新国立劇場『鹿鳴館』オペラトーク<その3>

製作過程の中で、池辺晋一郎さんと鵜山仁さんとのやりとりはあったんですか?
と司会進行の新井鷗子さんのご質問で

鵜山さんから、原作に出てこないヴォーカリーズについて多少やりとりがあったそうです。
ヴォーカリーズというのは、黒子というか、合唱だったり、ダンサーだったり
コロスのような存在のようです。
このアイデアも若杉弘さんによるものだったそうです。

池辺さんが作曲活動をされている最中に、鵜山さんが舞台の装置の構想をお話したら
「いいよ、いいよ」っておっしゃって下さったそうで
「”俺の音楽には、何でもありだから”って(笑)」と鵜山さん
「そんなこと言わないよ(笑)」と池辺さん
今回のオペラには、祝砲とか、釘を打つ音とか、効果音が必要で
効果音として、オーケストラを使うのはナンセンスだと思っていると、池辺さん。
過去に、池辺さんのオペラ『耳なし芳一』の時に、冒頭の場面で録音されたナレーションを
使われたそうで、初演の批評では「オペラに録音された音のは如何なものか?!」
と、云われたそうで、それこそ思いのツボだったと、池辺さん。
録音された音や効果音を否定されたら照明だって問題だとおっしゃいます。
それであれば、太陽の光の下でやるべき、オペラの公演は常にマチネ(昼公演)でやるべき。
でもそんなのは「マチネー(まちがい)だと思うべきです」(爆笑)
現代のオペラは、現代のものを演出家が使うべきだと判断したら、使うべきだと、おっしゃいます。
それが、鵜山さんにお話した“何でもありだから”という意味だったそうです。

で、鵜山さんが、池辺さんとのやりとりの中で一番印象的だったのが
お会いするたびに、「(作曲の方は)いかがですか?」と伺うと
「『鹿鳴館』のうち“いち鳴館”位は出来たよ」とか、
「“よん鳴館”まで出来ていたのに、いつの間にか“に鳴館”まで戻っちゃったとか(笑)」
時間が合えば、新国立劇場に来て楽しまれていた池辺さんでしたが
去年の秋頃から、劇場に来ると、色んな方から作曲の進み具合を聞かれるそうで
来れなくなった・・と、池辺さん。「苦しかった」と、おっしゃっていました。
ヴォーカルスコアを書き始められたのは、去年の今頃だそうで7月の頭に完成。
次にオーケストラのスコアは、3月に完成されたそうです。それも金沢で『耳なし芳一』のオペラの
指揮をする2時間前に書き上げられたそうです。
すごいですねぁ~

せっかくなので、『鹿鳴館』の旋律を池辺さんが弾いて下さいました。
自分で弾いた事が無いとおっしゃいながら、明治の雰囲気をかもしだす旋律で
NHKドラマ『夜会の果て』に使っていたテーマ曲を
軍楽隊にアレンジして使用されたそうで、引き比べをして下さいました。
本来、使った曲を転用される事は、あまりされないそうですが
このお話があった時に『夜会の果て』の曲を使おうという構想があったそうです。
軽やかで、重くて、不思議な旋律なんですが、すごく耳に残ります。
軍楽隊からアレンジでワルツになって、ワルツが2種類、カドリーヌ(ポルカに近い)
そういう曲が入るそうです。

若杉さんと、池辺さんとのお話の中で、「舞踊会はちゃんと舞踊会としてみたいね」と
「ド・ライブでやってます」と鵜山さん、なんか仕掛けもあるらしいですよ。
「猿のダンスを踊っている」と、原作にもあるそうなので
「云ってみれば、似合わない格好でやっている。西洋の文化も消化もしてないのに格闘している」
そういう面を入れて、演劇的に挑戦されてるそうです。
う~ん、何を企んでるんでしょうねぇ、鵜山さんは(笑)

もうちょっと続きます
by berurinrin | 2010-06-29 23:01 | イベント
<< 新国立劇場『鹿鳴館』オペラトー... 新国立劇場『鹿鳴館』オペラトー... >>