文学座11.12月アトリエの会『崩れたバランス』

文学座11.12月アトリエの会『崩れたバランス』 in 文学座アトリエ(11/27)

作   ファルク・リヒター  
訳   新野守弘   
演出 中野志朗 

極寒のベルリン。今日はクリマスイブ・・・・。
道路が凍結し交通事故が多発し、死者の数は数知れず・・
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シュテファン(渋谷はるかさん)は、人気のない空港で母・ポーラ(目黒未奈さん)と
別れて暮す父・ヤン(松井工さん)が迎えに来るのを待っています。
病院では、息子・パウル(櫻井章喜さん)と連絡が取れない不安を抱えた老婦人(本山可久子さん)
パウルは、別れた彼(斉藤祐一さん)とよりを戻すべく説得中。
ガビ(片淵忍さん)は、恋人ラルス(椎原克知さん)とイブを過すもラルスの娘ミリアム(下池沙知さん)
のわがまま振りに怒り沸騰中。。。
外の気温は、どんどん下がり・・

いやいやいやいやぁ(笑)やっぱ中野さん・・絶対に何かやってくれると思いましたが
期待を裏切らない(笑)また、すごい作品を魅せて下さいました。
でもアトリエで上演するにふさわしい作品でもあると思いませんか?
今年は、仕掛け人の鵜山仁さん♪うきゃ★新国立劇場のシリーズ・同時代【海外編】の影響で
現代ドイツ演劇を、ちょっことさわり程度でしたが触れる機会に恵まれて
なんてまぁ、ひねくれた作家が多い事(笑)
「劇作家の夢は、上演不可能な戯曲を書くことだ」なーんて、シアタートークで伺った気もします。
私は、どちらかというと不条理よりもリアリズム、登場人物の関係性に自分自身を当てはめたりして
あーでもないこーでもないと勝手に感想を言ってしまうので、
当初は、作品に対して抵抗もあったし、理解できない悔しさにどう自分で決着をつけたらいいか
と、考え込んだ事もありましたが、
そもそも、ライブの芝居って単純に観客の感情に理解だけを求めているだけじゃなくって
それだけじゃなくって、人それぞれの自身の脳にダイレクトに
がつんときた視覚、言葉、時に匂いや音をキャッチして、感情に変換する作業が大事なんじゃないかなぁ
と、つくづく思うのです。

幾通りもの一コマの場面が、同時進行で行なわれ
それも彼らの繋がりの関係が全く違うわけでもなく、時に重なったり、かすったりと
観客を囲むように芝居が行なわれ、
対面式で自分の視覚から見えない彼らと、いったい観ている自分はどういうことになってるのかしら?
と、ちょっとズレた姿勢の私達、観客と
片思い同士の彼らの感情のズレが、なんとなーくしっくりとはまってきて、妙に楽しく浮かれ気分で
アトリエの空間のズレた空気感を堪能してきたわけです。

パズルをバラバラにしたような彼らの行動と感情の動きが、時に不可解に映る時もありますが
まぁ、そもそも人間ってそんなモンだよなぁ~なんて、相手の感情が自分の思う通りになる
なーんて、そんな上手い世界じゃないし・・
だったらこの世の中に私のような独り者は居ないだろうし・・・(涙)
って思えば、結婚や恋愛中のカップルなんて、奇跡のようなものかもしれない・・
そんな奇跡の出会いを経て、ペアになっても・・・やっぱ、それだけじゃない気がする。
親子でさえ・・・
なんか寂しい・・・
人間って孤独なんだなぁ・・どうしたら、この心のスキマを埋められるんだろう??

とはいえ、精神世界のお話ではなくて、視覚的にはショッキングなシーンや会話にびっくり!!
でも、素直なんです。彼らの言葉は、求める事を隠したりしない・・・。
なんか上手くいえないけど・・好き嫌いを言っちゃうと、はっきりしちゃう芝居かもしれませんが
また観たくなる作品でした。
まずは、観て感じた感情を大事にしたくなる・・・ピュアで素敵な作品です。


11/27(金)~12/13(日)まで  in  文学座アトリエ
by berurinrin | 2009-12-05 22:14 | 文学座観劇感想