文学座本公演『グレンギャリー・グレンロス』

文学座本公演・紀伊國屋書店提携『グレンギャリー・グレンロス』 in 
                                  紀伊國屋サザンシター(3/8)

作     ディヴィッド・マメット
訳/演出 江守徹

と、ある中華料理店の一室。
不動産会社のレヴィーン(清水幹生さん)は、年下の同じ会社の営業責任者ウィリアムソン
押切英希さん)に何とか契約が出来そうな優良な顧客名簿をもらおうと懸命に説得をしていますが
素知らぬ顔のウィリアムソンは食事中です。
同じ中華料理店の一室では、レヴァーンの同僚で、モス(外山誠二さん)とアーロナウ(坂部文昭さん)
が食事をしながら、彼らの競争をあおるようなウィリアムソンの経営方針に反発しながら、
気の弱そうなアーロナウに事務所から顧客名簿を盗むようにと
たきつけようとモスが言葉巧みに誘惑中・・・。
やはり同僚のローマ(田中明生さん)は、隣のテーブルで食事しているリンク(藤川三郎さん)に
声を掛けるチャンスを狙っています。
そして事件が起こります。

わーい★やっとやっと観れました♪
面白いっ!
前編は、中華料理屋の一室で、年下の上司とその部下。同僚。
そして・・セールスマンと出会っ(てしまった)た男性と、
登場人物が二組づつ登場して、二人芝居よろしく3つのお話が繰り広げられます。
ここの人間関係の強弱さがそれぞれ明確に現れていて、それが後編に3つのポイントが
一つにまとまっていく光景が恐ろしくも面白いのです。

昔は、優秀なセールスマンだったと思われる年長のレヴィーンが
年下のウィリアムソンに優良な顧客名簿を入手する為に、無謀な取引や卑屈な態度を取ったり
その言葉を機関銃のようにまくし立てるその姿にびっくりし・・
ああ、でも最後の会計時にお金の持ち合わせのないレヴァーンの姿に胸が痛みました。
冒頭のわけわから位に懸命に話すレヴィーンの剣幕も・・ああ納得です。

次に登場するのは、いかにも怪しそうなモスの企てに、アーロナウが困惑する姿。
もみ上げからして怪しいモスさん(笑)とひたすら困った顔をするアーロナウさんの
丁々発止のやり取りと漂う空気感がめちゃめちゃ面白かったです。

セールスマンのローマに対してリンクなんて、くもの巣に引っかかった昆虫のように
わわわっと取り込まれる姿が、たまりません。
他人から友人にそして売り手と買い手に変貌する人間関係の不思議さを、まざまざと
見せ付けられて・・最後のローマの不敵な眼差しったら・・もう
いやぁ怖い・・怖い(笑)

そして2幕に起こるいや起こった事務所が荒らさせ顧客名簿が盗まれる事件。
眼差しが鋭くてかなりこわーいベイレン警部(石橋徹郎さん)が、一人一人個別に尋問していきます。
もしかしたら、やっぱやってしまったか(笑)アーロナウ(><)・・と、思いながら
そんな簡単にわかっちゃったら面白くありませんが・・・うふ。
犯人探しの推理劇の要素を楽しみを味わいつつ
彼らの言葉を追いながら、前半の人間関係の複雑な関連性を重ねていくと
今のめちゃくちゃな世の中に通じるものがあるとしたら
いくら不況と苦しいと口で云いながらも、それでも普通に生活してる裏側で
似たような事が普通に起きているとしたら・・本当に恐ろしい世の中なんだなぁと思ってしまうのでした。

3/2(月)~3/11(水)まで in 紀伊國屋サザンシアター    
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画像については事前に劇団の許可を頂いています。無断転載はなさらないで下さいね★
by berurinrin | 2009-03-08 22:13 | 文学座観劇感想