ヴィデオ上映&トーク『今、ここで』

ドイツ現代演劇 ヴィデオ上映シリーズ
ヴィデオ上映&トーク『今、ここで』 in ドイツ文化センター(3/13)

主催 GOETHE-INSITUT JAPANドイツ文化センター
協力 新国立劇場

ゲスト ローラント・シンメルプフェニヒ
解説  新野守弘


行ってきましたドイツ文化センター!やっぱり迷いました(><)
初め19時開始となっていましたが、一時間繰り上げの18時開始と変更になって
もうまず遅刻は覚悟していたんですが、迷う時間を入れてなかった(笑)トホホ・・・
ところが、ちょうど会場に辿りついた時、ビデオ上映中に画像が止まるという
アクシデントの真っ只中。ほんのり明るくなった会場にそっと紛れ込みました。

上映されていたのは『今、ここで』というシンメルプフェニヒさんの最新上演作品。

設定は、野外での結婚式のパーティ。横長のテーブルには花婿・花嫁を始め数人の招待客。
黙々と飲み食いしているかと思うと、二人の男性が大きな剣を持ち出し決闘を始めます。
泥だらけになって、息を切らし・・決闘が収まると、ワインを飲んで吐き戻したり
何事もなかったかのように音楽が演奏され、ダンスタイムに入ったり・・
どうやら、結婚式の最中らしいのですが
花嫁が突然、ある男性が好きになってしまい
花婿を捨てて披露宴からいなくなってしまうそうです。
花婿はショックのあまり森に籠もってしまいます。
結局、花嫁は花婿の元に戻りますが、花婿は花嫁に拳銃を向けますが撃てない。
その間、季節は秋から冬に移り変わり・・
場面はそのまま・・そして時間も過去と未来を交差しながらドラマは展開していきます。

頂いた解説を読むと、さまざまな人間関係が終末に向って徐々に崩壊していくそうです。

終わって凹みました。もう、とっちらかっちゃって唖然呆然(><)
観てるわたしが崩壊しました(爆)
一生懸命理解しようと努めましたが、観ている内に気持ちが悪くなりました。
こういう作品を短縮しちゃダメですよ。思いっきり拒否反応がでちゃいましたもん。
そんな苦手意識から拝見したので『昔の女』は、すごく面白かったです。
裏切られた~(笑)って、うふふっ

短い休憩をはさんで
司会進行の新野守広さんとローラント・シンメルプフェニヒさんが舞台に登場されて
トークセッションが行なわれました。
先程拝見した『今、ここで』は、実際には2時間半の作品でしたが、それの45分の短縮バージョン。
このシリーズでの短縮版上映は初めてなので「ちょっと物足りなかったですね」と
東京や横浜の倉庫のようなところで上演して欲しい・・と
新野さんがおっしゃていましたが、わたしは十分お腹が一杯になってしまいました(><)
そんなところから『今、ここで』のお話から始まりました。

この作品は、チューリヒにおいて2008年4月25日に初演されたそうです。
これは演出家のユルゲン・ゴッシュさんが、チューリヒ・シャウシュビールハウスで上演するために
劇場側がシンメルプフェニヒさんに依頼をして、書き下ろしされた作品だそうです。
8週間で書き上げたそうで、この空間の為に作られたそうです。
このチューリヒ・シャウシュビールハウスというのは、元々は造船所だったそうで
壁はそのままで、音響等は最新設備ということで機構を最大限に生かそうと思われたそうです。
どうりで、倉庫のようなスペースで、横に長い演技スペースの床は泥だられ
真ん中に一段高い舞台が設えありましたが、
そのスペースに雨や雪や泥んこ、食べ物や飲み物でぐちゃぐちゃ・・
衣装も床もぐちゃぐちゃ・・
ま、普通の舞台では不可能ではありますね・・・

次に、新野さんから「書いてくれ」という要請について、どういう経路になっているかという質問と
井上ひさしさんの新作で現在上演中の『ムサシ』は
初日2日前に完成されたそうで、その話を例にとって質問されました。

今回(『今、ここで』)については、通常よりも早い以前に決まっていて
現場と一緒に作り上げられたと、シンメルプフェニヒさんはおっしゃいました。
通常は、大抵劇場から依頼されるそうで、その時点では
「コメディを書いてくれ」とかは言われずに、シンメルプフェニヒさんご自身の思考の時間があって
それからアイデアが浮かび、そのアイデアに対し、OKが出れば4,5週間で書き上がる。
書き上がった時には、すでに完璧な状態なので直す事はしない。。。と、きっぱりおっしゃってから
ご自身は乙女座だそうで、乙女座は「厳格に納期を守る」とおっしゃっていました(笑)
わたしも実は乙女座の女ですが・・・どーだろ??(笑)
で、書き上がった作品は、演出家に任せられるそうですが
その後、演出家から「あーだ、こーだ」とか、言われての戯曲の変更は不本意であると
何週間も掛けて書き上げたのだから・・おっしゃっていました。

「言葉に対するこだわりというのは、劇作家として表現活動の核心だと思うので
おっしゃるとおりだと思います。」そう、新野さんは続けられて
シンメルプフェニヒさんの本を読んでいくと、ある日突然に積み重なれた男女の関係が
なんの前触れもなく過去の出来事になってしまい、新しい関係を求めてしまう。
本当は、何かの出来事があるのかもしれませんが、戯曲ではそうは書かれずに
ふと、冷めた瞬間が起こる・・・「『今、ここで』でも花嫁と花婿の間に起こる感情に対して
シンメルプフェニヒさんの作品の核心に触れているのではありませんか?」と

「ぱっと冷める瞬間」・・このテーマに、ここ数年入り込んでいると
シンメルプフェニヒさんはおっしゃいました。
年を重ねたからかも・・・ある特定の年齢に至るまでは、失敗や挫折
特に権威・・・誰が誰を支配するのか?という事を概念に置かれたそうですが
「自分は、自分の人生を計画することが出来るのか?」と考えられておられるそうです。

新野さんから、話の中で「自分が、自分の過去の姿にどのようメッセージを伝えていくか」という
シンメルプフェニヒさんの言葉に引き込まれるテーマとおっしゃいます。
シンメルプフェニヒさんの作品のスタイルの特徴として、
同じ言葉、場面を使われるそうで
新国立劇場で上演されている『昔の女』を例えにされました。
(この時点では、わたしもまだ『昔の女』を拝見していませんでしたが・・)
この作品でも、同じ言葉、同じ場面が繰り返し登場しながらも時間が動いていく
非常に揺らぎがあって、アイデンテティの揺らぎというかが客席にも伝わってきて
微妙なニュアンスが入ってくると思われるそうで
今後もシンメルプフェニヒさんの昔からの作品のスタイルとして、今後も
中心的な書き方をされるのでしょうか?と

同じ言葉や同じ場面(同じ音とも表現されていました)を繰り返すことによって
様々な時間軸、時間の認識をイメージで作っていく・・描くことによって
叙事を思い起こす・・そうシンメルプフェニヒさんはおっしゃいました。

ドイツの演劇界の話が出まして
ドイツの演劇界は、非常に生産的だとおっしゃいました。
さまざまな劇場があって、どんな小さな都市でも必ず劇場があって
劇場が抱えている役者がおられるそうです。
特に、ハンブルグ、ベルリン、ミュンヘン、ディッセルドルフは演劇都市なんだそうです。
演劇都市といえる事が素晴らしいですね。
はたして日本には、演劇都市という場所があるのでしょうか?ふと思ってしまいます。

先程上映された『今、ここで』の演出家ゴッシュさんは、かなりお年を召した方なのだそうですが
蜷川幸雄さんよりも年齢的に上じゃないかな・・と新野さん。
そのゴッシュさんについてシンメルプフェニヒさんは
作品に忠実で、カットしたり、場面を入れ替えたりせず、言葉に対して
真摯に向う方だとおっしゃいました。
作家が書いた言葉をそのまま使い、作品そのものに真摯に向き合う・・
そんな絶対的な信頼をされるゴッシュさん演出で
次回作品であるザルツベルグフェスティバルの『バッカスの寝所』の新訳をされるそうで
古代ギリシャ語を翻訳されたものを改定されるそうです。
内容には全く触れずに言葉を変えたいとおっしゃり、5日程で完成できると思ったそうですが(笑)
一日掛けても半ページも進まなかったと。。(笑)
7月半ばの初日で、5.6月がリハーサルとのことで、この先4.5週間で仕上がりたいと
おっしゃり、帰りの飛行機の中でもお仕事されるそうです。
飛行機の中は意外と仕事がはかどると笑っておられました。

話は、シンメルプフェニヒさんご自身の経歴などのお話になり
ドイツには兵役義務があるそうですが、シンメルプフェニヒさんは兵役に就く代わりに
社会活動を選び、ジャーナリストとしてイスタンブールで生活の後、演劇学校で演出を
勉強し、演出助手を経て書くことに専念されフリーの作家に転向されたそうです。
その後、アメリカで生活を経てドイツに戻られたそうです。

さて最後に質疑応答タイム。
「作品を書かれる時に構成を練っていかれる時に気をつけられる事
その際に気に留めてる事があったら教えて欲しい」
そう真後ろに座って居られた男性からのご質問??なんか聞いた事のある声だなぁ
と思ったら文学座の演出家・中野志朗さんでした(笑)ぜんぜん気がつかなかった(笑)
大きな足の人だなぁと思ったくらいで(笑)
ふと何げなく横を見ると長い足が目に入ったので!(* ̄m ̄)プッ
中野さんといえば、ドイツに去年まで留学されておられました。
そして今年アトリエでドイツの作品『崩れたバランス』を上演されます。
うふふっ、これもまた楽しみですね♪今は、台本のチェックをされてるそうですが
「頑張ります!!」とおっしゃっておりました。
中野さん・・見た目は爽やかだし、伸びのある素敵な声をされています。
でも、作品は結構マニアック系(笑)おもしろいお方です。
おおっ、質問の答えっと
シンメルプフェニヒさんより「まずアイデアとして一つか二つのイメージを浮かべる」そうです。
『今、ここで』を例えるなら、「披露宴」「屋外」「決闘(サムライをイメージ)」をまとめて
自分で何に興味があるか?新しい人生の為に出発していく為に生まれてきて、
方向を達成するときにあえて、変化を望むキャラクターを見つけ出すそうです。

「日本人の演出家で日本人俳優で上演された『昔の女』を観てどんな感想を持たれましたか?」
非常に気に入ったと、シンメルプフェニヒさんはおっしゃっておられました。
とても感動されたそうです。感動した理由として、他の国に移しても機能できると思われたそうです。
面白いプロダクションだし、役者も素晴らしく舞台美術が素晴らしいとおっしゃっておられました。
(後日、わたしも「うんうん」と納得しました★)

「劇場を与えられてから戯曲を書かれるそうですが、空間と戯曲について
どう考えておられますか?」
空間というのは、舞台の大きさ。ドイツでは、スタジオが小さいのが普通だそうで
何人の客が入るか?100人の人、1000人の収容に対して
おのずと作品は違ってくる。演劇とは世論との対話なので
人数が多ければ多いほど大きな対話となるそうで、空間の大きさはとても大事であり
その空間を持つ都市の大きさも大切だと、シンメルプフェニヒさんはおっしゃいました。

他にもいつくか質問がありましたが、この辺でf(^_^;)
今回もノートにカキカキ状態なので、ちょっと誤読やニュアンスに隔たりがあるかもしれませんが
お許しください。
冒頭の『今、ここで』を観て凹んだ私ですが
会場でシンメルプフェニヒさんの戯曲『前と後』が販売されていまして
購入したらシンメルプフェニヒさんのサインを頂けるということで、パラパラと戯曲を手に取ったら
これが最初の文章がユニークで購入してしまいました。
もちろんサインも頂ました★
読み進んでいくと、一つの場面が繰り返されて登場した男女それぞれその場面の心理描写が
モノローグとして語られたりして、小説のようにプロットが緻密・・。
明日拝見する『昔の女』が違う意味で、すごく楽しみになった私でした。
だって、明日は『昔の女』終演後、特別シアタートークがあるんですもん(*^_^*)
鵜山仁さんがご出演なんですもん(*^_^*) うれしぃ~★★

次回は、新国立劇場で上演されている『昔の女』と同じシリーズ・同世代[海外編]の
『タトゥー』の作家・デーア・ローアさんのトークが5/16(土)に予定されるそうです。
ぜひお時間のある方はご参加されてみたら如何でしょうか?
せっかくの機会だし、よりいっそう『タトゥー』が楽しめると思いますよん♪

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by berurinrin | 2009-03-15 22:22 | イベント
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