Project Natter Vol.2『ピロクテーテス』

Project Natter Vol.2『ピロクテーテス』 in SPACE雑遊(3/6)

作   ハイナー・ミュラー
翻訳 若松宣子
演出 ペーター・ゲスナー

古代ギリシャの時代。
トロヤ戦争真っ只中。発端はスパルタの王ネネラオスの妻・ギリシャ諸国一の美女ヘレネを奪った
トロヤの王子パリスの恋慕と云われる伝説上の戦争です。
ヘレナ奪還の為、トロヤに攻め込む航海の途中、蛇に噛まれたピロクテーテス(山本亨さん)は
無人のレムノス島に置き去りにされてしまいます。
年月は過ぎ10年後。
強固な守りのトロヤ軍に対し、ギリシヤ軍の士気は落ちるばかり・・・
ある予言者が「ピロクテーテスを連れ戻せ」と託宣します。
そして、ピロクテーテスの元に赴くのは、亡きアキレウスの息子・若武者ネオプトレモス(扇田拓也さん)と
ピロクテーテスを置き去りにした張本人・・ギリシャ軍の軍師オデュッセウス(塩野谷正幸さん)。

ドイツの作家のハイナー・ミュラーさんの作品のギリシヤ悲劇。
去年、新国立劇場のシリーズ・同時代<海外編>で、ドイツの演劇に触れる機会があって
それ以来・・なんか惹かれちゃうんですよね。文学座のアトリエの会『崩れたバランス』も面白かったし
それにしても・・・いやぁ濃かった(笑)
新国立劇場『象』のシアタートークの終了後にやってきました、ここ新宿三丁目です★
ギリシャ悲劇好きなんですよ・・・でも苦手というか、まだまだ奥が深くって
苦手意識が強いから、尚の事・・惹かれちゃうのかもしれませんがね・・どーなんだろ?!

弓の名手で名を馳せたピロクテーテスでしたが、戦場の怪我じゃなく、足を蛇に噛まれ
その傷口が、段々腐り始め悪臭と痛みに唸る声がうるさいと、無人島に置いてきぼりをされる
という無情の仕打ちを受け、残された唯一の武器である矢で、獣や鳥を仕留め命を繋いでいました。
傷は癒える事無く10年間の屈辱やら同郷の仲間達への恨みつらみは募る一方・・
そんな彼を迎えに行くのは、その張本人の策士のオデュッセウスとネオプトレモス。
この二人の関係もピーンと張り詰めた糸のように微妙な間柄・・・ネオプトレモスのお父さんは
勇者アキレウス・・アキレス腱のあのアキレウス。
で、アキレウスの遺品である武具をオデュッセウスは自分のものにしていて、ネオプトレモスに
見せびらかしたり、若いだけに真っ直ぐな彼のプライドを傷つけるような言葉を浴びせるもんだから
オデュッセウスが背中を見せたら、すぐにも剣で刺し貫きそうなネオプトレモスの眼差し
そんな三人の丁々発止の言葉のやりとりを狭い空間の中で、ぎゅぎゅっとみせつけられ
いやぁ面白かったぁ~どろどろっすよ(笑)

ソポクレスが書いた本では、その死後ギリシヤの神となったヘラクレスの庇護を受け
ピロクテーテスは、足を治療して戦線に参加し、その弓で争いの元凶となったパリスを殺害するはず・・
が、びっくりのどんでん返しでピロクテーテスは、オデュッセウスを殺そうと弓を構えたその背中を
不意をつかれネオプトレモスの剣で殺されてしまいます。
そしてピロクテーテスの遺体は、オデュッセウスの策略でギリシヤ軍の士気を高める為に
利用される事になります・・

全く救いなく終わるお芝居ですが、どーんとした質量感、がちんこ勝負のようなどきどき感を
たっぷり味わって観終わった時は、ぐったりしました(笑)
それを見越してなのか?どうなのか?わからないのですが(笑)休憩時間が5分あって
その間、足は痛いし、唯一の武器である弓を取られ、みすぼらしい風情のピロクテーテスは
舞台の下手にちっちゃくしゃがみこんで、さすらって(笑)いるのに対し、
オデュッセウスとネオプトレモスを演じられたお二人の俳優は、
ピエロと死神のマスクをして箒とちりとり持参でコントやらゲームで
緊迫してる場の雰囲気をファジーにしてくれました。
お疲れなはずだろうに・・・すごいなぁ
「ところでピロクテーテスって誰?」
「サッカー選手だよ」
これには笑いました(笑)

そおいえば、オデュッセウスを演じられた塩野谷さんのおでこに傷があって、気になったのですが
芝居中、おでこをごんごんと床に叩きつけ、その傷口から血がたら~っと・・うっうっ
で、汗が伝わって・・めっちゃ怖かったです。


3/2(火)~3/7(日)まで  in SPACE雑遊

『ピロクテーテス』は3人のガチンコ芝居でしたが、もちろんモジョミキボーも、
二人の熱いバトルが魅れる事でしょうね★
情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-03-14 15:47 | 観劇感想