シェイクスピア祭『鵜山仁、シェイクスピアを語る』その1

シェイクスピア祭『鵜山仁、シェイクスピアを語る』 in 清心女子大学 宮代ホール(4/24)

出演   鵜山仁
聞き手  河合祥一郎

シェイクスピア協会の会長・安達まみさんのお話の後、
登場されたのは、河合祥一郎さんです。
河合さんといえば、新国立劇場で『ヘンリー六世・三部作』上演中に開催されていた
シェイクスピア大学校で講師として招かれお話をして下さいましたね☆
そんな河合さんから、昨年秋に上演された鵜山さん演出の新国立劇場『ヘンリー六世・三部作』が
演劇界に影響を与えて、栄えある演劇賞もろもろを総ナメにした受賞者列伝を紹介して下さいました。
そしてひゅーひゅー鵜山さんがご登場です。

メモメモカキカキ状態です。鵜山さん中心で、勝手な解釈もあると思います。
毎回ながら言葉の足りない部分もあると思います。
毎回レポする時は、自分が理解出来ないと書けない性分なので本や資料やインターネットを通じて
調べて加筆して自分なりに消化しています。
もう、イベントをUPするのは止めようかなぁ~と思ったのですが
マブダチの励まして頑張りますわっ!
演出家を好きになったのなら、その作品世界も広めるべきである・・・

鵜山さんは、去年『ヘンリー六世・三部作』の企画をされている最中に
イギリスへ戦跡旅行に行かれましたが、その時に偶然にも河合さんと『冬物語』上演中の
ストラットフォードの劇場でばったり出会われたそうで
その時の話からはじめられました。

戦跡旅行のこと

1990年発行『シャイクスピア史劇の古戦場(柏倉俊三・著)』をガイドブックにして
ロンドン近郊バーネット、セントオールバンズ、タウトン、ウェイクフィールド
ヨーク公の居城サンダル城。
で、改装中のスワン劇場の変わりにコートヤード・シアターで、
「冬物語」をご観劇されている所に河合さんと偶然出会ったそうです。
ちなみにこの劇場は2008年に「ヘンリー六世」三部作を上演した劇場だそうです。
その後、ロワール河の城めぐりをされてパリに戻って・・と
「私費で行ったんです(笑)国費じゃなくって!重要なとこです」

実際には2~3ヶ月の間『ヘンリー六世・三部作』の稽古場に入りっぱなしに
なっちゃうので、そこでは発想も狭ばりがちになってしまうので
あらかじめ風通しのよい場所に・・・そんな企画での珍道中(笑)だったそうです。
実は、わたしもこの『シェイクスピア史劇の古戦場』持っていまして
それも全くの未読で、持っていたことさえすっかり忘れていました。書きながら
「あれれっ聞いた事ある題名だ」・・今更ながら引っ張り出して、ちゃんと読みます!近々(笑)

「シェイクスピアを研究されてる方々や『ヘンリー六世』を研究されている方々でさえ、
そんなにあっちこっち実際に足を運んでいる人は、いないんじゃないか?!」
と河合さんから現地の感想を聞かれた鵜山さん。

「行ってみると関が原じゃないけど、たまにちょっと碑があったり
花が手向けられたり、他には何も印の無い所だったり・・・
こっちから先は日常で、ここから先は戦場です・・みたいな柵があるわけじゃない
ので、そこんところが面白かった」
かつての合戦であった関が原が現在のような姿に変化したように、
今の私たちの日常見てる環境と似てる所が、異国の地でも感じられたことがようです。
鵜山さん的な言い回しだと「戦場と踵を接している日常みたいなものが
積み重なってああいう舞台にどっかつながったのかなぁ」

舞台設定について

「上手に池があって、ずっと奥まで野原のような丘のようなものが広がり手前には戦の跡でもあるような、
照明の使い方次第で、いかようにも変化できる・・
それこそ日常と非日常というものが区別なく変わってくるような空間が
出来たかと思うんですが、それこそ旅行の成果でしょうか?」と、河合さん
「そう思うしかないでしょうね」と鵜山さん

最初は「ミニチュアの世界を実現したかった」と、おっしゃった鵜山さん。
フランス庭園ではなくイギリス庭園みたいに自然と人工が葛藤しているような
空間を表現してみたかったそうで、
「庭園ですから池もあって木も生えてたりするんですけど
何百年、何千年も経つと枯れちゃって、かつてはゴミ捨て場だった所が
今は遺跡と呼ばれている。。と、いうような空間をと色々重なって結局あんな風になったんです」

「全体の色調を鉛を敷き詰めたようなメタリックにしようと思ったわけじゃない」

「手前の方には、プレスした建材だとかTVだとか車だとか・・ゴミ捨て場であって、
それがずっと奥の方に繋がっていて、昔々はゴミ捨て場だったところが
人が住んでいて、またいなくなって・・というその後の風景なのかもしれないって
続いているんですけど、それがいわゆる鉛みたいな質感でコーティングされているわけなんですけど・・」
最後にメタリックな印象になったのは、装置家の島次郎さんのオリジナリティだそうです。
島さんもご同行の戦跡旅行中は去年の3月下旬~4月に掛けて
季節は、春の初め・・目の前に広がる牧草地や黄色いラッパ水仙が咲いている
中を旅されていたわけで、
当初は「早春の芽吹いてくるようなきざしの色合いの中でやろうか」みたいな話だったそうですが
ところがある日、新国立劇場の会議室で
「照明的にどんな色でも反映させやすいグレーで全部行きましょうか」って、
決まっちゃったそうです。
あの舞台が緑の牧草地だったら、どんな事になっていたでしょうね?!

『ヘンリー六世』をやろうとしたきっかけ

芸術監督は、年間8本~9本のプログラムを立てることがお仕事。
任期が3年という事が決まっていて、何かにつけて3部作と(笑)
鵜山さんは“3”がお好きなんですよね
マジックナンバーという言葉を良く使われますが、大きな物語を一つやってみたかったそうで、
「(大きな物語なら)シェイクスピアかなぁ~、3部作かなぁ~と
『ヘンリー六世』かなぁ~と・・それだけなんですけど(笑)」
ここは、ちょっとリップサービスが入っているようでしたね★

お稽古場での面白いエピソードは?

ほとんどお忘れになってしまったそうですが
翻訳の小田島雄志さんが一週間に一度の割で見学に来られたそうです。
「けっこうなプレッシャーなんですけど」(笑)
で、「いかがですか?」って聞かないわけにもいかなかったそうで
伺ってみると、ジャンヌ・ダルク役のソニンさんのフェンシングのポーズみたいな
決闘シーンの姿勢をご覧になって
「すらりとした後ろ足がいいね」って(爆)
小田島先生からは、演出的な事とかは特に言われなかったそうです。
あ、でも「厳しいことを言われた気もするけど忘れてしまった(笑)」
ほとんどは「うん、いいね」って、とても励みになられたとおっしゃっていました。

実際稽古をやってみて、最初に思ったことと違う事だとか新たな発見は
ありましたか?

「それはもう一行一行、こう繋がっているのか?!ってしかも三部ですからっ!!」
人間関係のバリエーションの変化とつながりやなぞめいた台詞に
驚きやとまどいを覚えられたようです。
例えば、例にとってみると
2部のヘンリー六世がサフォーク公に国外追放を申し付けた後に、ウォリック伯を
呼んで「ちょっと一緒に来てくれ、大事な話がある」という一行の台詞。
こういう台詞というのは、現場では意外と問題になるそうで
「大事な話って何だろう?」現場で答えが出ない事もまれにあるそうです。
たまたま、鵜山さんが蜷川版『ヘンリー六世』をご覧になった時に
力のないヘンリーのメカ二ズムの変化があったと気が付いたそうです。
それは、稽古場では発見出来なかった事だったとおっしゃっていました。

他の新作をやるのと、シェイクスピアをやるのは違いますか?

「シェイクスピアは楽!」と答えられた鵜山さん。
「人間のやっていることだから、間違いも記憶違いも色々ある事ですけど
一応、現場的にはシェイクスピアの台詞に文句をいう俳優はいないので
演出者としてすごく楽な事なんです。」
「なんでこんな事、書いてあるの?」って言っても「こりゃひどいよね」と云うことにはまずならない・・。
「だって、この本(シェイクスピア)やりたくて集まってきたんでしょう?」って
だから後は、解釈というか演出の問題だとおっしゃっていました。
ここでリルケの言葉を引用して
「1たす1は2と答えた人は良いけど、3とか4とか答えた人も
それなりに人生において忍耐を持って申すべし・・」って
本にこう書いてあるからには、それを解釈して、生きるべく想像力を働かしていけば良いので、
シェイクスピアの場合は、岩のごとき拠り所になってくれるところが、楽なんだそうで
決してわかりやすいとか解釈しやすいという意味ではなく
リーダーシップの役割のような力が、シェイクスピアの本自体にあるような気がするそうです。

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『モジョミキボー』は上演中、気がついたら手持ちのチケットが増えてるぅ私です★
魅力たっぷりな二人の男の子の冒険物語・・ぜひ劇場で彼らと一瞬を生きてみてください!!
情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-05-15 11:23 | イベント
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