TPT『醜い男』

TPT『醜い男』 in BankART Studio NYK(3/23)

作 マリウス・フォン・マイエンブルク
訳 松岡泉
演出 トーマス・オリヴァー・ニーハウス

レッテ(池下重大さん)は、この日まで特別に自分の顔について気に留めた事がありませんでした。
ある日、上司(小谷真一さん)から、その顔について指摘をされます。
そして妻ファニー(武田優子さん)の視線が、いつも自分を避けていたことに気づき
整形手術を受ける事を決断します。
彼は、自分の唯一のモノを捨て去り、この世の中の一番「美しい」顔を手に入れます。

新国立劇場から発信された、シリーズ・同世代[海外編]の第一弾は
ドイツ現代演劇『昔の女』でした。怖かったですねぇ~面白かったですねぇ~
ということで、ドイツ文化センターでのイベントやシアタートークなど盛り沢山な企画があったりと
ちょっと他にも観たいなぁ・・
おおっ地元で上演してる。それも会社から徒歩圏内(笑)
これは行くきゃない・・うふっ
時間が有り余る程あったので、近くのワールドポーターズで時間を潰してっと
横浜の夜景を見ながらのんびり~贅沢ですね。

コンクリートむき出しのがら~んとした倉庫の中、元々ある太くて大きな支柱が高い天井を
突き刺すように何本も立っていて、「こりゃ影になって観難くなっちゃうかなぁ」とか
足音や声を発すると、ぐぁわわ~んと、音がすごく共鳴しちゃって「どうなっちゃうんだろう??」と
不安の中、ベニヤで作られた即席の客席に座っていると、
4人の出演者達が、椅子を持ってきて、客席のすぐ目の前に座り
まるで対面してるような、ちょっとこそばゆい感じの雰囲気の中で芝居が始まりました。
台本を持たないリーディングのような感じです。
ほとんど椅子に座った状態で、最低限の動きで魅せてくれます。
演じる彼らの後ろは、照明の無い薄暗い自然な光と支柱の暗い影のコントラスト・・
吸い込まれそうな程にがら~んとしたスペースが広がっていきます。

レッテの顔を真っ直ぐ見る事を避け続けたファニーは、「彼の顔以外はすべて好き」と言っていました。
手術を受けて美しくなったレッテを見て、妻は「顔が好き」と言います。
“醜い顔”を誰よりも“一番美しい顔”に施術した医者は有名になり、
患者達は“一番美しい顔”を求めて、医者の元にやってきます。
美しい顔になってから仕事も順調、女性達からもモテモテのレッテですが、
ある日妻が“一番美しい顔”になった助手のカールマン(田村元さん)と浮気をしていることがわかります。
妻は「貴方の顔が好きなんだからいいじゃない・・それは貴方だから」
街に溢れた“一番美しい顔”の男たち・・それはレッテなのかカールマンなのか、他の誰か?
レッテは、自分を求めて昔の“醜い顔”を取り戻そうとしますが、医者は拒みます。

テンポ良く進んでいく会話のなかに皮肉がたっぷり詰まっています。
自分のオリジナリティって何だろう?
見てくれだけじゃないと思いながらも、すごく不安になってしまいます。
人と同じ事をして、安心感を得ることの後ろめたさ
個人として生まれてきて、自身の本当の大切な事って何だろう??
誰が作ったか知れない流行に煽られ、流行ものに弱く
春の流行は「緑のスプリングコート」と、とっとと購入してる自分が言うのは、
全くの筋違いですけど・・(は、恥ずかしい・・だって、可愛い色なんだもん)
でも、ぐさっと胸に突き刺さる確かな事・・・学んでいかなきゃなっと思いました。

3/22(日)~29(日)まで in BankART Studio NYK 
by berurinrin | 2009-03-24 01:20 | 観劇感想
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