新国立劇場『ヘンリー六世』第一部<百年戦争>その一

新国立劇場『ヘンリー六世』三部作 第一部<百年戦争> in 新国立劇場中劇場(10/27、31)

作   ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
演出 鵜山仁

偉大なる王・ヘンリー五世の葬儀が行なわれています。
けれども今は、フランスとの戦争の真っ只中。
貴族達は対立しながらも自らやるべきことをしようと動き始めます。
フランスでは、オルレアンの私生児(城全能成さん)が乙女ジャンヌ(ソニンさん)を
シャルル皇太子(木下浩之さん)に引き合わせています。

はじまりましたね★『ヘンリー六世』!!
第一部は、すでに初日を拝見しましたが、
約9時間3作品連続上演、休憩を挟むと約11時間という、ハロウィンだしお祭りのようなこの日
この記念の公演に参加してきました。

暗闇の中、中央にぽつんと置かれた玉座がパタンと倒れ、ベットフォード公(金内喜久夫さん)の
亡きヘンリー五世への追悼の嘆きの声から長い長い怒涛のドラマが始まりました。
イギリス貴族達は、皆、元を辿れば王家の血の流れを組んでいる人たち。血縁者達。
なので、ちょっとした野心をもって、ひょうたんから駒でもないのですが、王座を狙う気持ちを持っても
なんら不思議な話ではなく、となると貴族達は、それぞれ足の引っ張り合いをし、
権力を握る者が現れれば、嫉妬や妬みが沸き起こる・・自然の道理なのかもしれません。
そして彼らから彼らの子に伝わっていく血に染まる激しい戦いの連鎖の幕が上がります。

舞台装置すごいですよね!雨が降ったり
初日では、全てに圧倒されてしまって気がつかなかったのですが
本水を使った池やごみ山、急勾配の舞台装置以外に愕然としたのは
舞台の床が、墓石の様相をしていた事
彼らは、彼らの墓石の上で、生まれて、生きて殺戮を重ねて死んでいくのです。
そこには、フランス軍もイギリス軍も関係なくて
ただただ沢山の数え切れない墓石の枠があるだけ・・・いやはや激しい時代です。

夏の真っ只中『ヘンリー六世』の戯曲を読み始めた頃、だんだん面白くて
2部、3部は、早く先を急いでページをめくるのに気が焦っちゃって
いやいやもっと大切に読まなきゃいけないと、何度も読み返しちゃったりして、そんな時に
鵜山さんに「『ヘンリー六世』の戯曲面白いですね」と言ったら
「でしょう!!」と、ちょっと得意気な笑顔でおっしゃってましたっけ・・うふふ

あれから2ヵ月半もの長い時間を掛けて練り上げられて作られた作品。
一つ一つの場面が、生臭いストーリーの本流と相反するように細やかで美しいのです。
前の場面で水で濡れた柱のセットが上に吊られ、滴る水が池に落ちて広がる波紋の美しさ
音楽も効果音も最低限で、言葉が時に音楽のように降り注ぐ・・・。
両国の国旗が描かれたビニールシートによって奏でる音が、時に群集の声や兵士達のざわめき
嵐の音にも聞こえてきます。
もうね、鵜山さんの舞台は最高です!!
二部に続く終幕、サマセット公(村井国夫さん)の野心を語るモノローグの後ろに、
真っ直ぐに背を伸ばして佇む未来の王妃マーガレット(中嶋朋子さん)の美しさに鳥肌が立ちました

10/27(火)~11/23(火・祝)まで in 新国立劇場中劇場
by berurinrin | 2009-11-01 17:25 | 観劇感想