こまつ座第88回公演『兄おとうと』

こまつ座第88回公演『兄おとうと』 in いちょうホール(1/15)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 石井強司

生涯のうちで5回しか枕を並べて寝たことがない、兄の吉野作造さん(辻萬長さん)と
おとうとの吉野信次さん(大鷹明良さん)の生涯の物語。
父が、借金の返済にと貧しい人達から田畑を奪っていく姿を見て育ち、
贖罪の念から彼ら貧しい人達の立場に立って発言する作造さん。
その姿が時に時代を反して過激だと、右翼からは命を狙われ、
社会から反発の矢面になって身の安全も脅かされる兄とその家族。
その後の父の景気が傾いた姿を見て育ち、出世して社会を動かす側に立場に
身を置いて政治の世界に生きる弟・信次さん。
この兄弟を支える妻たちは、仲の良い実の姉妹。
時は大正。お互い気遣いながらも、会えばついつい喧嘩ばかりの二人、兄おとうと。

うふふっ鵜山さん演出作品の今年第一弾でございます。
東京公演は夏なので、やっぱどーしても待てませんでした(笑)
初日は、首都圏巡演からスタートということで、行ってきました八王子です。
いやぁ寒い。「横浜で雨が降ると、八王子では雪が降る」と云われる程の気温差が
あるそうですが、澄み渡る青空は気持ちがいいし
山並が眺められる風景と空気がとってもきれい・・・
ちょっと仕事の事で悩み事があったので、いい気分転換になりました。

悩み事というのは、休み明けに云われた昇格試験の勧めを断った事に対して
もしかしたら女性後輩達に対して悪かったかなぁ・・と
落ちてもともと、それでも受験する姿を見せなきゃいけなかったかな・・。
でもね、筆記試験、適性検査、論文、面接とかなりハードルが高くて
それに私自身、がつがつと仕事をするタイプではなくて、どちらかといえば
表よりも人の後ろでフォローしたり、職場の雰囲気を大事にしたいので
苦しい時でも、忙しくても目が合えば微笑みあえる職場を保ちたいし
気軽に仕事でも個人の悩み事でも、友人や家族に云えない事でも相談し合えたりできたら
と思っていますが、最近は、わたしの悩みを後輩達に意見してもらってる気がf(^_^;)
私が頼りない分、後輩達がしっかりしているので
きっと、受験しても昇格試験の求める資格の適性には合わなかったかも。うん。
今の立場になった時も、論文と面接を受けたとはいえ・・
今日、会社で後輩女性にとりあえず、謝ったりしちゃったのでした。
まっ、予想通り後輩は笑ってましたけど・・いい仕事仲間に囲まれています。ありがたい。

と、こんな私的な話をしたのは、作造さんの真っ直ぐな生き方を観ながら
昇格試験の事が頭を過ぎり、信次さんの信念の強さに、気持ちが揺らぎと
わたしのちっぽけな職場の宇宙と国家を動かす二人の会話が、妙なところでリンクして
すっかり楽しくなってしまったのです。
とはいえ、前回の再演時には、確かもっと固い硬派なイメージを持ったのですが
今回はシビアな話なのに、全編に優しい愛情が伝わってきました。
顔を合わすと口喧嘩になってしまう「兄おとうと」
互いを支え合う仲の良い「姉いもうと」
2組の形は違えど夫婦の体温が伝わる「兄妹夫婦」
それぞれの愛情が交差しながらドラマの底辺に絶えることなく流れていて
それがぷつりと切れる終幕のエピローグの歌で、突然泣きたくなってしまいました。
わたしは、柔らかな音楽と愛情が全編を包むシビア(笑)なお話
この作品『兄おとうと』が大好きなんだなぁと改めて思いました。

文学座からは、弟の信次さんの妻・君江さんを演じられた高橋礼恵さん。
いたずらっぽく笑う笑顔がとてつもなく可愛いですね。
一生懸命、歌って踊っておられる姿がとても可憐で、お姉さんを慕う姿や
仕事に生きる夫の背中を見つめる寂しそうな眼差しとか、ちょっとした仕草が
今までの礼恵さんと違う新たな一面を魅せて頂けました。

あっ、去年の鵜山さんの講座で
出刃包丁を持った「説教強盗」が、歌に突入するシーンで
出刃包丁が、振り子のようにメトロノームになって指揮棒に変化できないかと
一生懸命、振付の方と所作指導の方と子供のように頭を抱えていたという
話がありましたが・・
確かに、メトロノームになって指揮棒になっていました(笑)
これは、実際に見て楽しんで頂きたいシーンです。
大の大人が(笑)とっても無邪気で楽しいシーンですよ♪

7/31(金)~8/16(日) 紀伊國屋サザンシアターで公演があります。

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by berurinrin | 2009-01-16 23:56 | 観劇感想
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