6月アトリエの会『結婚』アフタートーク

6月アトリエの会『結婚』を拝見したこの日の終演後に
出演者全員と演出の高瀬久男さん、作家の松田正隆さんがご参加でのアフタートークが行われました。
今回もメモメモ状態・・・でも、久々のアトリエのアフタートークで
舞台が近いので・・メモメモ、ちょっと恥かしかったですf(^_^;)
まぁ、ま、さくっとさくっと楽しんで頂けたら嬉しいです。

始めにご出演者の方々が、役名と簡単な自己紹介をして下さいました。
司会進行は、高瀬さんです。

今年は、実験というか演劇の可能性を探る・・というテーマがあったそうです。
1999年『花のかたち』、2002年『沈黙と光』に続いてのアトリエでは、3回目となる松田作品。
当初は、長崎の言葉を使って、裏から見えてくる日常では窺うことの出来ない人間の心の姿を
映し出していた、そんな手触りの優しいタッチが多かったようですが
だんだん松田さんの中でも作風に変化が現れて、特に劇団を結成して作.演出をされるようになってから
演劇の可能性を探る作品に変わりつつあるのではないか?!と、
はかりしれない世界にとても苦労したと、おっしゃいました。
きっと、観客も理解と感動を伴う作品を期待したはず・・そんな、理解を外す作品と
予定調和を外されたような稽古であったと、おっしゃる言葉に、稽古場での格闘が、浮かぶようです・・。

演劇の可能性ということを踏まえた上で、松田さんが語って下さいました。
目を瞑って、一言一言じっくりと腕を組んで考えながら語る松田さん。
そんな松田さんに、高瀬さんがマイクを渡そうとされたら
松田さんが「そんな、マイクで言うような事じゃなくって・・」とおっしゃって、面白い方だなぁと(笑)
この話がきた時、「結婚」についてトラウマを持っていた・・そうで、まぁご自身はご結婚されて
おられるそうですが、ずっと書いてみたい題材だったそうです。
三角関係で、花婿と恋人が殺し合う・・そんな構想もあったようです。
う~、えぐい(笑)
「結婚」って、なんだろう・・・他人同士が一緒になって、ずっと続いて、時に父と母に変化する。
「結婚」によって、周りを取り巻く環境の変化と共に、人格も変わっていくだろうし
男女の結び合うことを公然として許し合う・・みんな、ある意味おぞましい=演劇的。
また、一人の女性が花嫁になる構造が、魅力的だとおっしゃいました。

男女の結婚を介在して、5人の男女の過去の時間が押し寄せてくる。
それは、例えば結婚式の祝辞で、自分の体験とか過去の話を持ち出したり
出席者が、自分の過去(結婚のシーン)を思い出したり
まるで結婚式という場が、時間と結婚する・・・結婚式。
それが、夏なのにストーブがあったり・・

「それぞれ、彼らにも動機があるはずなのに・・時間軸がゆがむというか、時間が切り取られた
感じの作品で、稽古場でも悪戦苦闘していた」と高瀬さん。
出演者の方々もお話して下さいました。

寺田路恵さん
「作者を目の前にして何でございますが(笑)
脳の血管が切れるんじゃないかと・・・冒頭の最初の台詞10行を覚えるのが、大変(笑)」
「毎日、雲の上を歩いているような・・つかみどころがない。こうすればいいという実感が持てない。」
「生まれた時から、社会とか親の考えとか入れられて育てられて作れたものを、全て取り払われた感覚。
不安と面白さ・・不安から何が出来るか?楽しんでいきたい」

関輝雄さん
「手足をもがれましたが(笑)とても楽しい一月の稽古だった」
公演中でも、台本が手放せない。と、おっしゃる関さんでしたが、お客さんに(この作品が)どう伝わるのか?
どう届いているのか?短くてすみません(笑)とおっしゃいながらも興味津々のようでした。

高橋克明さん
「松田さんとは10年前の『花のかたち』、『沈黙の光』にも出して頂きました」
「いつも台本遅いですよね~(ぶちぶち・・この言い方が、最高に可笑しくて)そればっかり気になる
長崎弁だったりとか、隠れキリシタンであったりとか、ある演じ手の拠り所みたいなものが
過去の2作品には確実にあったような気がしたんですけど、(今回は)まっ平じゃないですか・・
拠り所が何も無いところでやる恐怖感というか、それもイコール俳優の充足感だと思うのですが
それが、ないまぜになって今回成立している・・か?どうかわからないのですが・・
ただ、材料が無い分すごく解ったというお客さんも結構いらした。そんな肌感覚みたいなのがある。」
「でも・・・・台本、遅いからなぁ(爆)いつも(笑)」

林田一高さん
「先輩方が言ったように、毎日が初日の心境です。
二度観られた方いらっしゃいますか・・あ、いない(笑)毎日なんか違うので、こんなに変わる
空気感というか、変わる芝居もないなぁ」
林田さんも『花のかたち』『沈黙と光』に続いてアトリエでは3回目の松田作品にご出演です。
そんな林田さんが、お話されている時に、克明さんが
「絶対、(稽古)初日に台本なかったよな」
すると林田さんが「今、僕がしゃべってますからっ(爆)」「はい」by克明さん(笑)
と、何事もなかったように、林田さんが言葉を続けます。
「あの・・こうまで作品的に変わる作品というか、10年でこうまで人が変わるのか(笑)って感じです
松田さんの文章は、パズルのようです。ひとつひとつに力があって、ぐさっとくる。
体を全部使って体現する稽古だった気がします。幸せな現場でした・・ただ、やっぱりしんどいです(笑)
先輩後輩とモノを作れた幸福であと半分頑張っていきたい」
「チケットまだあるようなので、ぜひ」と、林田さんの言葉を繋いだの方は!(* ̄m ̄)プッ
「もう一回観たらよく解るかも・・もう一回観てもっと解らなくなるかも(笑)」克明さん(笑)

藤崎あかねさん
「芝居って何だろうって、毎日考えながら過ごしています。
いろんな人がいて、いろんな人生があるなぁ~自分を問われているよう・・・
生きていくのは、大変。。。稽古は楽しかったんですけど苦しかったし・・」
この作品に対して、演じる方も言葉にするのは、たやすいことではないようです。
そんなあかねさんも「何言ってんの?」と、突っ込みをするのは
もちろん、克明さん(爆)でした。
そんな克明さんの言葉に「がんばりたい!がんばって生きて生きたいです!」う~ん、可愛いですね。

と、高瀬さんが
「(あかねちゃんが)一番若いんですけど、役柄とか色々と考えて根拠の前にしゃべってみろと
難しいと、皆んな言ってますが、ストーリー性がある作品や、時間軸をずらした作品に
作風をあえて選んだ理由はありますか?」

松田さん
書く自分と書こうとしている自分・・
自分の中のイメージを、日本語にして書くこと自体、翻訳者ではないかなと?
主体的に書こうとしている事の前のイメージ(書こうとする前の段階)を反映させなきゃいけない。
演技者は、テキストにももっていかなきゃいけないし、演技にもいかなきゃいけない
書く時に、何でもかんでも誰もがわかるように書いてしまうと、
理路整然と言葉で表現させてしまうのは、書く前の段階のイメージに失礼かなと・・」
腕を組んで、目を瞑って、一言一言語る松田さんです。

松田さんの言葉に対して、高瀬さんが
「演出家って傲慢ですよね。そうやって作ったテキストを、自分なりの主体的な考えで
提示してしまって、取り残したものがいっぱいあるんではないか?と思ったりもする
今回もそんな恐怖だらけでやっているんですけど・・
舞台というこの狭い空間に、ひとつのある形として伝わるであろう事柄を提示する急務というか
その為に伸びていくであろう枝や手足を切り捨てて、
一つの形に集約しているという手つきがありますよね」

すると松田さんが
「そういう性急さとか伝達できない尺度あるとすれば、本当は無いと思っていますが、
お客さんだってないと思っている・・それはTVドラマのように、こういう形で終わってくれとか
そおいう風には、お客さんだって思ってないはず。。(『結婚』も)そうは感じなかった。
でもそおいう急務の部分も、わからんでもないし、
急務の部分が、どんどん減っていけば、もっと面白くなるんじゃないかと・・
ホンが遅かったから、急務にならざるを得なかったというのは、ひしひしと伝わって・・・」
その時に、克明さんが小道具のナイフをポケットから出して、何気にいじり始めました(笑)
「いやぁ、それは本当に申し訳なかったなぁと・・・
ぱっと書けるといいんだけど・・(苦笑)なかなか・・・・」
克明さん、なにげーにナイフを松田さんの方にちらっと(爆笑)
この無言の克明さんとあわてた松田さん・・このやり取り~面白かったぁ
意外と意外と松田さんて、面白い方なのかもしれませんね。うふふっ

さて、ここからは質問コーナーです。

毎月3.4本新劇をご覧になられるお客様からで
「作者は、この作品で何を書こう、何を表現し、何を伝えようとしているのか?
わからなくて終幕を迎えてしまった。
演劇の可能性を追求したいというのもわかりましたが、もう少しわかりやすい形で書いて欲しかった」

「ん・・・。観客がわからないことに、僕は付き合ってられない」
おおおっ(爆)松田さんってばぁキツイ(笑う)
すると、高瀬さんが
「おおよそ社会の規範としては一応「人にわからないような事はするな」とか「人に迷惑をかけるな」とか
当たり前の常識としてありますが、感情面や物事の認識面については
必ずしも人にわからくても、自分がわかってるとか、自分がわからなくても、その反動で違う発想が
生まれてきたりするのではないかと、稽古をしながら考えてみた・・
多分「わかる」「わからない」で判断していたら、この世の中しんどい事がいっぱいあるのでは
昔、経験として心に残るのは理解か?感動か?としたときに
最初に芝居観て面白いなぁと思ったときに感じたのは、感動だと思うんです。
感情については、理解と共にあるとは必ずしもあるとは思えない」
生きていく内にどんどん私達は「わかる」といことを、
コミュニケーションの手段にしてはいないか?とおっしゃいます。
例えば、100人いて100人わかるのは、何らかの操作がなされていないか?
80人でも怪しい、50人位ならば、それぞれ勝手に想像しているのが十人十色ではないか?」

わたしも、作り手が何を言いたいか?よりも
自分が何を感じたか?何を受け取ったのか?の方を大事にしたいです。
自分が感じた思いと、作り手のイメージが重なった時はとても嬉しいけど
すれ違った時も、それはそれで意外性もあるし・・・ねぇ

「高橋克明さん演じられるコクボ・ケンジが、イモリ・チカさん(寺田路恵さん)に
「好きな戯曲の台詞を言え」という台詞がありますが・・」
松田さんが「ああ、そうですね。一番(寺田さんに)合うと思いました。
そんなに選択技があるわけじゃないので・・」
すると寺田さんが「わたしもすごく好き(な台詞)です」

「ストーブの中から、街の(喧騒の)声が聞こえたのですが」
高瀬さんが答えられました。
「都市の喧騒」とト書きにあったそうです。
イメージは、どこどこと限定していなくて、例えば風に乗って伝わってくるような感じ。
何処で録ってきたか?ネタは聞いていないそうです。

「5人の役柄が、演出家、作家、評論家、俳優、制作者という職業について」
松田さんが答えれました。
「俳優が演劇に携わる人をやらせたかった」本来は、
演劇論を語る芝居にしたかったそうですが、演劇論が消えていき、役柄だけが残ったそうです。
日常の人格の解らない芝居が良かったとおっしゃり、演劇の中で演劇をやっている人たち
演劇に携わっている人たちを舞台に立たせたかった・・
みんなで袋をかぶっているのが面白かったですね(笑)劇中劇的のような演技なのか演技じゃないのか
つまり・・日常の過去の再現にしたくなかったとおっしゃいます。
TVドラマのような過去の再現みたいな真似はしたくなったそうです。
高瀬さんも「演劇についての演劇にするとくどくなるので、あまり意識しなかった」と、おっしゃいます。

「雰囲気だけ感じたという感想ですが、実験演劇とは?・・・配役の選定は?」
「松田さんと付き合うことが、実験なんです(笑)」
今年のアトリエのテーマが、実験ということで、松田さんの作品を取り上げる事が実験に
繋がる事だと、高瀬さん。
あかねちゃんは、オーディションで決められたそうですが、
他の方々は松田さんと相談して決められたそうです。

「大阪まで新幹線で行くのに米原?場所の設定はあったんですか?」
「なかったですけど(笑)ないです(笑)
雰囲気では、東京に近くて湖があるような感じ。具体的なものはなかった」BY松田さん

と、質問コーナーは、松田さんに集中(爆)そうですよね(笑)

最後の締めは、高瀬さんから
「来年、アトリエは60周年を迎えます。10年前は3本連続公演とか
20年前は『グリークス』の三本立てだったり大変な事をしてきました。
来年も大変な事をしてみたい!」

以上で、レポは終了です。
さくっとさくっとで、くれぐれもよろしくお願いしますm(_ _)m
なんかレポをUPしていくと、また観たくなってきました。
本当に不思議な作品でした(*^_^*)
by berurinrin | 2009-07-04 23:56 | イベント