新国立劇場『ヘンリー六世』三部作 第三部<薔薇戦争>

新国立劇場『ヘンリー六世』三部作 第三部<薔薇戦争> in 新国立劇場中劇場(10/31,11/19)

作   ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
演出 鵜山仁

第三部も第二部以上に文学座の方々が大活躍!!めまぐるしく変わる場面にテンションが
上がりながら、ここもそこもあそこにも!!と、文学座ファンとして彼らの様々な姿を拝見する事は
サイコーです!!

金内喜久夫さんは、ヨーク公渡辺徹さんの末っ子ラットランド(高橋郁哉さん)を
体を張ってその命を守ろうとする彼の師夫。
けれども無残にもラットランドとは。切り離されてしまいます。
ランカスター家が優勢となり、ヨーク公が惨殺され、その後、プランタジネット家が盛り返し
エドワード(今井朋彦さん)が、国王エドワード四世となりますが、戦況は変化し、王冠はヘンリー王へ。
危機回生を目論むプランタジネット家は、自らの領土に入るために、ヨーク市の城門を開くよう交渉します。
金内さんは、鍵の掛かったヨーク市の城壁の前で、赤と白のバラを頭に載せた市長(鈴木瑞穂さん)
と共にまんまとエドワードの言葉に従ってしまう市会議員を演じられました。

渡辺徹さんは、ヨーク公。
第三部では、ランカスター家に捕らわれ、マーガレット(中嶋朋子さん)とクリフォード卿浅野雅博さんにより壮絶な最後を遂げてしまいます。
鎖に縛られ、その頭には紙の王冠を載せられ、愛息ラットランドの血に染まったハンカチを渡され・・と
第三部は、何度となく胸詰まるシーンがあったのですが、その中でもヨーク公の最後の祈りの言葉は
マーガレットに対する恨みつらみというか、呪いというか、暴言がまぜこぜになっているにもかかわらず
心にぐさっと刺さります。それは、殺された幼い息子ラットランドや家族に対する情愛が言葉の
端々にひしひしと伝わってきたからなんだと思います。
最後の最後まで、舞台上手に吊られたヨーク公の首・・・常に存在感ありました。

ヨーク公の長男・エドワード。即位してエドワード4世になるのは、今井朋彦さん。
「女ったらしのエドワード」(笑)。モミアゲが第二部より短くナチュラルになってました(爆)
しなやかな獣・・と、表現したらよいのか・・・エリザベス・グレー夫人(那須佐代子さん)に迫る動きが
これまた美しくて、あの目つき、あの手の動きってば(笑)色気があって素敵でしたね。
ヘンリー六世(浦井健治さん)の嫡男・エドワード皇太子(ソニン)を殺害するシーンの今井さんは、
まさに敵に容赦なし・・・と、ホントにすごかったですね。

すごかったのは、浅野雅博さんのクリフォード卿!!
浅野さんの新たな一面を魅れた事が、何よりの発見でした。
やわらかい優しい2枚目の浅野さんが、めらめらと父の復讐に燃えて、幼いラットランドを
嬲り殺したり、ヨーク公の胸詰まる最後の言葉に薄ら笑みを浮かべ、復讐の時を待ち望む姿・・
すげーすげー
降りしきる雪の背景をバックに、リチャード(岡本健一さん)との対決シーンは、美しかったし
首に矢が刺さり、絶命した後にヨーク公の息子達にいたぶられるシーンは、辛い(><)
リチャードに耳を齧られちゃいましたしね・・ぐっ、あ~痛かった。
今回、浅野さんにフォーリンラブした方がたくさんおられるのでは★★うふふっ

クリフォード卿と共にマーガレットに付き従いランカスター家方で戦う
ノーサンバランド伯は石橋徹郎さん。
クリフォード卿とは対照的なタイプでしたね。敵とはいえ、ヨーク伯の言葉に涙をこぼし
その言葉に、ホロリとしてしまいました。

白バラのプランタジネット家に味方しているのは、メガネを掛けたヘースティングズ卿の城全能成さん。
捕らわれたエドワードのいる狩場にリチャードと共に救出に向かいましたね。
最後の決戦の場面、シャドーボクシングのように見えない相手と遮二無二に戦う敵味方入り乱れての
戦いのシーン、城全さんの叫び声と共に静かな静寂に包まれました。

川辺邦弘さんは、援軍を求めにフランスに渡り国王に謁見しているマーガレットとニアミスの
ウォリック伯(上杉祥三さん)の二人に手紙を届ける急使や要の使者を演じられておられました。
のこり2日・・というところで怪我をされた川辺さんでしたが、最後まで微塵も感じさせず
舞台に立たれたそうです。本当にお疲れさまでした。大事になさって下さいね。

最後までヘンリー王(浦井健治さん)の元に付き添うのは、エクセター公の松角洋平さん。
(BBSのDVD『ヘンリー六世』のエクセター公はおじいちゃんだったでした)
ヨーク公の方が、正統な王だと思いながらも、ヘンリー王に付き添う姿は
ぎらぎらした権力争いの中に身を置く貴族達とは、ちょっと異なる人物のようでした。
息子エドワード皇太子を目の前で殺された母マーガレットの悲劇の場面では
兵士として舞台に立っていた松角くん。
中嶋朋子さんの魂の演技を前に
号泣しちゃったと「ほたるぅ~(泣)」と田中●衛さんの真似をしてくれました(似てねぇ~(笑))

はぁ~終わっちゃいましたね(ため息)
鵜山さんの芸術監督としての最後の演出作品『ヘンリー六世』でした。
鵜山さんの追っかけとしては、肩書き関係なく、これからも鵜山さんの演出作品を観ていられることが
とっても大事で大切な事なのです。
とはいえ結果、通しx2回、各公演x1と計9回とヘンリーの世界に浸ることができました。が、
まだ観たい~!!ホントにホントに楽しかった。
ヘンリーに携わった皆様に感謝感謝です。ありがとうございました!!!!
来年もアクティブに色んなことにチャレンジされる鵜山さんに置いてきぼりをされないように
♪ヒッツキモッツキ♪あらあ~らくっいた♪(笑)学んで楽しんで浮かれていこっと(笑)うひゃひゃ

さて今週末は鵜山さん演出作品『不思議な国のアリス』(東京室内歌劇場)です!
頭を切り替えて久々のオペラ!楽しみっ(^_-)-☆
by berurinrin | 2009-11-26 23:11 | 観劇感想