劇団1980・新宿梁山泊合同企画公演『宇田川心中』

劇団1980・新宿梁山泊合同企画公演『宇田川心中』 in 
                         青山公園南地区広場特設テント(11/13)

原作・脚本 小林恭二
演出     金守珍

渋谷のスクランブル交差点。
ふとすれ違った男女は、何かを感じて互いの姿を見て立ち止まります。それは・・・昔。
150年前のある日、「宇田川小町」と呼ばれる美しい小間物屋の娘はつ(今村美乃さん)は、
芝居小屋の前で女装した青年・桜丸(亀田佳明さん)と出会います。
同じ頃、はつは渋谷・宇田川で道玄寺の学僧・昭円の(松田洋治さん)と出会い
二人は、急速に恋に落ちていきます。
逢瀬の約束・・昭円を待っているはつの姿を見かけた桜丸は、はつを誘拐し
桜丸の恋人の栄三郎(桜川一歩さん)の元に連れて行き、はつを上方に連れて売ろうと計画します。

初のテント、初の新宿梁山泊、初の劇団1980・・初めて尽くしの舞台でした。
インドア人間なので、野外は苦手でアングラもまだまだよくわからなし・・
誘ってくださった亀田さんを通じて何か心の出会いがあればいいなぁ・・と思いつつも
青山墓地近くで、夜のみの公演、それも13日の金曜日(笑)ジェイソンが現れたらどーする?!
さすがに一人で拝見する勇気がなかったのですが、
わたしと違って器の大きいf(^_^;)いつも優しい演鑑の先輩が、ご一緒して下さいました。
ありがとうございます。

この原作の脚本すべて上演すると5時間はゆうに掛かるとか・・・
大胆カットとはいえ休憩2回で3時間超えの大作。
物語は、はつ、桜丸、昭円の三人が、非情な運命の流れに飲み込まれていくお話ですが
この三人を軸に、いつくか複線が張り巡らされたドラマが複雑に絡み合っていきます。

舞台と客席の間には、水場があって・・この日は、大雨(笑)
雨音がBGMです♪水場のすぐ近くの席には、透明のビニールが用意されてありまして
「水が掛かりそうになったら、こうやってこうやって」と説明を受けつつ、自分の身は自分で守ろう!(笑)
でもこんなに客席に近いんだから、そんなむちゃな使用はしないだろう・・なーんて、軽く考えていた私。
これがバシャーン、ドボーンとわおっすごい!!
映像をふんだんに取り入れて、スペクタクルでスピーディーな展開
ちょっと登場人物が、多過ぎて、複雑に絡み合っているので、一瞬でもさらっと流してしまうと
本筋がぼやけそうになったりしちゃうので、神経使いまくりでヘトヘトになりました。
劇中劇のコロスたちの歌が長いかなぁ・・と、思いましたが
狭いテントの空間で、役者たちの熱気を感じながら観る舞台・・・
内容は、う~ん、えぐいっ(笑)すごい迫力だし面白かったです。

愛とは、再び会う約束。
現世では、愛し合う事が叶わなかったはつと昭円は、いつか巡り会い愛し合える日を
確信して死を選びます。
そしてもう一組の愛の形。
前世では叶わなかった二人の男女の魂が、桜丸と栄三郎として出会い固く結ばれていました。
運命の強さを感じます。
重なった二人の遺体のバックには、150年後の渋谷の映像。
互いを知らない男女が出会い・・・二つの魂が重なる瞬間の映像と重なります。
笑顔を交わす二人の未来が幸せなものでありますように・・

文学座からは、亀田佳明さんご出演でした。
最初から最後まで女形のメイク、ホントに綺麗で妖艶でした~★
首をかしげるポーズが、ちょっと悔しい程めちゃめちゃ色っぽ~い!声音も使い分けて・・もうヤバいです。
でも色っぽさだけじゃなくって、アクションも炸裂!でもそれだけじゃない。
桜丸の心の葛藤が、その眼差し、その手の震え、背中や吐息から細い湯気のように
ゆるゆると伝わってきます。
はつと昭円よりも、初めてはつと桜丸が出会った瞬間の桜丸の表情の印象が強烈に伝わっただけに
はつと昭円の恋の行方が希薄な感じがなくもなかったんですが
それだけ亀田さんの桜丸が絶品でした!!
終盤に桜丸とはつと昭円・・生き別れた血の繋がった兄妹であったことがわかり、
愛し合う二人はつと昭円が、輪廻転生を願い自害していく様を、
かっと目を開いて微動だにぜず見届ける兄・桜丸の哀れな姿。。。心がぎゅっとしました。
で、栄三郎に寄り添う女性らしい可愛い桜丸の姿。
いやぁ~亀田さんのすごい一面を観てしまいましたっ!!

11/7(土)~22(日)まで in 青山公園南地区広場特設テント

あっ、完全版・戯曲本『宇田川心中』岩波書店(定価2,000円)には、
亀田さんほかメインキャストのインタビューや稽古場写真、上演記録が記載されています
by berurinrin | 2009-11-23 00:17 | 観劇感想