シェイクスピア大学校開校記念 ジョン・ケアード氏の特別講座<その3>

どんぐりの中に入り込めるほど小さな妖精の女王・ティターニアが
ロバに変身した人間・ボトムに恋焦がれます。
ティターニアは、妖精といえどもそんなに小さくなく・・・
ボトムは、そんなに大きくないのかも・・
いえいえ、シェイクスピアは、人物像を統一しない所が素晴らしい!と
ケアードさんはおっしゃいます。
一つのシーンで、「妖精が小さいもの」だと思えば、そのように書くし
次のページで、「妖精を小さくないもの」だと思えば、「小さくない」と書いてしまう・・
シェイクスピアは、枠には収まらない作家であることが素晴らしいと、おっしゃいます。
そして、驚いたことに観客は、そのことを気づかない・・。
確かに、ティターニアとボトムの関係を自然に受け止めてました私(笑)
つまり、シェイクスピアの想像力は、わたしたちに非常に強く働きかけるので
観客は、一緒に進んで行く事が出来る・・シェイクスピアの世界観に気が付かないうちに
どんどん引っ張られてしまうという事なんでしょうかね?!

まだ、時間の概念もシェイクスピアに委ねられてるようで・・
『夏の夜の夢』は、一晩のお話ですが
同じシェイクスピア作品『十二夜』を例に例えて
『十二夜』は、分析すると3日間のお話になるそうですが、
劇中、オーシーノ公爵が、オリヴィアに向って、シザーリオの事を
「わたしのところに仕えるようになって三ヶ月経つ・・」
その間に色んな出来事が起こるので、観客も納得してしまうそうです。
でも分析すると3日間の出来事です。
けれど観客が、(舞台で)何を目撃したかというと実際には約3時間・・・
彼の描き出している言葉のイメージの強さが、そこで時間の進みを止めてしまう
そして、観客にそこまで信じさせ付いてこさせるというのが
シェイクスピアの想像力の凄さだそうです。

言葉について
『夏の夜の夢』の恋人達の台詞は2行づつ最後の言葉が韻を踏むように書かれているそうです。
日本語に翻訳する時、原文のように韻を踏んだような言葉にできない辛さがある。と、おっしゃいます。
日本語は母音が5つしかないのですが、英語では300位あるそうで
あの音とあの音を組み合わせて・・とか、英語でなら色々な組み合わせを
試すことができるそうです。
そおした組み合わせにより、非常にしっかりしたリズムが台詞に刻まれる・・
と、いうことで、ケアードさんが英語で台詞を読み上げて下さいました。
一つの行の最後に韻を入れ、最後に重要な言葉を入れる。
ケアードさんの英語の台詞は、どの行も、どの韻も同じリズムで言えている・・
確かに、ケアードさんの語る台詞の言葉は、
「たんたかたーん、たんたかたーん」(笑)同じリズムで聞こえます。
一つの行に5つの言葉。
シェイクスピアの韻文で書かれた台詞は、何拍の言葉を使ってと、
詩を作る作法に基づいているそうです。
なのでシェイクスピアを翻訳する作業が、いかに大変な事であるかとおっしゃいます。

私たちは、松岡和子さんのわかりやすい翻訳があるので、ラッキーだったと
松岡さんは、何度もお稽古場に来てくれて、色々とその場に応じて書き直して
下さったそうで、本当にラッキーだったと、ケアードさんが繰り返しておっしゃっておられました。
日本語にする作業で何が難しいかというと、このリズムを日本語に移す事が出来ないそうです。
by berurinrin | 2009-06-05 00:32 | イベント