『電波猿の夜~A nigth of Denpasar~』アフタートーク

『電波猿の夜~A nigth of Denpasar~』アフタートーク in ザ・スズナリ(2/7)

当日、インターネットで見つけた桃園会のH.Pを拝見して
あたふたとチケットを電話予約して下北沢に向った理由は

7日(土)19:00公演終了後アフタートーク
ゲスト 鵜山仁さん(新国立劇場芸術監督)
     神野三鈴さん


うぎゃー!!!と、「今日は一日家にいます。なんでもします」と母に言っておきながら
突然の外出。ほんとスミマセンほんとスミマセン「・・でも午前中 私、頑張ったよね」と
(まじ、色々やっておいてよかった・・)と・・母も、鵜山さんや文学座関係については
普段から何も言わずに居てくれます。
今回も「間に合ってよかったね」なーんて、笑顔で送り出してくれました。
申し訳ないなぁと思いつつ・・あ、つーか、翌日も家族の行事で
出掛けることになっていたのでした。

さて、前置きが長くなってしまいましたがアフタートーク。
司会は、桃園会のプロデューサー、作家、演出家の顔を持つマルチな深津篤志さん。
深津さんは、来年2010年3月新国立劇場で『象』(作・別役実氏)を演出されますが
その出演者である女優の神野三鈴さん。そして鵜山さん♪うふっ
ご存知だとは思いますが、もちろんうーさま中心でカキカキでございます(笑)

深津さんからアフタートークは、得意ではないのですが・・と前置きがあってから
ご自身の作品は、色々な所からわかりづらいと言われるそうで
アフタートークをする事によって理解を深めて頂きたいとおっしゃいました。
またそういう主旨もあるようです。
さて、深津さんもアフタートークに呼ばれる機会に「このお芝居の感想を」と、言われて
自分でもすぐ感想を言う事が難しかったりするので
どうしましょうね・・と、言いながらも
「お客さまの中でも色んな疑問点が残っていらっしゃると思うので
そこんところで何か・・」と
そこで鵜山さんから「これを書かれるのに、何かきっかけがあったんですか?」
きゅあーきゃあーと、声にならない黄色い声をあげてる私です(笑)
深津さんから、それに答えるように
以前、インドネシアのバリ島に旅行に行ったときに「デンパサール空港」という
ネーミングに惹かれて『デンパサールの夜』という題名でホンを書こうと思われたそうです。
8年位前に・・(笑)電波猿=デンパサールだったんですね。うん。
で、今回上演するに当たって企画書を出す時に『デンパサールの夜』という
題名を思い出し、書こうと思った思ったそうですが
名前からしてハードボイルドタッチな気がして、桃園会には合わないかなと
当て字に『電波猿の夜』にして書いてみようとされたそうです。

深津さんが、ホンを書かれる時は、まず題名を決めて
題名からイメージを感じて、シチェーションを決めてキャラクターを・・と
シチェーション・・今回は、デンパサールなのでインドネシア・・ならジャングルと
でも大阪の会場が狭いそうで、狭い中でジャングル・・というよりも
部屋の中にジャングルがあるというか、ジャングルのような室内という
それも安アパートで、狭い部屋で、お友達と二人で住んでいて、それも冬の大阪で
で、お兄さんがインドネシアに住んでいて、兄貴なんだか自分なんだか
場面転換せずに魂の旅をして・・・と、イメージを広げながら書き始めていかれたそうです。
で、主人公の仕事は?と思ったときに
アジアとかに旅行すると、マクド●ルドに似たような怪しげなハンバーガーショップが
あるそうで・・じゃあ、彼も名前も知らないようなハンバーガーショップに勤めていて
でも潰れちゃって職が無い状態で・・ってと形が作られたそうです。
「さっきの話」の“さっき”という言葉と「殺気」
「はてなんでしょう?」の“はて”という言葉と「(地球の)果て」と
ハンバーガー屋さんなので、ひき肉で(笑)
言葉遊びをしながら、これはどうもひどい話になっていくぞ・・と思われたそうです。
淡々と話をされる深津さん。不思議な感じがします。

「今の話もわかりすいのだけど、一寸先は闇・・そんな感覚になっちゃってるだけど
かなり痛烈にそのまま投げ出して、深津君どうするのかな?(笑)って
しんどさもありの、なんか懐かしさもあり」そうおっしゃる鵜山さんは
「60年代から70年代にかけて芝居を観始めた頃の
つかこうへいさんの言葉の解放の時代があって、
つかさんの時代に全てが開放されきってしまったので、
それまで敵もいたし、なにかに向って戦うとか、自己批判とか、理想とか倫理とかが
そこはかあった気がするんだけれども、それがフラットになっちゃって
モラルハザードな状態になっちゃって、そうするとモノが作りにくくなっちゃいますよね」
そんな昔の時代に引き戻されたように懐かしくなったとおっしゃいました。
でも、深津さんの道具立てを聞いているとすごくわかりやすいです。
と、神野さんに言葉を振られました。

「最初は、わかんないかもしれない・・と思って
途中から自分の感覚の中で懐かしい部分とシンクロして・・でもそれは
自分としてみたくない部分で、嫌な気分になって、生臭い気持ちがして
最後にどうするんだろう?と思うくらいに自分を追い詰めて
自分はどうするんだろう?という自分の事に置き変えられる」そうおっしゃる神野さんは
どうしたらいいんだろう?を連呼される神野さん。
やっぱりこの作品難解です。

主人公は大阪の狭いアパートに住んでいて、彼の世界は狭いけれど
TVやメディアを通じて他の世界を知る事が出来るけど、それはTVの画面の世界で
あって、でも、そのTVの画面のひとコマにも彼のような状態の人はいて
そんな主人公が心の旅をする事によって
その世界と彼の世界が結びついてもいいのかな?とか
結びついたらどうなっちゃうんだろ?とか果たして繋がってもいいのか?とか
深津さんの作品への組み立ての工程を伺っていくと、なんとなーく
拝見した時のもやもやした部分が見えてくるような気がします。

このお話には、観葉植物が大きな役割を果たしています。
ちっちゃいのを一つ(笑)育てておられる深津さんだそうですが
深津さんがお住まいの住宅地には、ものすごい状態(ガーデニング)の
お家がいっぱいあるそうで、ベランダに鉢植えやら色々あるのは悪い事じゃないし
きれいだと思うのだけど「ちょっと埋まってへんか?!」と
関西弁が入りながら、エコロジーではなくて、なんかしらその人の生活を
主張してるのではなくて
「緑自体が主張しているというのはどうだろう?
その裏に何が隠されていて、なにの栄養で押し寄せて来ているのか?」と
それも一つの契機でもあったとおっしゃる深津さん・・・むむむ。
不思議な目線をもった方です。

「劇場もアパートもそうだけど、やっぱり最近ホントに外の世界とどう繋がっているのかな?
どういう役に立っているのかな?」と鵜山さんはしばし考えられるそうで
最近オペラをご覧になった感想をおっしゃいました。
「この間もオペラを観にいって、なんとメタボなアートだろう(笑)と思って
無駄な事ばっかりやって・・ちょっとごめんなさい、あそこに関係者が・・(苦笑)
たまたま歌姫って演技者が人の悪いところとか、しょっちゃって犠牲になるという・・
ある意味たわいない物語。
貴族の世界の偽善とか不倫とか全部、歌姫が引き受けてなんとかって・・
その筋をぱっと思い当たった時に、多少役に立ってるなとメタボも許せちゃう(笑)なと
たわいないんだけれども、少なくとも劇場の中では、劇場の中でしか通用しないやり方で
表現を全うしなきゃいけないし、それが外の世界とどっかで繋がっていたいし・・
自分で今の居る場所・・初台、新国立劇場ですが
劇場と外の世界をどう繋がるか多少気になるようになってきた。
僕は偉そうにいってますけれど、演出家としては蛸壺みたいな仕事の仕方の方が
好きな人間で、ここで充足してりゃあいいなと
シアタートークなんていかがわしいものはあっていいんだろうか?
こんなものが何の役に立つんだろう?と出来れば見たくないと、いなくなっちゃう方
だったのが、最近初台に行くようになってから、多少神経が変わってきた(笑)
だいたいなんでここに3人がいるんだろうって話だけど(爆笑)」

「初台に行くようになって・・って」と、神野さんがウケておられました。
ちょっとテンション高めの神野さんが、シアタートークについて
コメントされていましたが、リップサービスもあると思いますが
ちょっとその発言にちょっとショック(><)
鵜山さんに冗談で絡む姿もあんま見たくなかったなぁ・・
結構好きな女優さんだったのにぁ・・・

「なんで、ここに3人いるかって話なんですけど・・」と、深津さんが
新国立劇場で上演された『屋上庭園/動員挿話』で、神野さんと縁があった
話をされました。そして芸術監督は鵜山さん・・。
鵜山さんから新国立劇場で、来年3月に、深津さんが演出される別役実さんの『象』
お話がありました。神野さんもご出演されるそうです。
主役は、あの稲垣吾郎さん・・すごいですね。

「話をすごく戻しちゃうんですけど・・」とおっしゃってガーデニングのお話を
される神野さん。ご自身もガーデニングがお好きのようです。
「水だけで生きてるだけの植物を途中で切ってしまうことがある
(植物の)生存権を奪ってしまって、すごい嫌な気分になるんだけど、冬が終わって
春になってまた芽が出てる・・これぐらいの過酷な中でまだ生きてる。
どんどん育ってくると、鉢の植え替えとか、わけわかんなくなって
広大な土を与えたくなって・・・土地欲しい(笑)
それで一番良い時にガーデニングして、育ってきたら全部庭に埋めて思いにまかす・・
そう思うと、みんな緑が欲しがっているけれども、大きな世界でみてみると
みんなどんどん緑を無くしていて、緑のある側に家を探していて
緑があっていいわねってとか言ってる矛盾とか百も承知なんですけど
緑ってすごいですよね」
・・・ガーデニング好きな方は、この子とかあの子とか鉢の事をいうのかしら??と
ちょっと不思議な言葉を聞くような気持ちで神野さんの話を聞いていましたが
言いたい事は、すごくわかりました。
そこで、その話に乗る感じでペパーミントを育てていたけれど、あまりの生命力の強さに
驚きつつも、とうとう枯れてしまったので近くの田んぼに捨てたら、
田んぼにペパーミントが!とびっくりされた話を深津さんが披露されました。
そんな二人の会話が終わったら、神野さんが
「聞いてます?」って鵜山さんにツッコミを・・・・・
「うちもスミレとかありますけど・・」と鵜山さん
「ちょっと旅行に行く予定があってね。3月から4月にかけて当座家に居ない時
どうしようかと・・時限散水器ってあるんですか?高いですか?(笑)」
と、チャイムの音が・・・・タイムリミットだそうです。

ここで質問コーナーで
園芸の話でも何でも・・と、いうことでいくつか質問がありました。
「怖い話だったんですけど、明日になったら忘れていいですか?
多分忘れちゃいけないと思うんですけど」
それに対して深津さんが
「しっかり憶え過ぎちゃうと夢でうなされちゃうと思うので、どっかちょっと置いてください(笑)」
深津さんの言葉はとても丁寧で、霞みかかっていた作品をクリアにさせて下さいますし
わかってもらえる言葉で紡ぐ姿勢が嬉しいです。

最後に宣伝を兼ねたご挨拶をされました。

まずは神野さんが
「来年は『象』で深津さん演出で、今日も観ながら役者さん方達がどのように
これだけ入り組んだ世界観と、とても私的なプライベートな深津さんの言葉、
世界感をどうやってああいう風にできるのか?すごいなあと思って・・
私たちは台本が別にありますので、どういう稽古したのか興味があるんですけどけれども
深津さんの稽古というのが非常に生々しさを全部とられて出てくる生々しさを
ちゃんと触れみたいな、本当に静かなんだけれど熱くて痛い稽古で、そういう稽古を
踏んだ後に『象』という芝居を新国立劇場でやりますので、
別役実さんの作品ですけれども皆さん、ぜひぜひ観に来てください。
今日はありがとうございました」

鵜山さんからは
「『象』にたどり着くまでに、この7月に坂手洋二君の新作で『鵺』をやります。
新国立は9月からのシーズン制なんですけれど
秋から『象』を含めて「人はなぜ戦うのか」という
テーマでプログラムを組んで、秋はシェイクスピアの『ヘンリー六世』って
三部作を薔薇戦争とかフランスとイギリスっていっていいのかな百年戦争とか
戦争物というかなんていうか大きな茶番劇だと思っているんですけど
いわゆる茶番劇というのは、つまりなんていうか観たくなりますよね?(笑)
そんなことで初台でも芝居をやっていますので観に来てください。
直接『象』とは関係ないんですけれども
手探りで・・こう広島の経験に至るという古典的なテーマを持った前衛的な作品なので
今日の芝居の最後で「しゃべっているだけやし」と出てきましたけど
しゃべっているだけで、なんとかおとしまえ(笑)つけなきゃいけない我々なので
そおいう意味じゃスキルというかアートを磨いていって
せいぜい面白い芝居をお目にかけたいと思っています。
よろしくお願いいたします。」

最後に、深津さんから
「新国立劇場さんのドラマ研修所の第2回卒業公演を栗山民也さんの演出で
わたしが『珊瑚礁』という作品を書きました。書きましたが、まだまだ訂正中でございますが
絵本のようなファンタジーを、これもファンタジーですが、どきつくないというか
生々しくないというか、関西こってりではないファンタジーを書かせて頂きました。
まだどうなるかわかりませんが、良ければ観に入らして下さい。
と、いうわけで終わりたいと思います。本日はありがとうございました」

ま、ちょっと時間が短いというか話が盛り上がりそうな時に終わりが来てしまった
感じがしましたが、深津さんの不思議で異次元ようなの世界感を
ちょっとだけ理解ができたかなと、参加できてよかったと思いました。
そして私が一番好きな鵜山さんの言葉が聞けたのが嬉しかったです。
「せいぜい面白い芝居をみせる」・・そうおっしゃられる度に、胸がきゅん♪となります。
終演後、鵜山さんの笑顔を拝見できたし
鵜山さんの言葉で元気をもらったので、翌日は朝4:30起きで
静岡に行く予定も無事に乗り切りました★

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by berurinrin | 2009-02-11 18:04 | イベント
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