『ヘンリー六世』シアタートークその3

お稽古期間は、約2ヵ月半・・8月中旬、本読みからスタートされました。
「でも、ミュージカルはもっと長いんじゃない?!」と鵜山仁さん。
その質問に対して、主にミュージカルの場で活躍される浦井健治さんが
ミュージカルの稽古期間は、大体一ヶ月程だとおっしゃいました。あんまお芝居と変わらないんですね。
「もっともっと時間があったら・・って、もっともっとって意味がわからないんですけど(笑)」浦井さん
「なんか、いやしっぽい(笑)癒しの空気が流れる」と中井さん。
浦井さんの語る感じを「話しているとこういう・・(笑)」と鵜山さん。
なんか、ほのぼの~とした雰囲気ですね。
「ヘンリーって仏教ぽいなぁと思う」中井さん、ほぉ~面白いですね中井さんの感想は、
どんどん徳の高い僧みたいなイメージとおっしゃいます。
「だからマーガレットが、ああするしかなかった・・」浦井さんも続いて
で、中井さん「いらいらしませんか?」(笑)
「その日によって、色々見つけては、いじめたり怒ったりしてますけど・・」中嶋さん
「楽屋では、朋子さんはすごく優しい方で」BY浦井さんは、素でもヘンリーみたいです。
「とってつけたように(笑)」中嶋さん
「いやいや、いつ言おう言おうと(笑)」王様、王妃様良いコンビです(笑)

「マーガレットの心情が興味深い」と、中井さん。
サフォークとあれだけ通じ合って、生首を抱きしめたりするのに、ヘンリーと離れない・・と、
すると中嶋さんが、記憶を思い返すようにゆっくり話して下さったのですが、
どうしてもくっついて離れられない所が、ヘンリーとマーガレットの中にあるんじゃないか、と
それはマーガレットとサフォークの間にはなくて、王はマーガレットが好きだけれど
心情的に理解できない愛とか苦しみとか、にくしみとか悲しみとかがあって、色々な対立構造があって
これが人の生き死にの現場なんだろなと感じられるそうです。

さて、装置の話に変わって
入ってきて舞台装置がすごい!で、客席に入ってきたお客さまが、舞台美術に圧倒されて立ち止まる(笑)
「圧倒的な大きさ、色がなくて傾斜があって水場があるコンセプトは?」と
中井さんが鵜山さんに聞かれました。
「3部作で色んな状況を表現しなくちゃいけないので
ひとまず世界を、ミニチュアにしようという話があって
イギリスの庭園にしようと、池があって木があって、あまり綺麗でない水と木があって、
庭園みたいにして・・・
戦跡ツアーに行っても、それこそただのなだらかの丘ばっかりで、車窓からの眺めもそうでした」
「これはゴミの山でいきましょう!(「ここから色々な物が出てきて、刀とかびっくり!」と中井さん)
人間の記憶って、そもそもこういうもんだし、歴史っていうのも見方を変えればゴミの山みたいな
ものかもしれない・・かつては大事にしていたものが、今は無用のものになって、
その堆積が長いスパンで云うと、人の一生より長いサイクルでなにしろ三部ですから、
一部ごと長さで捉えるのも楽しみだし、役に立つものになるかもしれない。
本音が出てくるかもしれない。」
これだけ大きな舞台で、200~300席もの客席を潰したそうです。
「(舞台の奥)向こうからたくさんの人が現れて、消えてまた現れる。それだけでも胸が躍るし惹かれる」
と中井さん。ホントそうですね★
「ここで殺陣大変じゃないですか?」BY中井さん
「ただ立っているだけでも、腰に負担が掛かる」BY鵜山さん
「ご自分は立たないんですか?」BY中井さん
「だから忍んでいます。苦労を(笑)」うひゃうひゃ(笑)鵜山さん
お稽古場は2/3位の面積で、同じ基準のものを作ったそうです。
やれる事と、やれない事で手配こぼれが出てくるのは、良くあることで、
スポーツと同じで同じ条件・面積でやらないと意味にないものになってしまうことがあるそうです。
納得ですね。
ただ水場はこことか、書かれていたそうです。
とはいえ実際のセットとは全然違ったそうです。
稽古場でちゃんと作ってもらって傾斜に慣れるのはよかった。
大きさに慣れるのは大変で、しばらく舞台稽古が出来てよかった。
と、それぞれおっしゃってました。
稽古場では、ゴミ場はダンボールだったそうで
舞台稽古で、マーガレットが素足で行って「大丈夫かなぁ」と、見ていてひやひやしたとおっしゃる
浦井さん・・・優しい方ですね。

10日間ほど舞台稽古が出来たそうです。
「新国ってすごいなぁと、初めての新国、初めてのシェイクスピア、初めての鵜山さん(笑)」と浦井さん。
このセットを使いこなし、スケールの大きさ色々に絵をかえて、場所を変えていくのに一目でわかる。
王の椅子、衣装とか、歌舞伎みたいに、ぱっと見てわかる・・
あの衣装は狙いですか?と、中井さん。
「僕の思い込みかもしれないんですけど・・」と鵜山さん
「三部作で、一部は良い意味でイントロダクション。二部は色々葛藤があって
三部になると、ネジが外れて(笑)今までやってきた色使いや人間関係を、ひっくり返してバラバラに
なっちゃったりする。
観ている方もナチュラルハイみたいな感じになっちゃう。やってる方もそうで
もう何が入ってもいいよね(笑)“3”だから(笑)お互いに終結しながら作っていったと・・」

「お二人はずっと薄いグレーの衣装で?!」と、中井さん
「時代に取り残された・・色々なものが入ってくるのに変わらない。
時代をどんどん超えてやってくるのが三部で、まさに混沌」と中嶋さん
「王様は1着?2着?」
「いや、まめに着替えてる」と浦井さん
「鷹狩りのシーンは、ちょっとオシャレしてみたり、三部の森番のシーンは、ちょっと見かけをかえて
羽織ってみたり、ラストのリチャード(岡本健一さん)に殺されるシーンは、
ローブを脱いで覚悟を決めた感じで(笑)」

今回の(第二部)後半の農民一揆のような衣装、照明が面白い
「略奪だとか、世代が変わっちゃうとか、立川三貴さんの演じるジャック・ケードの台詞が落語みたいで
立川さんのせいでもあるんだけれど(笑)なんか庶民目線で、ミュージックホールみたいに
出来ないかなぁと」と、鵜山さんは考えられたそうです。
曲は、陽気な曲ではなくて南北戦争の時代の国語の歌みたいだそうです。
曲もバラバラで、“埴生の宿”ちょっとカケてあって“埴生の宿”の原曲はイングランド民謡。
原題は“ Home, Sweet Home” で、「楽しき我が家」という訳題にもなっています。
で、「自分の監獄を見てみたい」って、家を見てみたいって言うから“ Home, Sweet Home”に
してみた(笑)と、ちょっとテレながらの鵜山さん、うふふっお茶目さんですね♪
「音楽はかなり冒険されますよね」と中井さん。
「三部はもっとびっくり型が外れちゃったみたいになって、何でもありかなぁと
まぁ、ある意味衣装で手当てしたり小道具を出してみたり、ネタバレになるかもしれませんが
そこから音が出るようなものがあったり、キッチュになって、そういう感じでやっているんですけれども
観る方も色々こう連想があるから、どういう風に観て頂けたか?ちょっと不安でもあるんですが
なんかこう・・役者の演っているのを観て触発されるものが無いとつまらないんで
頭から決めてる節がない事もないんですが、それがそれキャッチボールしてどういう風に
変わっていくのかってあるし、ずいぶん迷惑掛けてるんですけど、プランががっちり合って
こうジグソーパズルみたいになる芝居をやっていればある意味楽なんでしょうが、
それじゃ面白くないんで・・思いつきもあったりするんですけど・・」
今日の鵜山さんは、雄弁ですね・・・ペンがなかなかついて行けず嬉しい悲鳴で~す!!
思いつき・・なんて、おっしゃいながらも、第一部の戴冠式の音楽や第二部の冒頭の結婚式
などは当時15世紀の音楽を使っておられたり史実に忠実な部分もあるそうです。

パイレーツ・カリビアンみたいな衣装が出てきて面白かったと、おっしゃる中井さんは
浦井さんに着てみたくありませんか?と聞くと
「ありませんね」とすっぱり(笑)答える浦井さん(笑)衣装より、この作品のサントラが欲しいとおっしゃり
楽屋で皆さん鼻歌で歌われてるそうで「サントゥス~♪」って(笑)怖いですね。ラテン語の歌ですよね。
クリスチャンの学校だったので、学生の時に似た感じの曲を歌わされましたっけ・・
戦闘の場面の曲でしたっけ?!確かにすごく耳に残ります。
サントラ盤いいですよね!わたしも欲しいです(笑)

唐突ですけど・・と、中井さん
「(中嶋さんに)着てみたい衣装とかってないですか?被り物とか?ジャンヌダルクとか?!」
「あの甲冑大変なんですよ!!あの甲冑を着て殺陣をするなんて信じられない!?
ソニンちゃんだから出来る!!」
そんなジャンヌダルクを演じられたソニンさんは、第二部では、霊媒師。第三部では皇太子と
色んな方が色んな役を演じられるのも見どころと、中井さん。
役は200名ほどあって、総勢38名で(お一人は三部だけにご出演の高校生の方がおられます)
演じられておられます。
ちょっワルな三兄弟(笑)(ヨークの息子達)の話になって、
今井朋彦さん扮するエドワードのもみあげ話が盛り上がりまして(笑)
中井さんが、「(もみあげ)いいんですか?」と鵜山さんにうかがうと
「(もみあげは)スタッフが面白がって、まずいですかね(笑)
僕が、もみあげを作るわけじゃなくて(笑)(トータルで)見せてもらって、イエスとかノーとか
言ってるだけですから(笑)」

ここから質問コーナーになりました。
質問コーナーをupすると、あともう数回必要なので、今回はここまで・・m(_ _)m
でも、どの質問も興味深く熱心に『ヘンリー六世』を拝見されて、その世界観に触発された言葉が
多く聞き応えある質疑応答でした。

最後に鵜山さんから
「新国立劇場じゃなきゃできない仕事って言う意味では、
いくつか自信を持って言える事があって、
ただ、新国立劇場を使って、今たまたま我々は仕事をしていますけれど
綺麗ごとじゃなくて、ここはみんなの劇場なので
いかにして皆様の鑑賞力によってこれから先、どんどん鍛えられるだろうし、変わってくるだろうし
ぜひ、将来に渡って皆様のお力を貸してもらいたい。
というか、みんなで楽しみましょうという事をお願いします。
我々は、せいぜいそれを利用しつつ(笑)頑張っていきたい」
今回は、色んなイベントがあって、新国通いましたぁ!
まさに“みんな”の!!そんな感じがありましたよね。色んな体験が出来て楽しかったです。
もうこの先、二度と体験する事が出来ないんじゃないかなぁと思うほどの濃密で贅沢な芝居の世界を
堪能させて頂く事ができました。
本当に最高に楽しかったです!!
もうねぇ~楽しいという言葉しか出てこないです。
ともあれ大分時間が経ってのUPですみませんでしたm(_ _)m

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by berurinrin | 2010-01-03 15:40 | イベント