『夢の泪』シアタートーク<その1>

『夢の泪』の終演後シアタートークが開催されました。

司会は、中井美穂さん。
まず登場されたのは、演劇部門芸術監督の鵜山仁さんです☆きゃーきゃー!!
「連日、こうやって劇場に来てくださって、井上さん、出演者・・共々喜んでいると思います。」
現在は地下の稽古場で、目下第三部を稽古中との事
「演出の栗山さんがへとへとになっちゃっているんで、身代わりに出てきているんですけど・・」
いやいや身代わりばんざ~い・・すいません(><)でも、嬉しいです。

さて、前回のシアタートークで同じ年でいわゆる同級生の栗山民也さんに対して
「『東京裁判・三部作』(演出)やりた~い!!」と、対抗心もりもり(笑)鵜山さんの発
言を振り返るかのように中井さんから水を向けられると
「好き勝手な事を言うと憚られるんですが、僕が演出しているわけじゃないので・・」と、おっしゃりつつ
「別に対抗心燃やしてないわけじゃないんですけど・・」
やっぱ燃やしてるんだぁ・・
で、初演を振り返って質問されると
「誰が、何を裁いているんだろう・・と、そういう意味では、なぞが多い芝居。」
観る人、立場によって価値判断が違ってくる。
栗山さんも同じ言葉を使っていたそうで、違うものの見方とか考え方が
現場的な言い方だと、それがぶつかった時に、ハーモニーになるかノイズになるか?!
紙一重だし、ハーモニーもノイズも悪いわけじゃない
そのセンスが厄介な芝居。色んな座標軸で、それぞれの価値判断で
世界を回している・・・そういう表現意識をそそられるというか、対抗意識を燃やされるというか
・・やっぱ、演出したいみたいですねぇ鵜山さん(笑)

最終シーズン“戦い”3部作、3にこだわりたいとおっしゃいます。
3年やっていて、そのメリハリについて
○があってXがあって、△もある。
もしAとBがあったらCという違う答えもあっていいし、白か黒しかなかったら・・生きていても面白くない。
弁証法って、相異なる意見がぶつかった時に両方の意見をまたがって
前に進むべく答えを見つけるという、アウフヘーベンという言葉を使った鵜山さん。
鵜山さんってば、アウフヘーベンという言葉、お好きなんですよね。
井上ひさしさんの『人間合格』に出てきていた言葉でした。
わたしもこの言葉の意味を知ってとても好きになった言葉です。
「良い日もあるし、悪い日もあるし、転がって前に進んで明日がある。」まっ!
鵜山さんの言葉、素敵ですよね☆

ご出演者の木場勝己さん、土居裕子さん、そして石井一孝さんが現れました。
第一部『夢の裂け目』にご出演されて、今回は客席でご覧になっていた石井さん
早速、感想を聞かれて
「やっぱり圧倒された」そうです。
舞台装置は、床の板目とか微妙に違うらしいですよ。
前回初めて、井上作品に触れた石井さん。元々はミュージカルを活躍の場にされているので
かなり戸惑いがあったそうです。
例えば「一音一句違わずに言うこと」ミュージカルは翻訳ものが主なので
演出家がOKと言えば、多少語尾を勝手に変えたりするのは日常的な事なのだそうです。
「て、に、お、は」というか、「一音一句変えずにやってください」と
顔合わせの時に、三部作の出演者・スタッフ全員の前で井上さんからのメッセージが届いたそうで、
演出の栗山民也さんも同じ事をおっしゃったそうで、
井上作品の面白さと難しさひしひしと感じられたそうです。

『東京裁判・三部作』初参加の土居裕子さん
前回『夢の裂け目』では、プロテスタント系メソシズト派の女伝道師(禁酒らしいです)
そして今回は、酒に溺れる・・というか、「節操のない女優だなぁ」と楽しかったとおっしゃっていました。
本番とお稽古と同じ進行だったそうで、同じ立場の木場さんと
朝、お互いに「元気だよねっ!」とアイコンタクトをされていたそうです
「ナンシーは、あんな女なんですけど・・根底には、愛する夫と愛する歌を思う女性」
ご自分にぴったりだと(笑)
客席に向かって「酒!!」と歌いますが、初日には目を背けられたそうで・・迫力ありましたもんね。
でも、ちょっと寂しくて栗山さんに話したところ「みんな全員を背けさせろ」と
落ちていく快感が楽しいとおっしゃいました。

『夢の裂け目』では、紙芝居屋の絵描き。
先輩弁護士役で、69歳の設定で最後はおじいちゃんと
10年前の初演『夢の裂け目』を拝見した時は、自分だったらと考える年齢じゃなかったのに
今度は大分年が近くなったと、木場さん(笑)
『夢の泪』も(年齢設定が)5歳位しか違わなくなって、こんなになっちゃったんだなぁ
寂しい気分とおっしゃいました。
と、当時の観劇した芝居の印象を聞かれて「忘れました」(笑)

井上さんの膨大な量の台詞を頂く役が多いとおっしゃる木場さんですが
膨大な量の台詞の時は、メッセージやテーマとか言わなきゃいけないわけで
今回は、台詞が少ないので楽だなぁと思ったら、歌がやっかいだとおっしゃいます。
けれどもその場にいて、参加したり見守ったりするのが、楽しかったそうです。
「その台詞の隙間隙間で小さなドラマが点在していて、それらを見たり体感するのが楽しかった」と
おっしゃいました。
『夢の裂け目』では、土居さん扮する川口みどりさんとは、獄中で会うので
その時の川口さんの言葉で、一喜一憂で動かされ、
石井さんとの場合は、獄中のシーンで「あなたが頑張れよ」と言われ、少し憎しみが・・(笑)
言うだけ言って「お前がやれよ」って・・「一孝君が嫌いなわけじゃないですよ」(笑)
『夢の裂け目』時の心情を解説してくださった木場さんでした。

井上さんのメッセージをたくさん託された役の石井さんは、
すごく難しい台詞が多く、練習していても何日に一回は台詞を噛んじゃう(苦笑)と、
共演者の高橋克実さんに「お前は噛むよなぁ」と(笑)
井上さんから「一音一句変えずに・・」と、石井さんは前回公演を思い出して
かつてない緊張感を感じておられるたそうです。

初演時には、やはり台本が間に合わず1ページ1ページ、台本がFAXで
稽古場に届けられたそうですが、翌日届いた台本が全く同じで、よくよく見たら
「、」の位置が変わっていたり
「に」→「へ」に変わっていたとか・・
まさに心骨削っての一音一句・・・。すごいです。

土居さんの歌い方について、ミュージカルで拝見する時と全然違うと、中井さん。
それについて演出家から指示を受けたそうで
良い声を要求しているわけではなくって
ナンシーという人間が発している声であって、
明日食べるものがなくなる・・そんな時代に生きている人間の声が欲しい。
と、オーダーが出されたそうです。

また、春風ひとみさん扮するチェリーさんと2人で一つの声を発するシーンも多く
どうやったら良い感じになるか?二人でよく話し合われたそうです。
結果、今突然にふっとやっても合うと思うと、土居さん。
まるで双子のように、喧嘩していても、何があっても一緒に声を合わせられると
「けんかしてる・・って健康的だろう」って栗山さんがおっしゃったそうで
この2人のけんかは仲良しのけんかだって思って演じられておられるそうです。
そんな春風ひとみさんとは、楽屋も一緒。
やっぱり人間ですから、どうしても合わない人っていると思うが
お互いに歩み寄って譲り合う、いいパートナーだとおっしゃいました。

なんかいつもよりもおとなしい?鵜山さん・・にちょっと心配な私です・・
次回に続きます
by berurinrin | 2010-06-24 23:54 | イベント
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