文学座本公演『女の一生』その2

文学座付属演劇研究所開設50周年記念/2010都民芸術フェスティバル参加作品
文学座本公演『女の一生』 in 俳優座劇場(3/7) 

作   森本薫
補綴  戌井市郎
演出  江守徹

「誰が選んだのでもない、みんな自分で選んだ道・・」胸にどーんと押し寄せてくる名台詞の数々
そしてアーニーローリーの曲は、心の温かい部分にきゅんと響きます。
作品の中に生きる人たちの人生を背負ったこの芝居。
感想なんて、なかなか上手く言葉に出せなくって・・・どのシーンも洗練されていて美しい・・
用意された人生のレールに乗ってしまっても、自分が選んだ生き方と、きっぱり言える人生。
潔くて辛い・・布引けいさんという一人の女性の生き方。
なぜかふと憧れを抱いてしまいます。

さて、杉村春子さん、平淑恵さんと続き、今回のけいさんを演じられたのは、本公演デビュー準座員の荘田由紀さん。
いやぁ頑張りましたね~!!すげーすげーと、見事な姿を魅せて下さいました。
だいたい40年程の人生を『女の一生』で演じられるそうですが、若さに重みを置かれるんだろうなぁと
勝手に思っておりましたが、大人っぽい風貌の荘田さんは、少女期のけいさんを
生い立ちゆえの苦労から、年齢よりも大人びてるけど、内面は少女のような繊細さが伝わってくるし
心に蓋をして仕事に情熱を傾ける中年期から壮年期にかけてのけいさんが、
まさにぴったりと大人びた荘田さんに重なって、おやおやっとびっくし・・で、
老年期のけいさんは、ますます磨きが掛かった女性へと変貌していく様が、本当に見事でした。
実際のところ、荘田さんの舞台は研修科生の発表会以来でした。
舞台栄えのする素晴らしい素質を持った女性なのに、なんか芝居が大人しいなぁと思っていましたが
大変なプレッシャーを自分の糧にして本当に頑張った思います。
この機会をバネにして頑張って欲しいです。ふぁいとぉ~!由紀ちゃん!!

けいさんと淡い恋心を通わせるのは、堤家の次男・栄二さん(粟野史浩さん)
有名な、あのたすきがけの手拭をけいさんとひっぱりっこするシーン♪
客席はつい、にまに~ま(笑)と微笑ましくも照れちゃいそうな場面です。
この粟野さんのとろけ~る笑顔が炸裂なんですよね。
無邪気で快活な栄二青年、素敵でしたねぇ
冒頭のシーンの老年期の栄二さんから、青年への早替わり・・見応えありました★
そして壮年期の暗い影を背負った栄二さん・・うかがい知れない人生を登場する為に匂わすような栄二さん。
そんな粟野さんは、下積みの長い漫才師のビールきよしさんを演じられた『口紅~rouge~
以来の劇団公演でした。

けいさんと結婚するのは、堤家の長男・伸太郎さん(瀬戸口郁さん)
文系で商売が苦手な伸太郎さん・・・でも、穏やかで優しい、優しい人でしたね。
けいさんを愛しているのがすごく伝わって、愛するけいさんが変わっていく姿を
愛しているがゆえに、きっと側にいたら愛せなくなるんじゃないか・・とか、きっと優しい人だから・・
いつも栄二さんの影を感じているのかなぁ・・なんて
瀬戸口さんの柔らかな温かい声が、伸太郎さんの人柄と溶け込んだような柔らかさを感じます。
伸太郎さんの最期のシーンで、人を呼ぼうとするけいさんの手を握って「こうしていよう」と
めっちゃ切なかったぁ(涙)
そんな素敵な瀬戸口さんは、アトリエの会『オトコとおとこ』以来・・・『オトコとおとこ』では
組合潰しの会社のいじめの標的にされる相川さん・・・いじめられてましたね、ネチネチと(笑)

この三人のこれからおくる人生の起点を作ったのは、伸太郎さんと栄二さんの母・しずさん(南一恵さん)
亡くなった夫の代わりに清国との貿易で財をなした会社を切盛りしている凄腕おかあさん。
どちらかというと学者肌で商売に向いていない長男・伸太郎さんを心配したしずさんは
快活なけいさんを伸太郎さんのお嫁さんして、家を守ろうとします。
けいさんの栄二さんに対する気持ちを知ってか知らぬか?けいさんを前にして、厳しい話をしますが
本来は、どこの誰ともわからない同じ誕生日のけいさんを家に迎えた優しいしずさん。
優しい物腰と凛とした佇まいの美しいしづさんでした。
南さんは、ファミリーステージ『若草物語』では、お金持ちの何か嫌味の一言を言わずにはいられない(笑)
マーチ叔母さんを腰を曲げて白髪で演じられていました。

しずさんの弟・章介さん(得丸伸二さん)は、お酒だーいすきの朗らかな好人物(笑)
ちょっとお茶目な面を持ちつつ、しずさんの仕事を助け、その仕事を引継いだけいさんを見守ります。
けいさんが栄二さんを好きだった事を知りながら誰にもいわず
ただただ変わっていく、けいさんの良き理解者で、それ以上の気持ちを持ちながらもその気持ちを
ひた隠したままでいる章介さん。終盤では、女心をぐっとさせる台詞をけいさんに伝えるのですが
その時のけいさんの心は、幾つもの壁に囲まれ・・さらっと流されちゃうんですよ。うっ辛い。
豪快で男気があって、かっこいい・・そんな章介さんの得丸さんは、
「女の一生誕生秘話『サイタ、サイタ、サクラガサイタ』」
という『女の一生』を書かれた森本薫さんと杉村春子さんの恋愛を絡めた芝居を作・演出されています。
2008年1月の旧・モリヤビルの最後のお別れの会で拝見されて頂きましたが、素敵な作品でした。

「だってぇ」「困ったわぁ~」が口癖の堤家・長女の総子さん(北村由里さん)。
ちょっと体をくねらせて女性らしさアピール!可愛いですねぇ~
けいさんと総子さんは、性格が正反対。
なので、私は、けいさんで緊張して総子さんで癒される・・・なーんて(笑)
何度目かのお見合いの末、登場されない猪瀬さんと結婚された総子さん。
総子さんのような奥様・・ちょっとめんどくさいかもしれませんが、やっぱ可愛い♪
声音も可愛かった北村さんは、『長崎ぶらぶら節』(うひゃひゃ★鵜山仁さんが演出ですよぉ)
では艶やかな芸者さんを魅せて下さいました。

将来は、ヨーロッパで歌の勉強を留学したいと夢を語る堤家の次女・ふみさん(三浦純子さん)
表情が豊かで、まんまるい目の先には夢見る世界が広がっている・・・そんな明るい少女でした。
けれど、現実はなかなかそうはいかず・・と、難しいですね人生は・・
ふみさんの伸びやかに歌うアーニーローリーの曲が、『女の一生』のテーマ曲のようなものですね。
パレードを待ちながら』(これも鵜山さんです★うっしっし)以来、お久しぶりの三浦さん★
『パレードを待ちながら』では、戦争に出兵中の夫を待つ教師、賢い女性イブを演じられておられました。

けいさんと伸太郎さんの間には、知栄さん(渋谷はるかさん)。
智栄さんの幼少期は、子役の方が演じられましたが、後半は、渋谷さん。
幼少時代、仕事が忙しい母親けいさんは、知栄さんになかなかかまってあげられなかったようで
大人になっても、いつも涙を溜めてるような眼差し、寂しい雰囲気が伝わってくる知栄さん。
警察に捕まった栄二さんを助けられないかと、けいさんに必死に訴えかける姿が
本当にけなげでした・・。そんな、渋谷さんは『崩れたバランス』では、空港でお父さんを待つ
スティファン君・・可愛い男の子でした。

始めは、お料理攻撃で総子さんにアプローチ(笑)その後、ふみさんには音楽でアプローチして
ふみさんの旦那さまになるのは野村清三さん(岸鎚隆至さん)。
大きな体を丸めて愛嬌たっぷりな清三さんでしたね。
最初は、ふみさんのタイプじゃなかったような清三さんでしたが・・・(笑)
後半、ふみさんの旦那さまになってからは、どっしりと構えた実業家のような落ち着きが出て
かっこよかったですね。
アトリエの会『日陰者に照る月』では、ステッドマン・ハーダーさん。
茶髪に7・3姿は、お金持ちのボンボン然(笑)ところがぼっこぼこにされてしまって可哀相な役でした

職人井上さん(林田一高さん)は、えらよっと(笑)イスを担いでご登場。
ちょうどお茶の時間で、羊羹をおいしそうに食べる姿がかっこよかったですねぇ
数字で書かれた物語』では“死なう団”の一人。「死のう、死のう」と言いながら死なない彼ら。
中でも林田さんの演じるメンバーは、ちょっといじられキャラでした(笑)

職人井上さんにお茶を出すのは、女中さんの清さん(鈴木亜希子さん)。
もんぺ姿で、にかっと笑う笑顔が可愛かったですね。羊羹を食べてる井上さんの姿を
じーーーっと見つめる姿も・・たまらない(笑)
場面は少なくても、ほのぼのとした雰囲気が印象深かったです。
そんなあっこちゃんは、ファミリーステージ『かぐや姫』で、現代の娘を演じていました。
彼女の為に読まれた「かぐや姫」のお話。元気でいまどきの女の子を生き生きと演じられましたね★

栄二さんを追ってきた刑事(山森大輔さん)、堤家の庭から窓越しに、じっと栄二さんの姿を
目で追ってましたね。おっかない目で(笑)
普段は、めちゃめちゃ好青年で、感謝祭の時は、ギャルサーダンスで、唯一壇上で踊っていた
面白い男子が山森さんです(笑)出番は一瞬だし、まだまだ若いですが
新国立劇場『オットーと呼ばれた日本人』の中国人のレストランボーイがすごく印象でした。
ぜひ、彼の名前を覚えておいて下さいね。
とっても楽しみな逸材だと思っています♪うふっ

3/1(月)~10日(水)  in 俳優座劇場

着々と準備をしてるモジョとミキボーさて今日は?
情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-03-20 20:56 | 文学座観劇感想
<< 俳優座プロデュースNo.83『... 『象』シアター・トーク「日本の... >>