巣林舎第7回公演『平家女護島(へいけにょうごのしま)』

巣林舎第7回公演・紀伊國屋書店提携公演
『平家女護島(へいけにょうごのしま)』 in 紀伊國屋ホール(9/12)

作        近松門左衛門
企画・監修  鳥越文藏 
脚色・演出  鈴木正光

平清盛(櫻井章喜さん)を中心に平家が、この都の絶頂期を迎えようとしています。
本拠地、六波羅では、清盛の妻・時子(金沢映子さん)を中心に女達が集い、当時の習いのように
政治経済を動かしていました。
そんな女性たちの集う席上に、突然現れた平重衡(森屋正太郎さん)。
彼は、東大寺に火を放ち、常盤御前(藤崎あかねさん)に向けて
夫である亡き源義朝氏の墓を暴き、取り出したドクロを投げつけます。
無慈悲な振る舞いを庇ったのは東屋(真行寺君枝さん)、そこへ清盛氏が現れ
常盤御前が愛おしそうに抱きしめていた義朝氏のドクロを奪い取り、口でバリバリと噛み砕きます。

年に一度の巣林舎です。
毎回ダイナミックでスケールの大きなお芝居を魅せて下さいます。
近松門左衛門の作品、それも現代ではなかなかお目に掛かることの出来ない
どちらかといえばマイナーな作品を紹介して下さるのですが、今まで全くの外れなし・・
今更ながらですが、近松さんというお方の偉大さを感じてしまいます。
と、でも今回のこの作品は、かなりメジャーな作品で、歌舞伎を観ないわたしでも『俊寛』の
悲劇は、見知てるし・・そんな作品をあえて上演された演出家の力の入れようが、うかがい知れる
そんな山盛り沢山の迫力ある舞台となって目の前に現れました。

櫻井章喜さんは、男盛りのワイルドな清盛を迫力満点!すごいの一言です。
平家に敗れた源義朝の妻だった常盤御前は、子供たち(後の源頼経や義経)の命を守る為に
自ら敵方の清盛の保護を受ける身となっています。
けれどもいつしか源氏の再興に望みを掛ける常盤御前は、水面下で活動しており平家謀反の
協力を東屋の夫である俊寛(若松泰弘さん)に頼みます。
そんな野望を持つ常盤御前を演じたのは、藤崎あかねさん。
アトリエの会『結婚』では、大人の洗練された女性と子悪魔的な魅力を併せ持つモモコさんを
体当たりで演じておられましたが、今回は、夫の仇の下で子供を守りながら
復讐の時を待つ・・・気丈に凛として演じておられました。
また、そんな愛人達に囲まれながら正妻として周り女性たちを束ねる時子を金沢映子さん。
胸を張ってどんと構えてる姿が女性なのに男前(笑)かっこよかったです。

そして風に吹かれて飛んでゆきそうなか弱い東屋の夫は、俊寛役の若松泰弘さん。
常盤御前の直々の頼みを聞き入れましたが、すぐに平家に露見され
捕まって拷問の末に、鬼界が島へと島流しとなります。
東屋は、夫の命乞いの為に常盤御前と共に清盛に面会しますが
清盛は「常盤御前のように、自分の妾になれば・・」と答えます。
妾になるか自害を選ぶか?東屋は、常盤御前のようにはならないと決意します。
その姿に同情するのは、清盛の弟・経盛(岡本正巳さん)。
経盛は、夫の為に清盛の厚意を受け入れるように一度は説得しますが、東屋は受け入れません。
最後に俊寛と2人だけで話す時間(それも傷だらけの夫を縄で縛る短い時間)を持った東屋は、
目の前の小川が、赤く色が付いたらすべて上手くいき、必ず夫の帰りを待っているので
いつか出会える日が来る事を信じて旅立って欲しいと、俊寛に告げます。
そして、俊寛は、小川の赤い印を確認して旅立っていきます。
しかし、その赤い印は、経盛の情けにすがって自害した東屋の流した血の色でした。
数年後、中宮平産の為に、鬼界が島への赦免状が届き、俊寛を含む三人の出立が決まりますが
そのうちの一人、丹波少将成経は島の娘と結婚したばかり人数は四名。
けれども、都に戻れるのは三名のみ・・妻に会える事を信じていた俊寛は、
妻の死を聞いて、その絶望感で島に残る事を決意します。
若松さんの喜怒哀楽の全てが、俊寛に詰まっているようで、人のよさそうな俊寛が
翻弄されて絶望し転落していく人生の過程が胸につまります。
俊寛の叫びは、地の底からゆれるように響き渡ります・・・辛い
でもぼろを纏っても若松さんは絵になります。
清盛の弟を演じられる経盛役の岡本正巳さんは、とっても人間味ある温かい人物。
ですが、それがドラマの後半に仇になってしまう事もあります。
ちょっと、話が戻って、俊寛が捕まったのは、間者からの報告でした。
それは、時子の弟・平時忠(細貝光司さん)が、俊寛の娘から聞き出したことでした。
妻も愛人も持ちながら俊寛の娘にも手を出して、東屋を口説いちゃう(笑)きゃーと
このぉ~!!と、指でつっきたくなっちゃう(笑)色男は、超二枚目の細貝さん!
そんな役どころをさらりと演じちゃって・・嫌味がないのは、やっぱかっこいいからですね★

さて、常盤御前の住まう民家の近くでは、男性が姿を消すという不思議な噂があるそうで
そんな噂を聞いた経盛は、以前は源氏方であった宗清(沢田冬樹さん)に
事の真意を突き止めるように命じます。
すると早速、宗清は、妻の糸女(館形祐子さん)に離縁状を渡します。
平氏と源氏両方に恩義のある宗清は、そうするしかなかったのです。
宗清は、常盤御前が息子の牛若丸(萩間秀作さん)に挙兵させるため、男たちを品定めして
いた事を知ります。そして2人を逃すために、自分を斬るように進言しますが
常盤御前は聞き入れません。すると、影から宗清を槍で突く者が・・宗清の娘・松枝(吉村彩さん)です。
常盤御前は、お腹に清盛の子供を身ごもった事を告白し、その場で自害し果てます。
そして、松枝は牛若丸と共に出て行きます。
傷を負った宗清が家に戻ると、糸女が生まれたばかりの男の子を抱え
宗清に、子供を託すと倒れこみます。糸女はすでに、陰腹を切っていたのでした。

この人こそ、穏やかな人生がその先に唯一みえたはずが
一瞬のうちに全て奪われ、時代に巻き込まれてしまう宗清。哀れな生き様を沢田さんが演じると
どんな状況でも、それでも爽やかな男気を感じてしまう・・素敵で重厚な場面でした。

源頼朝が挙兵し。その前後に清盛が倒れ、源平合戦になだれ込んでいきます。
舞台は、牛若丸が元服し義経となった姿のシルエットで終わりを迎えます。

文学座の座員が7名と適材適所に配置されています。
それにしても文学座の俳優達は改めて美男美女ばかり・・本当に皆さん素敵な方ばかり★
ご紹介を・・と、Upしたらこんなに長くなって(笑)
でも許してくださいね。やっぱ素敵な人ばかりなんですもん~☆彡
そして生の和太鼓と篠笛の音色に心拍数をUPさせながら、見ごたえたっぷりの痛快な作品です。
来年は、9/1~5『傾城島原蛙合戦(けいせいしまばらかえるがっせん)』だそうです。
まったく皆目検討もつかない題名ですが、きっとまたドキドキするような作品に
出会えることだと思います。
楽しみですね!

9/9(水)~13(日) in 紀伊國屋ホール
by berurinrin | 2009-09-23 17:39 | 観劇感想