『夢の泪』シアタートーク<その2>

「木場さん、音楽大好きなんですよねっ」と、石井一孝さんから
木場勝己さんに、音楽についてのお話(笑)
「ああ歌え!こう歌え!って言われるのが、大っ嫌い!」(笑)
好きに歌うのは気持ちが良いんだそうですが、、演出的注文や歌唱指導の先生とか
「言われる度に、むっ(怒)とはする(笑)合わせないといけないんで、頑張ってる」と
おっしゃる木場さん。
やっぱりハーモニーが「合う時は気持が良い」と
「本当は何も言われないで出来れば良いんだけど、そうもいかないので・・」
と、やっぱり歌の指導をされるのはお好きじゃないんですね。

石井さんからには
「相当量の音楽があるにもかかわらずミュージカルにしたくない。いわゆる良い声はいらない。」
と、なかなか厳しい・・ダメ出しがあったそうで
台詞を言っている音域と歌声の音域を違えたくない
より台詞に近く、歌わない、良い声もビブラート、伸びやかな声もいらない。。。
ちなみにビブラートを掛けると声が安定するそうです。
と、重ね重ねf(^_^;)なかなか厳しい要求だったようですが
実際、自分がやってみて、また今回は観客として舞台を観てみると
とても新鮮で、台詞と同じに伝わってくるものがあった、とおっしゃいます。
とはいえ、「今まで磨きに磨き上げてきたものを封印された感じになっちゃいましたね」と
司会の中井美穂さんから言われて
野球用語に例えて「カーブ禁止、フォーク禁止、ストレート130km台の押えで」と
「でも切れ味はあるように」(爆)

キャスティングについて中井さんから質問された鵜山仁さん♪
「なんかね、いやだって言ったら成立しないかもしれない・・拒否権を発動した覚えが無いかも・・
芸術監督には、人事権も予算執行権も無いけれど、「いやだっ!」って言ったら、もめるかも
かもしれません・・」と、鵜山さんがお話して下さっているのに
なんか落ち着かないなぁ~と
と、上手袖のほから角野卓造さんが、ひょっこりお顔を出されました(笑)
「すいません、下で第3部の稽古が始まるんですけれど、シアタートークがあるって聞いて
何しに来たんだか・・お暇がございましたらと、いうか切符がありましたら・・」
と、角野さん・・・一瞬でしたが、紙芝居屋さんの親方のいでたち(笑)でのご登場でした。

っと、また話が戻ってキャスティングについての続きです。
個人的には一緒でなきゃいけないわけでもなんでもない・・と、おっしゃりながらも
頻繁にご一緒してる方々なので、「だめだ」って断る理由がないし
それでもニアミスやちょっと交差したりしていて、違うものが観れるんじゃないかという楽しみもあるし
歌唱力と演技力とか、持てる力とか、どこで仕分けしたらいいのか?しない方がいいのか?
いっさいわかりませんが、と言いつつ
「まぁ賭けですもんね(笑)企画そのものも賭けだし、配役だって、
人生だって賭けそのもので、そんなことをいったら
みも蓋も無いけれど、そんなもんじゃあ~りませんか(←木場さん風に(笑))
それを楽しみに見に来て頂いてるのでは?なーんて逃げ口上を言ってます」
なんてちょっとおちゃら気ながらも
改めて能力を発揮して頂いて、ありがたいと鵜山さんは、おっしゃっていました。

第二幕8場、木場さんの「おんぶしていた赤ちゃんを錐でさされた話」
非常にむごくて胸の痛むシーンですが、台詞のところにカッコでト書きが入っていて
それは、「生まれて初めて出しましたというくらいふしぎな、怒りの声で」と書かれているますが
どうやって、ト書きに答えるんですか?と、中井さんから木場さんへ
すると、木場さんから
井上さんは、本を書く時に、基本的には字として残すことを前提に書かれる方なので
ト書きがあるんですけど、それは「読む方への手助け」とおっしゃいます。
ただ、理不尽に無視することもできないけれど、毎日ちょっとは違うそうで
「出した事のない怒り・・なんてねぇ」と木場さん。
怒り方の色合い、ボリュームが稽古場でも舞台でも違ってくるそうです。
「同じ事は出来ない」とおっしゃります。
例えば俳優の温度が高かったり、低かったり・・毎日、違う。
普通の言葉で温度が、残念ながら低くなっちゃったり、高くなっちゃったりした時、
普通に戻す為、井上さんの言葉が負担になって落としたり上げたりしてくれる。
それは奇をてらわず、普通の言葉を選んで井上さんが書いてくれる言葉の力だそうです。

言葉という事で、去年演じられた、鵜山さん演出の『ヘンリー六世』のトールボットの話になって
シェイクスピアの膨大な台詞と井上さんと比較された中井さん。
すると、木場さんから
言葉には、意味と内容があるって、それは台詞の中に書いてあるそうで、
問題は、言葉を何の為に誰に言っているかが、内容よりも優先的である
収める、怒るとか、勇気づけるとか、ちゃんと使われていれば、言葉=自分との関係が出来てくる。
目的を言う事により何を伝えたいかが見えてくる。と木場さん。
これは、鵜山さんもよく関係性という言葉を使いますし、絶対的な基本だと思います。

でも・・と、木場さん(笑)
たまに演出家と関係性に対して違いがあったりすると
「はい」と云いながら言うことを聞かないとか、その場でディスカッションしてなるべく勝ちたい。と(笑)
面白いですねぇ~
vs神妙な面持ちの鵜山さんです(笑)

さて質問タイムです。
早速、鵜山さんへの質問で
「“東京裁判で、天皇への戦争責任の追求することが意図的に避けられた”と、
台詞に明確にされていますが、表現の自由があるとはいえ、上演に際して配慮とかあったのですか?」
という質問に対して、鵜山さん。
97年に新国立劇場が開場した時の作品『紙屋町さくらホテル』を上演したときに
色々な問題をクリアしたと以前からお話されていたように
この劇場には、表現上のタブーはないと
「そもそも言いにくい事を、言う商売ですから。表現しにくい事をどう表現するか?
目に見えないものを、どうに目に見えるようにしていくかが、我々の商売ですから
ちょっと誇りをもってる」と、おっしゃる鵜山さん。
当時、劇場が全力で持って支えた過去があって、公共の国が支えた・・という事は
我々ひとりひとりが支えたという事ですから、この劇場は、それ以降、紆余曲折はあっても
自由にやらせてもらえてるそうで
今回の再演もなんら問題はなかったそうです。

お稽古中のお話をして下さって
“ずったか”(笑)と、高橋克美さんからニックネームをつけられた
石井さんから、演出の栗山民也さんのダメ出しされて、共演者の方に慰められたりと
ファミリー的な現場の様子をお話下さいました。
また土居裕子さんからは、栗山さんと鵜山さんでは全然演出が違うけれど
共通点があって、それは「二人ともしつこい」(爆)
木場さんからは、一ヶ月位の稽古期間で憎しみあっちゃうと稽古できませんからと
親しくなっちゃうし、親しくなった方が良いとおっしゃる木場さん。
それは、舞台の上で憎しみあう相手であっても、愛し合う相手であっても
相手を必要としないと出来ない事なので、相手を必要とする濃密な時間がないと
舞台にドラマが生まれないとおっしゃいます。
例えば、失恋する相手であれば、その前に愛していないとドラマは生まれない・・
なので家族や友人達よりも、濃密にならざるおえないし、濃密で無いとダメだと
でも数限られる時間の中で助かると(笑)一生涯だと「えらい大変ことだと(笑)」と、
おっしゃる木場さんの言葉はとても深いと思いました。
そして鵜山さんも
いつも稽古場では、なんでこの人はここにいるんだろう?と考えられるそうで
それは関係性のことをおっしゃっておられると思うのですが、そこのところがしみじみ
わかるといいなぁと思って演出されてるそうで、出演者の方々に遠慮がちな言い回しを
されつつ、ご出演者の方々に(笑)「今後ともよろしくお願いいたします」

最後に一言づつ
石井さんから、
今日は客席でご覧になっていて大変感動して、こういう作品にたずさわらせてもらえた
ことの喜びをおっしゃっておられました。
観ていて台詞を言ってる感じも演技をしている気もしない、当たり前といえば当たり前なんですが
客席でちょっと前のめりで見ている自分が居たそうです。
こういう作品を書かれた井上さんがいて、演出の栗山さんがいて、出演者がいて
ご自分のその一人であったことの感動を真っ直ぐ伝えて下さる石井さんです。
次の『夢の痂』も観て欲しい
ご自分を含めて、皆で戦争について考えることはよいことだと思う・・と、沢山お話して下さった
石井さん・・。すごくフレンドリーで優しい方ですね!

土居さんからは、
「今回は『夢の裂け目』の最初に井上さんが亡くなったという衝撃がありました。
そんな中で三部作をやっているのは運命かなぁと
『東京裁判』再演を果たして出演させて頂けて、上演できる国立の劇場もある
日本も捨てたもんじゃない。日本の政治家も頑張れ!って」

木場さん
芝居は生身のもので、その時、その時間で、そこの場所でやっている所に来なきゃいけない
ここでしか起こらない、生まれない小さなドラマ、かけがえのない時間を
お客様にも味わってもらいたい
一生懸命作りまから・・劇場に足を運んでください。
皆さんが、足を運んでくださると、我々の経済も成り立つ(笑)と、最後まで面白い木場さんでした。

で、最後は鵜山さんから
「ありがとうございました。
この弁護士一家もそうですが、持ち寄り家族で色んな人が集まって一つの空気をかもしてきて
井上さん流の言い回しだと共和国になる。
で、全然違うところから、そういう一つのパフォーマンスを見に来る為に劇場があって
井上さんは、劇場に対しても大変夢を持っておられる方」で
そんな井上さんの考えに励まされて、こういう仕事をしてる実感が本当にあるとおっしゃいます。
井上作品とこの劇場にかかわられたことが、体の中で信じるに足るものを何かを蓄えられたと
鵜山さん。
「そして今後も井上作品とこの劇場をよろしくお願いします」と、最後に締めくくられました。

なんか、ちょっと鵜山さんお疲れなのかなぁ~と、心配でf(^_^;)
まぁ後から、喉の調子がひりひりした感じだけど、絶好調と(笑)言われ・・ホッとしたのでした。
by berurinrin | 2010-06-26 23:25 | イベント