『象』シアター・トーク「日本の不条理劇」その5

なるべく日本に馴染もう・・・そう、思った時もありましたが
文学座のアトリエの仕事で、だんだん日本的になっていったと、語る別役実さんです。
久保田万太郎作品の空気感などで「生活感はこうだよ」とか、文学座の俳優たちによって
日本とはこういうものだと、なんとなく演劇的に変わってきた気がするとおっしゃいます。
すると、司会の大笹吉雄さんから
「『あーぶくたった、にいたった』(1976年)『にしむくさむらい』(1977年)とか、タイトルが変わってきた」と
おっしゃいました。また、続けて「アリスシリーズ・・これも、別役さんの一時期をかたどった気がする
ルイス・キャロルの世界もナンセンスですよね」
「童話とかも、その後の『マッチ売りの少女』も『不思議な国のアリス』の間に書いた『門』は
カフカの門ですから(『掟の門』?!)ですから、あちらのものをどう取り入れるか?
そういう発想が強かった」と、別役さん。

最近作・・ということで、『やってきたゴトー』という作品で、ベケットに別れを告げる?!
「これは、はっきりさよならを告げたんですか?」と、大笹さん。
「そうでもなかった(笑)」と別役さん。
ベケットを喜劇だと思って読み直すと、割と親しめやすくなってきたそうで
「ナンセンス喜劇なんだと発見したら親しみやすくなった」とおっしゃる別役さんです。
とはいえ、それ以前までは、ベケットに対して拒絶反応を持っていた時期が長くて
ベケットから、離れようと思いながら痕跡を引きずっていたと、おっしゃっていました。

「『象』のように半世紀前の作品を上演される気持ちは如何ですか?」と、大笹さん
「『マッチ売りの少女』以前は、台詞に感情移入してる分だけ
なんとなく嫌な感じがする。しばらくは読むのも観るのも嫌だった」と、別役さん。
けれども燐光群での『象』の上演以来、拒絶反応が薄れてきたそうで
それは情勢が変わってきたのかもしれないし、“病人”を喜劇的にみえる時は、割と平気ですが
悲劇としてとらえるとよくない。耐えられない・・今回の上演によって
喜劇的であり空間的にもみれるようになった。
別役さんにとって、とても大きな意味を持った上演だったようです。

ここからは質疑応答の時間になったのですが
かなり興味深い質問がありました。が、けっこうメモが・・だらけてしまってf(^_^;)
集中力が消えかかっていたんですが

大杉漣さん扮する“病人”が、腰に片手を当てて、もう一つの手を上に上げてるポーズが
長崎の平和祈念像に似てるというお客さまからで
「いわれてみたら、似てる・・当時は、考えてもいなかった。
でも、長崎の像は、おおざっぱ過ぎて好きじゃない(笑)」と別役さん

「被爆者の事をどうやって調べたのか?」という質問に対して
“病人”は、モデルが“ケロイド1号”さんという人で、土門拳さんの写真から得たそうです。
病状についても、一般的なドキュメンタリーや雑誌からの知識とおっしゃっていました。
当時、“ケロイド1号”さんが、自分を人に見せる事によって、非常に非難が起こったそうで
その非難に対して、「見せるこの」に対して、いいんじゃないか、積極的な行為だろうと
義憤を感じた事が、書く動機に繋がったと、おっしゃっていました。

と、最後に
「この作品を国立劇場で上演する意味は?」と、鵜山仁さんに質問がありまして
個人の責任と公の責任の関係性について、持ちつ持たれつではなく、異議申し立てであって
最近の言葉として“リコール”であって、責任を詳らかにすること。
国という枠を取り外すと、残るのは民だったりするので、お互いにコミュニケーションをしていく事で
色んなキャッチボールをしていくことの必要性を感じる事でも
こういう表現を国の劇場で上演することの意味はあると、おっしゃっておられました。
う~ん、一言一言かみ締めるように語るうーさま素敵です。

最後は、新国立劇場特製帯付きの『象』の本の宣伝されてました~♪鵜山さん、かっこいい♪

終了後、客席に藤原新平さん発見!一緒に拝見していたヨリちゃんこと頼経明子さんと
藤原センセの元へ★ゴー!!
藤原センセといえば、文学座の別役作品のほとんどを演出されてるお方!
いっつもニコニコの優しい笑顔で穏やかに話をして下さいます。
以前、藤原センセの別役作品を拝見した時、背景が真っ黒で、立体化されてどこまでも続く闇に感じて
お話はブラックユーモア満載なのですが、恐怖感がまとわりついて・・と、お話した時に
お仕事の関係で、アウシュビッツに行って収容所の敷地内に宿泊した時の不思議な体験を話して
下さった事がありました。もしかしたらその体験が「立体的な闇に通じたのかもしれないね」と・・

さて、こんなに長く今更ながらのレポですがf(^_^;)
別役実さんの作品が観たくなってきませんか?!
なんと偶然にも、西本由香さんとヨリちゃんの企画で実現した
自主企画公演『ピンクの象と5人の紳士』が上演されるんですねぇ
チケットは、相互リンクしてます西本さんのブログMake'Em Laughで受け付けて下さいます。
自主企画といえども、素晴らしい豪華出演者です。
座席数が少ないと思いますので、ご予約はお早めに~!!!

さてモジョ君、ミキボー君も劇場入り!も~いくつねると♪状態ですね(*^_^*)
情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-05-01 23:51 | イベント
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