文学座本公演『麦の穂の揺れる穂先に』  

文学座本公演・紀伊國屋書店提携『麦の穂の揺れる穂先に』 in 紀伊國屋サザンシアター(6/5) 

作   平田オリザ   
演出 成井市郎 

アイルランド文学の教授・高柳誠二さん(江守徹さん)は、娘・早紀子さん(栗田桃子さん)と
鎌倉の自宅で二人暮らし。
静かな暮らしと思いきや、友人の向井夫妻(坂口芳貞さん、山本道子さん)や部下の矢野さん
高橋耕次郎さん)や教え子達(永川友里さん、千田美智子さん)そして、姉夫婦
金内喜久夫さん、藤堂陽子さん)など折りある毎に来客のある高柳家は、
賑やかな日々を送っています。
そんな中でも、姉夫婦達は、誠二さんの再婚と早紀子さんの将来を常に心配しているようです。

静かな余韻と柔らかい温かさにつつまれる美しい作品です。
8mm映画のカタカタ音いう音を聴きながら、モノトーンの映像を観ているような
優しい、優しい作り手達の細やかさを感じさせる美しい作品です。
どこにでもあるお家の居間が、四季の移り変わりを感じさせて
そこに集う人たちの、背景にある個々の生活の匂いも
なぜか感じられる事ができる気がしました。

寄添って長年生きてきた父と娘の言葉にならない情感を
あえて場面で見せずに私達の想像に委ねてくれる部分の作家の優しさと
想像力をかき立てる江守さんと桃子さんの二人のやりとりが、
湯気のようにほのぼの伝わってくるのです。
そして周りの愉快な人たちの陽気さも彼ら父と娘の存在をふわっと包み込んでいるようで
ぽんぽんと何気ない会話のやりとりの笑いの中で、時折きらりと宝石のように輝く光が見えます。
それは、江守さんが朗々と語る詩の朗読だったり
倉野章子さん扮する真理子さんの誠二さんに向けられた、はにかんだ笑顔だったり・・・
日高熊太郎さん(大場泰正さん)のびっくり顔や
ぐっと唇をかみ締める早紀子さんの半泣きの表情だったり
きゅーんと、たまらない愛おしさを感ちゃいました★

う~、やばいまた観たいかもぉ~!!!

5/31(月)~6/9(水) in 紀伊國屋サザンシアター
6/12(土)、6/13(日)in ピッコロシアター大ホール
6/19(土) in 鎌倉芸術館小ホール

文学座本公演『麦の穂の揺れる穂先に』  _c0023954_21165664.jpg

by berurinrin | 2010-06-06 21:17 | 文学座観劇感想