新国立劇場 演劇研修所修了生のためのサポートステージ『西埠頭Quai Ouest』

新国立劇場 演劇研修所修了生のためのサポートステージ
『西埠頭Quai Ouest』              in   新国立劇場中劇場特設ステージ(4/22)

作    ベルナール=マリ・コルテス
翻訳  佐伯隆幸
演出・照明・音響 モイーズ・トゥーレ
上演版テクスト作成 モイーズ・トゥーレ/鵜山 仁
監修 鵜山 仁

かつては美しかったこの場所。
ところが今では、打ち捨てられ不衛生極まりない倉庫に住む移民の一家。
そこへ死に場所を求めてモーリス・コッシュ(世古陽丸さん)が、
彼の秘書?!モニック・ポンス(日下由美さん)と現れます。
モーリスは、海に飛び込み自殺未遂を起こしますが、そこへアバト(サミュエル・フォーさん)に
助けられます。モニックは、はぐれたモーリスを探して闇の中を歩き回ります。
大怪我を負ったモーリスと再会したモニックは、自分達の場所へ帰ろうとしますが
二人の前に移民の一家が立ちふさがっています。

作家のベルナールコルテスさんは、41歳の若さで1989年エイズによって亡くなったそうです。
没後20周年にあたる去年から今年に掛けて、本国フランスから世界に向けて彼の作品を
上演するというプロジェクトがあったそうです。
フランスとの共同企画という形で立ち上がったこの作品のいきさつは
シアタートークで詳しくお話を聞かせていただきました。
レポートはまた改めてさせていただきますが、
この作品に関しては、新たな企みがいたる所に散りばめられていて
超楽しかったです。

まずは、特設舞台。
中劇場の舞台は、メインステージと同じキャパの大きさの舞台が、下手、上手、正面後方にありますが
入場する時に、通常の客席を通り抜け、通常の舞台を通り抜け、丁度プロセニアムアーチの部分に
紗幕が引かれ、その奥が特設の客席が作られて、その奥が舞台となっていました。
舞台の上には、なんの装置もなく、舞台の奥は、どこまでも遠く、舞台のその大きさによって
役者の発する声や足音が、倉庫の中にいるように「うわん」と、静かに響き渡りました。

そしてストーリー展開の不思議さ
始めに、移民一家の父親・ロドルフ(小林勝也さん)が現れモノローグのように詩を諳んじるかの
ように客席に語りかけます。
そして一つのドラマが、その言葉を跡付けるかのように始まります。
実は、最初これがちょっとわからなくて「ん?」と、思ったのですが
登場人物の名前とモノローグが一致したとたん、めちゃくちゃ楽しくなっちゃって
この新鮮さにわー!!と夢中でのめり込んでしまいました。
芝居の合間にはコンポラリィーダンスが入って、彼らの行動や心の動きがわかりやくなっているし
照明も新鮮でしたね。
光と影のコントラストの美しさが先の見えない怖さを感じさせるし
昼間でも、うすぼんやりした彼らを取り巻く生活環境の実態を感じ取る事ができました。

文学座からは小林勝也さん。
勝也さんのお父さんは、ちょっと狂気を感じる怖さがありました。
勝也さんのモノローグは、絶品!!聞き惚れました。
最後はダンスシーンもありましたよぉ(笑)

勝也さん扮するロドルフの息子シャルルは、文学座研修科を卒業された北川響さん。
毎回ながら北川さんの舞台を拝見する度にびっくりするのですが
今回も・・北川さんの体のしなやかな動き・・まるで猫科の動物のようです。
近づいたら爪を立てられそうな危険な香りも感じさせられるし
この日は、ハプニングで車のキーを落としそうになったシーンがあったのですが
その時に、ぐっと力をいれた手の動きで、ナイフを握ったのかと思ってしまいました。
それだけ危険な男の匂いがぷんぷん感じられたのでした。

初日のこの日は、二度目のカーテンコールで客席からモイーズ・トゥーレさんと
鵜山仁さんがだーっと駆け下りてきて、役者達と手を繋いで一緒にご挨拶。
わお~★かっこいい~!!鵜山さん、素敵!きゃー!!キャーと、興奮しっぱなしでございました。
終演後、舞台の上では一言も言葉を発しなかったアバトさんを演じられたサミュエル・フォーさんに
流暢な日本語で「お疲れさまでした」と、言われ
めちゃめちゃびっくりした私・・・(実は、日本に非常に造詣の深い方でしたf(^_^;))
これまたびっくりのオチがついたのでした(笑)

4/22(木)~4/25(日) in 新国立劇場中劇場特設ステージ

この日の会場で出遭ったのはモジョ君、ミキボー君のお二人。
性格も趣味も全く違う二人なのに・・なぜか気が合うこの二人・・
そんな彼らの情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-04-25 23:26 | 観劇感想
<< 『象』シアター・トーク「日本の... 久保田万太郎の世界『三の酉』『夜長』 >>