新国立劇場『エネミイ』

新国立劇場『エネミイ』 in 新国立劇場小劇場【THE PIT】 (7/3,18)

作   蓬莱竜太
演出 鈴木裕美

ごく平凡な直木家に、大量の有機野菜を抱えた成木正巳さん(嵯川哲朗さん)と
瀬川龍彦さん(林隆三さん)が、父・幸一郎さん(高橋長英さん)を訪ねてきました。
家には、フリーターでネットゲームに熱中している長男・礼司さん(高橋一生さん)と
婚活中の姉の紗江さん(高橋由美子さん)。
彼らは、当時、同士だった父との40年前の再会の約束を果たす為に現れたのでした。

「戦い」って、私たちは意外と日常の日々の中で何度も何かと戦っているんじゃないか・・
なんて、思えば当たり前のような事が、ふと改めて浮かんだわけで
それは、あの冒頭の当時の成田闘争のスライドの画像が目にぱーんと入ってきて
この人たちは全員同じ気持で戦っているのかなぁと
中には「早く帰りたい」とか「本当は参加したくなかったんだけど、友達の付き合いで」とか
「とりあえず参加する方向で・・みたいな」って・・ちょっとマイナス思考ですけど
それぞれ温度差があって当たり前で、みんな同じ温度で同じ憤りを持って
ヘルメットを被って、木の棒みたいのを持っているとは、どうしても考えられないのです。
それでも、一人一人何かに向かって戦っていたはず・・・その象徴が
画面に映った姿なのかもしれません。
でも、それが青春時代の思い出のど真ん中と重なると
もしかしたら、とてつもない甘いかぐわしい青春の一ページであって
振り返ると、当時の裏腹で邪な思いを消し去ってしまう程の効力があるかもしれません。
すごいポジティブ思考ですけど・・
で、何を言いたいかっていうと・・よくわからないんですけど
『三里塚』。
今もなお活動中ってすごいですね。
その持続するパワーの源は何なんだろう?
わたしはこの作品に触れなかったら
きっとこの事件をあえて知ることはなかったと思います。
昔、演劇は一つの情報手段だったと言われていました。
今はメディア等で瞬時のニュースを手に入れる事ができますが、
過去の出来事は、自分から手に入れようと思わなければ、その更新の早さに
記憶の彼方に追いやられてしまいます。
この作品は、わたしにとってきっかけであり、礼司さん同様に調べて
自分の中で問いかける作品でした。
きっと作者の蓬莱さんも同じように疑問を持ちながら作られたのかなぁ~と
勝手に推測しちゃうんですが、それだけにとても素直に向き合える作品でした。
なんか、爽やかちゅーか、池にぽたんと落ちた小石の波紋が広がるように
じんわりと胸に焼きつきました。

ふぅ~ため息。
終わりました。
いい千秋楽でした。

この作品を最後に8月末、鵜山仁さんは芸術監督としての任期を終えられます。
長かったような短かったような・・・複雑なんですけどね。
千秋楽の翌日には、エンディングパーティーがオペラパレスで行われまして
ご挨拶された鵜山さんが
「控えめに発言したつもりがサスペンスを撒き散らしちゃって(笑)」
なんて事をおっしゃっておられました。
壇上で、お話される鵜山さんのお姿を眺めて、あ~本当にこれで任期を全うされたんだなぁ~
と思うと結構胸がいっぱいになってしまいました。
そんなかなり気持がぐっと来てる時に鵜山さんから「まともなかっこしてる」と言われ
売り言葉に買い言葉のように「鵜山さんだってネクタイ姿じゃないですか(笑)」
まーねまーね。そりゃ、新国立主催のパーティーですからっ
一応、淑女らしい楚々としたイメージ(* ̄m ̄)プッ!で参加させて頂きました。

それにしても良く通った劇場でした。
居心地の良い劇場でした。広いし、ちょっと調べたい事やメモをまとめたい時は
早めに到着して、まずは5Fの情報センターでゆっくり時間を過ごし、屋上庭園で休憩したり
1Fの待ち合わせコーナーではシアタートークの後にふらっと立ち寄って
レポしたノートの言葉の穴埋め作業やクールダウンしたりと活用させて頂きました。
スタッフの方々の対応も素晴らしいし、警備の方には顔を覚えて頂いたり
本当に皆さんとても丁寧だし気持ちのよい素敵な劇場です。
鵜山さんが、よくおっしゃっていた「ここはみんなの劇場」
わたしが次回来る日は全くの未定ですが、機会がありましたら
どうぞ、あっちゃこっちゃと観劇だけでなく、自分にとって居心地の良い場所探しを
してみるのも楽しいですよ。だって広いんですもん♪

7/1(木)~7/18(日)まで in 新国立劇場小劇場【THE PIT】


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ブログはコチラ→H.H.G vol.10「土の中の教師たち」ブログ
by berurinrin | 2010-07-25 17:33 | 観劇感想