『象』シアター・トーク「日本の不条理劇」その3

「タイトルが日本不条理とついてるわけですが・・」と
「別役さん以外にいるかなぁ~という気がするんですけど」と、大笹さん。
「今の若い人たちの不条理的なニュアンスとしての現代劇は、かつてのリアリズム演劇か?と、
いうとそうではない」とおっしゃる、別役さんです。
「不条理演劇」というネーミングは、マーティン・エスリン氏という評論家が名付け親で、
それ以前は、アンチテアトル呼ばれ、ベケットとかアダモフやら作家が書き始めたそうです。
これまでの流れと違うという意味で、アンチテアトルと呼んでいたそうです。
その後、それらを不条理の演劇と名前をつけて慣れ親しんできた・・
ちなみに不条理=ナンセンス、ばかげてる・・という意味だそうです。
「そういう意味でも・・深津さんは不条理演劇は初めてですか?」と、大笹さん。
「3.4年前に岸田賞をお取りになった佃さんの作品は、基本、不条理だと思うんですけど、
その作品を演出しています」
また「不条理演劇と、言われると別役さんの他に誰か?といわれるとピンと来ない」と、深津さん。
佃典彦さんといえば『ぬけがら』!!文学座で公演されました。
面白かったですねぇ~!大笹さんも『ぬけがら』について
「どんどん男が若返ってくる作品で面白かった」とおっしゃいました。
「ですが・・・ばかばかしい、ナンセンスだなぁと思うけれど、別役さんの描く不条理の世界とは違う気がする」
と、大笹さん。
「深津さんの芝居も不条理です!」と別役さん。
去年、深津さん率いる桃園舎の『電波猿の夜』を拝見しましたが、
確かに不条理だし、一つの同じ空間をジャングルや狭いアパートに見立てたりと
また変わった世界を魅せられた気がしましたもん。

佃さんの作る不条理性とケラさん、そして若干そうだと・・ご自身(深津さん)を
含めながら、どこか共通点ではないんだけれも同じ地平を感じたりするそうですが、
「別役さんの地平とは、大分違う地平な気がする」と、おっしゃる深津さんでした。

そんな別役さんは、ご自身ベケットに影響を受けたとおっしゃいます。
「読み漁った中で、一番体質に合った」とおっしゃる別役さん。
それ以前は、カフカと共通点があったそうで
「カフカの喜劇性」と表現されました。
状況事態は、悲劇なんだけれども、それにもかかわらずおかしい。
別役さんは、「喜劇と悲劇の危ういバランス(混合の割合)」が好きだったそうで
そのバランスの比率は、ベケットにも通じているそうです。
他のフランスの有名な不条理作家イヨネスコやアナバールは、その配分バランスがベケットやカフカ
とは、違うんじゃないか・・と、ちょっと繊細で難しいお話が続きます。

っと、曖昧な立場の(笑)鵜山仁さんが
「僕、ベケットって、生で一度顔を見たことがあるんですよ!」と嬉しそうな鵜山さん
「ルジェ・ブランって『ゴトーを待ちながら』のパリの初演の演出家のお葬式に
83年に行ったら、ベケットがこの辺に(と、手振りで)座っていてね
もう、別役さんそっくりなんですよ(笑)
なんか一種の猛禽類みたいな(笑)鳥のような俯瞰しているような眼差しで
気を許すと何でも食べちゃうぞって
確実に肉食系なんだけど、俯瞰してるっていうか、眼差しがありました。
体質があったと、おっしゃったので思い出したんだけど・・
論理的な話じゃなくて申し訳ないですけど・・・(笑)」
卒公がベケットだったとおっしゃる鵜山さん。
別役さんの前で・・「こんなこと」とおっしゃる鵜山さん、やっぱ嬉しそうでした。
ちょっと自慢げに語る鵜山さん・・可愛い(*^_^*)

「ベケットといえば・・」と、大笹さん。
「・・そういう意味では、不条理な事故に遇われたんですよね」
ベケットさんは、若い頃、通り魔事件のように全く知らない人物に刺されて
大きな傷を持っておられたそうです。
その上、第二次戦争中では、情報局に勤めてスパイの暗号を解読したり
と、ベケットさんってすごい人生を送った方なんですねぇ~
「暗号というと、ベケットの戯曲自体が暗号みたいな文体をしている」と別役さん
「晩年の作品は、そうなっていきますよね」と大笹さん。

と、また『象』の話に戻って
この作品は1962年に書かれていますが、ステッキのシーン(ステッキを持った男性二人が出会って、
なぜか戦ってしまう場面)は、
「文体が違う・・漫才ぽい」と大笹さん。
この場面は、1965年に付け加えられたそうです。
「何で書いたんですか?」と大笹さん。
「少し短かったので、どっか付け加えよう。と、思って加えた」とあっさりの別役さん。
そして現在の本が決定版になったそうです。

休憩一回の2幕構成は、初めて。。と、おっしゃる大笹さんに対して
深津さんが、3幕は上演時間が18分位なので
「休憩を入れるのはどうかなぁと・・1幕と2幕、3幕は通しました」
「分かれていたんだ!」と別役さん(爆笑)
「はい、分かれてはいます(笑)暗転込みましたからっ」と、深津さん。
『象』を観たことがなくて、読んだ事しかなかったので、縛りも固定観念もなくってよかったよかったかなぁ・・
と、深津さんがおっしゃっていました。

大分、時間が経ってしまいましたが、シアタートークの続きの再開です。
この後は『夢の裂け目』やシェイクスピア祭『鵜山仁シェイクスピアを大いに語る』や
『西埠頭』のシアタートークとか、鵜山さんのご参加トークをちょこっとづつUPしていきますので
お付き合い下さいませ~

なかなかすかーっとした青空が見えないですねぇ~でも、モジョ君、ミキボー君とそのお仲間達は
きっと今日も同じ方向に向って突き進んでいるのでないでしょうか(*^_^*)
そんな彼らの情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-04-27 22:37 | イベント