Project Natter Vol3『わが友ヒットラー』

Project Natter Vol3『わが友ヒットラー』 in ザ・スズナリ(7/15)

作   三島由紀夫
演出 ペーター・ゲスナー

着々と地盤を固めるアドルフ・ヒットラー(笠木誠さん)は、同じ志を持つ同士であり友でもある
「突撃隊」を率いる軍人エルンスト・レーム(浅野雅博さん)と昔語りを楽しみながらも
彼の率いる「突撃隊」の乱暴な振る舞いをいさめています。
いつ失脚してもおかしくない・・・ヒットラーにとって「突撃隊」の存在は目の上のタンコブのようです。
そんな中、今は隠居中のグレゴール・シュトラッサー(下総源太朗さん)が、
レームの前に現れ、ヒットラーが自分達の暗殺を企てていると告白します。
一笑するレームでしたが・・・。

オペラ『鹿鳴館』(鵜山仁さん演出ですよぉ~)に続き『わが友ヒットラー』三島由紀夫さんの作品。
私が初めて三島さんの作品を拝見したのはベニサンピットでのtpt『サド侯爵夫人』でした。
坂東玉三郎さんがコルネイユ夫人で麻実れいさんがルネ。
三島作品は、高校生の頃から結構持っているんですよ実は・・とはいえ
あの新潮文庫の朱色の背表紙目当てで買い集めたというミーハー野郎ですが
それゆえ、活字の世界でしか知らなかった三島さんの言葉。
出演者の美しさ以上に人の体内から言葉として出てくるその優雅さ美しさに感動しました。
そんな『サド公爵夫人』は、女性ばかり6人の対話劇。
そして対をなすのが男性4人で構成される『わが友ヒットラー』

当時のドイツでは、国家元首である大統領と首相という国のトップとナンバー2がいたようで
このお芝居の最中では、ナンバー2でナチス党を率いるヒットラーが、
大統領の承認を経てヒットラー内閣を立上げ、次期大統領のポストを狙いべく
虎視眈々とその準備に明け暮れています。
(その後、ヒットラーが大統領と首相を合体させてしまいます)
そんなヒットラーの目の上のタンコブが、
生粋の兵士・体育系男子エルンスト・レームを演じられた浅野雅博さん。
浅野さん演じられるレームが、ちょっとナルシストな雰囲気を感じて
この人物を調べてみたら、同性愛の傾向があったそうであ~と、納得。
色気がありましたよね~(笑)

『鹿鳴館』の時に、三島由紀夫さんの言葉は一語一句変えちゃいけないと、厳しいお話を伺い
上演台本をお書きになった鵜山さんが、オペラ上演の為に戯曲を1/5程に縮められた作業を
「好きな言葉をアンソロジーしただけ」と楽しそうに軽くおっしゃっていましたが・・
この作品もものすごい台詞の量!冒頭のヒットラーの演説なんて数ページありますからっ
で、浅野さんの台詞もものすごい!
一つ一つの言葉が深みがあって情景を持ってとてつもなく美しいです。
モーレツに想像力をかき立てられます。
そんな美しい言葉の中でも、笑いの種は絶対見落とさないのは浅野さん。
2幕で、ヒットラーがコーヒーの中に、お砂糖をたっぷり入れ「もう、入れないで(懇願)」
一口飲んで「うぎゃ~甘いぃ~」だったら飲まなきゃいいのに、
親友から入れられたんだから「美味しく飲むよ・・・でも、あま~っ」と
そんな台詞は全くありませんが(笑)
演じられていましたねぇ、よっさすが!!小技を利かせた浅野さんでした。
そんなほのぼのとした時間があったればこそ、その後の展開にびっくりも愕然としちゃうんですが・・

『モジョミキボー』の上演中に、この作品のお稽古が始まったそうで
「鬼でしょう!」と、いやいやいや・・・確実にMです。
おかげでお顔が引き締まって軍服がお似合いで、浅野ファンの皆様や
その姿を観て、ぐっときた方もたくさんおられた事だと思います。

でも切ないお話ですよね。切なくて怖くて悲しい・・・。
人の心の中には、絶対の信頼というものは存在しないのかなぁ~と
その後のヒットラーの人生を知れば知るほど恐ろしくなります。

7/4(水)~19(祝・月) in ザ・スズナリ

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by berurinrin | 2010-07-23 23:24 | 観劇感想