こまつ座第88回公演『兄おとうと』

こまつ座第88回公演『兄おとうと』 in 紀伊國屋サザンシアター(7/31、8/16)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 石井強司

生涯のうちで5回しか枕を並べて寝たことがない、兄の吉野作造さん(辻萬長さん)と
おとうとの吉野信次さん(大鷹明良さん)の生涯の物語。
父が、借金の返済にと貧しい人達から田畑を奪っていく姿を見て育ち、
贖罪の念から彼ら貧しい人達の立場に立って発言する作造さん。
その姿が時に時代を反して過激だと、右翼からは命を狙われ、
社会から反発の矢面になって身の安全も脅かされる兄とその家族。
その後の父の景気が傾いた姿を見て育ち、出世して社会を動かす側に立場に
身を置いて政治の世界に生きる弟・信次さん。
この兄弟を支える妻たちは、仲の良い実の姉妹。
時は大正。お互い気遣いながらも、会えばついつい喧嘩ばかりの二人、兄おとうと。

再々演のスタートは1月の八王子・いちょうホールでした。
あれから半年・・・東京公演の初日、千秋楽と拝見させて頂きました。
この作品を観るたびに、なんで自分の中の悩める事柄を思い出すんだろう?と
ずっと考えていました。
で、思い当たったのは「なぜ?」「なぁぜ?」という『兄おとうと』のなかの一つのキーワード。
作造さんと信次さんの財布と銀時計をうっかり盗んでしまった千代さん(土居裕子さん)の
勉強したくても出来ないのはなぜ?自分達が作った甘露煮を弟達が食べられないのはなぜ?と
千代さんの苦しい思いを二人に問いかけます。
その問いに答えられない弟に対して、「国家の官僚ならば答える義務がある」という兄の言葉。
ほかにも沢山の疑問というか問いかけが詰まったこの作品は
常に自分に疑問を持って生きていくことの大切さを改めて考えさせられます。
ホント人間って、悩みは尽きないモンですね・・はぁ(ため息)
でも、自分の悩みを掘り起こす気にさせられながら
シビアな辛い終幕のラストをしらされながらも
なぜか、観終わって心に残るのは、楽しさなんですよ。
やっぱまた観たくなっちゃう(*^_^*) 大好きなんだもん。

文学座からは、弟の信次さんの妻・君江さんを演じられた高橋礼恵さん。
1月に拝見した時以上に兄・作蔵さんの妻・勝江さん(剣幸さん)との姉妹の相性がばっちり★
凛としたお二人の姿の美しい佇まいもそうですが、二人の交差する眼差しとか、細やかな動作とか
まさに姉妹にしか見えませんでした。
礼恵さんの歌声、とっても可愛かったですよね(*^_^*)

初日に拝見した時、文学座のイケメン演出家(笑)上村聡史さんみっけ★
上村さんは、最近では新国立劇場『鵺』で演出助手をされていたのでした。
今年の冬には、一年間ロンドンに留学されてしまう上村さん・・寂しいですねぇ・・・
以前お会いした時「もし戻ってきて仕事がなかったら、自衛隊に入る!」と、
もの凄い意気込みを語っておられました(笑)
今は留学準備でTOEICを改めて勉強中だそうですが(やっぱもろもろの書類は英語なんで)
なかなか役者の方と違って、演出の方と触れる機会は少ないと思いますが
文学座の演出の方ってスタッフの方もそうですが、面白くてお茶目な方ばっかり(笑)
日々の中で楽しむ事を見つける才能がある方々が多いんだと思います。

と、鵜山さんがロビーに現れるのを待っている間に、『東京原子核クラブ』でお世話になった
俳優座の小飯塚貴世江さんにばったり、実は以前の鑑賞会の公演『黄金色の夕暮』で
不肖ながら担当をさせて頂いてご縁があったのでした。
小飯塚さんの魅力は、なんていったって特徴ある声!とってもキュートで可愛い女優さんです。
そんなこんなで、ロビーで行なわれた初日乾杯まで参加させて頂きましてf(^_^;)
おかげで鵜山さんのスピーチを拝聴できたのが嬉しかったっす。
観客代表で、ユニークな小田島雄志さんのオシャレなご挨拶も素敵だったしぃ
面白かったのは、今回の東京公演の稽古期間が2週間だったそうで
制作の方が「日程3週間取りますか?」と聞いたところ、
鵜山さんが「2週間で大丈夫」との事だったんですが
実際には、新たな掘り下げや色々発見があったりして、大変な稽古期間だったそうです。
そんなお話の後に、井上ひさしさんがご挨拶
「今、執筆中なのですが・・」とおっしゃってから
「2週間の稽古期間で、これほどのものが出来上がるなら、多少、執筆が遅れても(笑)・・・」
その言葉に制作の方と鵜山さんが「いや、いや、いやぁ・・」と口と身振りでのリアクション(爆)
瞬時に反応されたお二人に大爆笑の会場でした(笑)
うきゃきゃ面白かったぁ~

7/31(金)~8/16(日) in 紀伊國屋サザンシアター
by berurinrin | 2009-08-26 22:38 | 観劇感想
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