所暮らしの中には、彼のドクマの全てが詰まっているとご満悦。
やっと自由を手にしたことの喜びを、面会に来たアネッテに語るのでした。
この普通の感覚とゴスポディンの感覚のズレが、今のわたしたちの感覚に対して
本当に間違っていないのか?本当にいいの?と、当たり前に思っていた事への疑問符を
ぶつけられたような、意外なお話でした。いや、意外じゃない・・と
否定と肯定の境目にうろちょろしちゃうお話でした。

実は、昼間拝見したんですが、マニアック系中野氏だから(笑)と構えて観てしまって
大事なシーンを流して観ちゃった気がして、夜もまた拝見させていただいたんです。
先入観はいかんと。受け止め方の問題であって、そんなに複雑な作品ではありませんでした。

昼間の終演後には、語学部の方々によるシーンを抜粋してのドイツ語版でのリーデイング。
翻訳の寺尾格さんと中野氏のアフタートークそして交流会と
盛りだくさんな企画がありました。
もしかしたらUPします(笑)
アフタートークの時は、研修科生の滝沢花野さんと一緒に拝見して
その流れで、そのまま夜も花野ちゃんと観てしまいました♪
終演後は、またまた交流会(笑)夜だし、飲んじゃえと、偶然いらしていた制作のIさんと
かんぱーい!みたいな・・

で、花野ちゃんのお知り合いの方が、デジカメを持っておられて
「皆さん入ってぇ~」みたいに、仕切っちゃって・・あわわっすみません
普段の私は、かなり謙虚な人見知りなはずなんですけど・・f(^_^;)
私・・酔っ払うと、妙にしっかりした変な人になるんですよ。
お酒怖いっ!ゴスポディンの周りの変貌するお友達並みに怖いっ・・本当にすみませんでした。

でも中野氏の饒舌振りには感動しました。
そして夜公演には、特別ゲスト(?)が参加されて、内心びびりまくったとおっしゃる松井さんの
お茶目さん振りに笑い転げ、未奈さんのすっきりはっきりした気持ちの云い語りっぷりに
納得しながら楽しい交流談義に時間を忘れそうになってしまいました。

8/21(土)  in ドイツ文化センター
by berurinrin | 2010-08-23 23:29 | 観劇感想
<< 文学座本公演『くにこ』のお知らせ   劇団銅鑼『二重の不実』 >>