新国立劇場『タトゥー』

シリーズ・同世代[海外編]vol.3
『タトゥー』 in 新国立劇場小劇場(5/17)

作   デーア・ローアー
翻訳 三輪玲子
演出 岡田利規

パン職人の父ヴォルフ(吹越満さん)を中心にトリマーをしている母・ユーレ(広岡由里子さん)
長女のアニータ(柴本幸さん)、妹ルル(内田慈さん)4人家族の物語・・・。
一見、なんてことのない普通の家族のひとコマですが
この家庭には、他人に知られてはならない秘密がありました。





家族を・・妹を守る為、父との関係を受け入れるアニータ。
そんな父親の愛情がアニータに注がれているのを嫉妬する妹ルル。
夫と娘の関係を素知らぬ振りで生活する母は、自分を体を傷つけることで
心の平静を保っているようです。
ある日、アニータは、花屋で働くパウル(鈴木浩介さん)と恋をします。
パウルは、すべてを知った上でアニータと共に生活しようとします。
けれども、アニータが家を出たことによって家族の調和が音を立てて崩壊していきます。

とても不思議な感覚でした。
何もない空間に、浮かんでいるセットたち・・
天井からロープで吊るされた家具や窓が、ゆらゆらと揺れるように
自分の感性もゆらゆらと・・なんか不思議な世界にポンと送り込まれたような何ともいえない感覚・・。
お話はとても辛い話ではあるのですが、なんかリアルに伝わってこない
別の次元で繰り広げられたドラマのようで、台詞の口調もまたしかり・・
けれどそんな気持ちを察しておられるのか?
時折、挑発的に私たちに突きつけられる仕草や声の音色で
はっと驚かされたりして・・色んな意味で新鮮な作品でした。

先月、新国立劇場研修科による特別リーディングで、
同じデーア・ローアーさんの作品『最後の炎』を拝見した時に
今回は、絶対理解しようと構えちゃいけないと、構えたらトリコマレル(おばけ・・じゃないんですけどね)
思ってはいたのですが、構えようもなかった(笑)
リアルでいて、リアルじゃない・・・やっぱ異次元?!
好みの問題でいうならば、、、言えない(><)でも嫌じゃなかったのです。
拝見してよかった。こういう芝居もあるんだと、ちょっと視野が広がった気がします。
とはいえ、のんきに他人事という感じで観る余裕はさすがにないのですが・・・・

やはり今回も、なんの救いもない(苦笑)というか・・登場人物たちは、それぞれ追い込まれて
がんじがらめになっていくようで・・『最後の炎』を観た時に感じたのですが、
自分に降りかかってくる問題を解決する事は、生易しい事ではなくて、どうやって付き合って
自身に折り合いをつけていくか、もしくは、どうやって逃げ出すか・・・・。
そして、そして・・・逃げ出した後についてまわる、大きな代償。

お父さんは、救いようのない人でしたが・・残った家族には、ささやかな光の差す未来があって欲しい。
切に思うのでした。

この日は、終演後にデーア・ローアさんをゲストに特別シアター・トークが開催されました。
メモメモカキカキ・・したんですが・・
過去2作の特別シアタートークの模様は、新国立劇場のH.PにUPされているので
わたしのベタなレポートよりもそちらでUPされるのを楽しみにして下さいませ♪

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終演後、デーア・ローアーさんのサイン会がありました。
とてもゆっくりと丁寧にサインをして下さったローアーさんでした。

5/15(金)~31日(日)まで in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2009-05-17 23:05 | 観劇感想
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